生活力無い日記
ここ一週間、見事に朝寝て、昼過ぎ起きている。正直夜型生活のほうが体は楽だが、早く仕事再開しないと人間生活に戻れなくなる。
わたしは、生活力がない。それも、びっくりするくらいない。
18歳で一人暮らしを始めたが、これまで一度も洗濯機と冷蔵庫を買ったことがない。言っている意味が分からないと思うので解説すると、洗濯は多くて週に一度なのでコインランドリーで、冷蔵庫は自炊しないからいらなくて、飲み物を冷やしておける小さな保冷ボックスだけ持っていた。家に人を呼ぶとみんな驚いていた。
そのうち一人暮らししているのが馬鹿馬鹿しくなり、彼氏の家に転がりこみ、そのまま結婚して、生活力が無さすぎて呆れられ2年で離婚した。21歳。毎日夕食を作る能力も、定期的に掃除をする能力も、一緒に住んでいる人と同じ時間に眠る能力もなかった。
そのあとは、外国人ばかりの二段ベッドで4人部屋の格安シェアハウスなどを転々としていた。人は落ちようと思えばどこまでも落ちれるものである。この頃のわたしは昼はアパレルショップで働き、夜は風俗嬢だった。通信高校の奨学金を返すのに必死で、なんでもやった。どこに向かっているのか分からなくなりリストカットは辞められず、摂食障害も一番酷かった。
苦しかった、あんなに苦しかったはずなのに、わたしはときどきこの頃に戻りたくなる。失うものは何もなく、独り自由だった。ドン引きされていそうだが、風俗の仕事だって結構面白いものだ。東京には、いろんな世界が詰まっている。
全ては存在意義を探して、誰かに求められたかっただけだと知っておきながらも。
ルームメイトと夜ベランダで吸うタバコは寂しくて、だけどどこか歯がゆい、青春みたいだった。このとき同じく夜型で、風俗嬢で、よく部屋で一緒に過ごした女の子はエイズを発症してしまった。多分もういないと思う。
この頃の日記を公開したらお金になるのだろうかとかときどき考える。(しない)
ところで生活力がないと、荷物はいつも少ない。めちゃめちゃ少ない。引っ越しは容易いもので、大きめのスーツケースひとつとリュックで済む。ちなみに今もそうだ。いつでも日本にだって、他の国にだって行ける量だ。目に見える全財産に価値などない。
関係が深くなった人間に過去の話をすると、波乱万丈などと言われたことがある。わたしには落ち着いて生きる能力が欠けているだけである。好きで波乱の波に乗っているわけではない。
と、言いながら、やっぱり刺激が好きなのかもしれないとも思う。何かが、何かがおかしいのだ。でも、何が?
わたしは、見た目は普通の人間だ。小さめのアジア人で、特に変わった様子もなく話しても普通だと思う。
けれど、普通に食べる、も普通に寝るも、同じ場所に居続ける、もわたしには出来ない。
むしろ、見た目から変なほうが、生きるのは楽だったのではないかと思うことがある。
わたしには、この文章がドン引きされているのか、それとも実はどこかで共感している人がいるのか、それさえ分からないのである。