さりげない差別発言
つるの剛士さんが、家庭菜園で手塩にかけて育ててきたパクチーを盗まれた、とツイートしていた。丹精こめて世話してきたものを引っこ抜かれるとは、その無念はいかばかりか、と思うが、このツイートをめぐって「差別」、「差別ではない」という論争が起こっているようだ。
オリジナルのツイートは次のとおりである。
うちの畑も最近パクチーやられました(現行犯でしたが※「日本語わからない」に一点張り)ので気をつけてください。悲しいですが監視カメラ取りつけました。(https://twitter.com/takeshi_tsuruno/status/1301733512366583808)
そして、もう一つ。
一応目星がついていますので。畑近くの工場で働いてる外国人。もちろん次見つけたら通報します。(https://twitter.com/takeshi_tsuruno/status/1301735519114547200)
この「日本語わからないの一点張り」、「近くの工場で働いてる外国人」という表現が問題になったのだが、本人は「事実を言っただけ」と言い、擁護派は「つるのさんは事実を言っただけ」と言う。それはそうだろう。
ただ、だからと言って差別表現ではないとは言えない。まだ確定はしていない。だから、そんなことをわざわざTwitterで言う必要はない。例えばこれを「犯人はうちの近くのコンビニで働いてる日本人」だとか「犯人はうちの近くの大学の学生」などと言うか?という話である。そして、捕まえてみればつるのさんの言う通りだったとしよう。「やっぱり事実だったじゃないか。だから問題ないだろう」で済むのだろうか。そんなことはない。このツイートによって、外国人は盗みを働きがち、という先入観がいっそう広まったことは確かだ。
犯罪でも何でも、個人の問題であって、その人の属性の問題ではない。だからここは単に「パクチーを盗まれて悲しい」だけで止めておけばよかったのである。本人に差別意識があろうがなかろうが関係ない。無意識であれ、こういう発言は差別につながるということをもう少し冷静に考えた方がいいのではなかろうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?