【感想文】ペリリュー 楽園のゲルニカ 11巻(最終巻)
スマホのスケジュールにこの日に発売されると登録するくらい
楽しみにしていた最終巻。
本屋に行って速攻購入してきました。
表紙は、パラオの海を表す青い海。本当にこんな風にウミガメや魚が泳いでいるんだよなぁ。
そこで今まで登場してきたキャラクターが仲良く楽しそうに泳いでいる。
パラオって本来、こんな風に楽しむ場所だと思う。
内容は田丸君の戦後。
こうしてたくさんの引き揚げ者の皆さんが、戦後を淡々と、力強く生きてきたんだろうな。変に誇張したり、感動させようとする演出がなかったのもよかった。生き続けるというのは、案外淡々とした作業にも思う。
一日一日踏みしめる毎日に、いつも心に大切に思う人がいること。
それが支えになって進み続けることができたこと。
それが描かれている最終巻でした。
実は生きてました、とか、実はこの悲しすぎる日々は夢でした、とかじゃなく、私はこの漫画を評価したいのがそこで、現実はそんな理想ばかりではない、苦しいことも実際多くて、もがき苦しむことも多くて
それでも僅かでも進むことができる一縷の望みみたいなのが点在している。
それをしっかり見て、糧にして生きていくことをすごく丁寧に、静かに描いているところがすごいなぁと。
戦争モノの映画やドラマも多々見ましたが、非現実な内容なら大きく書いてもいいと思うんですよ。でも、戦争は現実。現実を描かなければならないと今は思います。
そういった意味では「この世界の片隅に」は、この漫画と色が似ているなと個人的には思いました。私はそう言うのが一番事実をしれていいと思います。
特別な人だけではなく、今を生きる私たちと同じ、たくさんの人が巻き込まれた戦争。ドラマで描かれたように毎日がドラマティックで泣いて叫んで、ではきっとなくて、多くの人が淡々と日常生活を送りながら耐えるしかなかったのではないかな。耐えがたい状況の中に楽しさを見出しながら。
戦時中のペリリュー島での状況の描き方も、ちょっと楽しいことがあったり笑ったりしたシーンを描いたのも私はすごく大切だったのではないかと思います。
ラストのシーンは、今まで読んだ戦争漫画やドラマ、映画とは全然違っていて不思議な描き方でした。
パラオに行ったことがある身としては、十分ありうる状況だなと思いました。またここでも、別の角度からの「生きる」とは、を感じます。
戦争はいいものか、悪いものか。そりゃ誰だって喧嘩、戦い、争いなんてしたくないんじゃないだろうか。
できれば誰とでも仲良く、生まれてから死ぬまで誰からも嫌われず好かれ、自分も全世界の人を好きでいられたらと思うんじゃないだろうか。
戦争の元、被害を受けた人、人だけでなく動物、植物、自然…それを考えたらないに越したことはない。
それでもなぜ、戦争は起こり、今も起こっているのか。
日本はどうして参戦しなければならなくなったのか。このペリリュー島の戦いはどうして起きたのか。
日本人だから日本を贔屓に思うことはしたくないけれど、国単位で争うときには「欲」だけではない理由があると考え始めたのが私が戦争に興味を持った理由です。
非難、批判することは簡単。1対1の人間関係でも言えますがどうしてそうなるのか、ということを考えることから、「争わない」という状況がうまれるのではないだろうか。
戦争のあった時代にうまれていなかった私には、それを考え続けることが平和に協力することだと考えています。
このシーン、本当にそうだなと。全然昔の話じゃないよな・・・
いつか、もう一回パラオに行ってみたいな。
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