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仁比聡平議員(共産)質疑 2024年12月19日参議院法務委員会

本日行われました参議院法務委員会で、仁比聡平議員が女性差別撤廃委員会勧告と共同親権に関する質疑をしてくださったのでお知らせします。

仁比議員
家事、民事の分野にちょっと問題を変えますけれども、先だって女性差別撤廃条約委員会の、8年ぶりの日本審査が行われました。お手元にその報告を政府の仮訳でお配りいたしましたけども、「結婚と家族関係」というパラグラフで、「委員会は懸念を持って以下に留意する」として、今日取り上げたいのはbというところです。
「現在の協議離婚制度のもとでは、家庭裁判所は、虐待的な父親が関与するケースであっても、また保護命令を出すべきケースであっても、子どもの面会権を優先することが多く、子どもと被害者である親の両方の安全が損なわれる可能性があるとの報告に留意する」と。勧告として、次のページですが、「離婚を求める女性に利用しやすい料金で法的助言を提供し、子どもの親権と面会交流権を決定する際に、ジェンダーに基づく暴力に十分に配慮することを確保するため、裁判官と児童福祉士の能力開発を強化拡大する。」
この勧告について、最高裁、まずどのように受け止めてますか。

最高裁判所事務総局モウタイ家庭局長
委員ご指摘のような勧告がされたことは承知してございます。
これを含めまして、面会交流事件等の審議に関しましては、さまざまな立場からのご意見があるものと承知しています。
いずれにいたしましても、一般論として、親権や監護に関する事件の審理にあたりまして、DVや虐待といった安全、安心に関する事情が適切に考慮されることは重要であると認識しておりまして、各裁判所においても、この安全、安心を最優先にした事件の解決が図られるよう努めているものと承知しております。また、DVや虐待に関する知見を含む専門性の向上も重要であると認識しておりまして、最高裁といたしましても、裁判官等の研修の充実を含め、そのための取り組みを続けてまいりたいと考えております。

仁比議員
勧告を様々な意見の1つとしてしまって、「いずれにいたしましても」と言って自分の取り組みを語ると。この論法っていうのがずっと繰り返されてきました。国際人権水準の意味について、日本の裁判所や裁判官は一体どう考えてるのかと。法的規範として考えていないのではないかという強い批判が国際的に寄せられてるわけですね。
私、その点で、時間がありませんから1問だけ伺いたいと思いますけども、この「ジェンダーに基づく暴力」ということをどう捉えるのか。
DVについて言いますと、DVとは家庭内の権力格差を背景として行われる支配であって、権力によってパートナーを支配する人間関係の構造そのものがDVだ。暴力はその支配の手段に過ぎない。支配するために得意な形態の暴力が振るわれる。ところが、DVの本質が、そうした個人の尊厳を害する支配であるという理解は、日本社会においても司法においても著しく遅れている。
加害者は加害の自覚がなく、一方で被害者は被害に自信が持てないという実態がある。
私は、こういう実情が現実に存在する、DVとはそういうものであり、社会の実態として存在する。特に被害者は自ら自覚もしてない、だから訴えることはない。
例えば、調停で双方の意見を傾聴いたしますと言ってみたところでですね、そうなると、自分が訴えることはないわけですから、もう一方当事者の話ばっかり聞いて、「お父さんは反省していますよ」とか、あるいは「夫婦間の問題は親子の問題ではありません」とか、「別の問題です」とかですね、そんな裁判、調停になってやしませんかと。これ正すっていう研修などの取り組みが必要ではありませんか。

最高裁判所事務総局モウタイ家庭局長
まず傾聴ということについて申し上げると、調停における傾聴というのは、単に当事者の話を受け身で長時間聞くということではなく、当事者との信頼関係を醸成しつつ、紛争解決にあたって必要な客観的な事情や、その意向等をお聞きして、その過程において浮かび上がる課題に当事者が向き合うこと等も施行されておりまして、当事者にDVの自覚がない限りはDVに関する事情が把握できないというものではないと承知しております。
その上で、DV被害の特性、委員ご指摘のような特性も含めて、DVに関する知見、理解を深めることは極めて重要であると認識しております。
研修等の専門性向上を図るための取り組み、これを引き続き続けてまいりたいというふうに考えております。

仁比議員
家裁調査官を担っていくための養成過程の研修だったり、調停委員の研修などの、そうした立場での抜本的な転換が私は必要だと思いますし、先般の国会で成立した改正民法819条の共同親権の問題でも、そうした被害者が、つまり言えない被害者がそのまま共同親権を強いられるっていうようなことになっては絶対にならないと思いますので、そうした取り組みについて引き続き議論を深めていきたいと思います。ありがとうございました。


以上
誤字脱字がありましたらすみません

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