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豆腐屋のひとり言 美味しい豆腐って?

豆腐屋の目標は、やっぱり美味しい豆腐を造ること。じゃあ美味しい豆腐ってどんな豆腐?

服部の豆腐を美味しいと言ってくださるお客様がおられる一方で、こんな豆腐食べられないと言う言葉をいただくことも有る。同じ豆腐を食べてもこれである。

豆腐の美味しさを表す表現として良く使われるものに「大豆の旨味が感じられる」とか「しっとりとした絹のような舌ざわり」というのがある。
そもそも豆腐というものは大豆から造るもので大豆の旨味が感じられるのは豆腐屋にしてみれば当たり前のこと。
舌ざわりについても絹のようなとか木綿のしっかりとした食感とか、そこを意図して造っているのでそうあって当然なのだ。

ちゃんとした豆腐屋が造る豆腐なら美味しさの基本要件は備えていて当然、逆にそうでないなら「それって豆腐なの?」と問いたい。

美味しさというのは多分に主観的なもので可視化するのは難しい。
タンパク質が〜とか旨味成分がとか数字を並べてみても頭は「そうなんだ」となっても舌が納得するわけではない。
結局美味しいかどうかは食べた本人にしか決められないものだから。

万人に美味しいと言ってもらえる豆腐はあり得ないと思う。10人いれば10人の好みがあるから。
豆腐屋は「これが美味しい豆腐だ」と自信を持って言えるものを造れるよう日々精進して「この豆腐美味しいね」と言ってくださるお客様を一人でも多く獲得していくだけなのだ。

美味しい豆腐って?その答えは、あなたが召し上がって美味しいと感じる豆腐です。
投げちゃうみたいですが服部は美味しいと言ってくださるお客様に巡り会えるよう今日も豆腐を造り続けます。
深まりゆく秋の豆腐屋のひとり言

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