j : joke
「私は神様です」
「どうしたの急に」
「いろいろ頑張って、人を創りました」
「すごい。ありがとうございます」
「けど、あなたのことは冗談で創っちゃったの」
「何それ。めっちゃショック」
「ショックなの?」
「ショックでしょ。私は何のために生きてるのさ」
「案外気が楽かもよ。『失敗したー!! あ、まぁ冗談だしいっか』みたいな」
「『成功した―!! あ、まぁこれも冗談か』ともなるよね。それ」
「じゃぁ何のためにあなたは生きてるの? お金持ちになるため? 世界中のスイーツを食べつくすため? 家族と穏やかに過ごすため? 世界を平和にするため? 世界が平和になったら、あなたの人生はおしまいでいいの? 世界が平和にならなかったら、あなたの人生には価値がないの?」
「私の人生で世界を平和にしようだなんて、思ってないよぉ」
「でね。私は思ったの。人生とは、人生を生きることなんだって」
「まんまだね」
「もっと言うと、人を生きることなんだよね」
「人を生きる?」
「人生って、『人を生きる』って書くし」
「あ、言われてみれば」
「人生っていうのはさ、いまこうやって、人を生きてるこのときに、もう価値があるんじゃないのかな」
「いま君と話してるこのときに?」
「いまあなたと話してるこのときに」
「それって、すごく素敵なことね」
「うん。それって、とっても素敵なこと」
「それなら、冗談みたいな人生も、あんまり悪くはない気がする」
「もちろん真剣に生きたって、価値があるのよ」
「冗談に対して真剣に生きたら?」
「えーっと、それってどういうこと?」
「んー。ただの冗談」