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漢拏馬(ハルラ/ハンラ馬)レースの廃止
恐らくずっと前からアナウンスされていたことだとは思いますが、本日KRAのYouTubeチャンネルに上がっていた動画で、2022年末をもって漢拏馬(ハルラ/ハンラ馬)によるレースが終了されるとのことを知りました。
![](https://assets.st-note.com/img/1665118180353-GAnXseTfpr.jpg?width=1200)
この漢拏馬とは何でしょうか。
ワタシも済州のポニー競馬についてはさほど興味無く過ごしてきましたのでここにきてのにわか仕込みの知識ではありますが、済州競馬は漢拏馬と天然記念物でもある済州馬の2種類によってレースが行われ、それぞれが独立してレース編成されます。それは何故かと言うと、漢拏馬は済州在来種とサラブレッドとの混血であり、済州馬と比べて持っているスピードが全く異なるからです。
その例として、両馬の走破時計をご紹介します。
![](https://assets.st-note.com/img/1665119570496-I8ICRIrKQx.jpg?width=1200)
https://race.kra.co.kr/raceScore/RecordKinds.do?Act=04&Sub=6&meet=2
例えば1200m戦(ダート)でみてみますと、漢拏馬は最下級(C3)でも平均1.25.8で走るのに比べ、済州馬はオープンクラスでも平均1.37.0かかります。(ちなみにサラブレッドは最下級C6でも平均1.15.6と段違いに速いです)
このタイムの違いは体型・体格の違いにも依っており、以下のようにパドックの様子からもその違いがハッキリと見てとれます。
![](https://assets.st-note.com/img/1665127319127-Zqi60BdYrl.jpg?width=1200)
ずんぐりむっくりで脚がガッチリ
![](https://assets.st-note.com/img/1665127367428-HaLf6RE8Vi.jpg?width=1200)
馬体が高く、サラブレッドのようにスラっとした脚
馬体重は済州馬がだいたい200kg台であるのに対し、漢拏馬は300kg台とやや大きい傾向にありますが、サラブレッドの血が入っていますので体が大きいのは当然です。そのため、漢拏馬は体高137cm以下であることが求められます。
ちなみにいま漢拏馬の中でレーティング2位の馬は近走が338kgですので、これはもうメロディーレーンと同じぐらいの体重にはなりますが、済州馬ともども騎手は天神乗りです。体重は同じほどでもやはり体格が小さいのでモンキー乗りには適さないのでしょう。
このようにサラブレッドの血も入っている漢拏馬ですが、悲しいことに血統管理されていませんのでデータベースには血統表がありません。もちろんサラブレッド対象のスタッドブックにも掲載されていません。一方で済州馬は血統管理が進められており、天然記念物でもありますのでKRAとしては管理可能な種の保存のほうに舵を切るのも仕方が無いことかと思います。単にスピード感を追求するだけならサラブレッドで十分ですしね。
とは言え、済州馬もまだ血統表を全て埋められるような馬は多くありません。以下は現在最高レーティングのORASEUTA/오라스타(牝5、17戦16勝)の血統表ですが、父系は3代前、母系に至っては1代前までしか埋められていません。このことからも、先祖がよく分からない漢拏馬よりは済州馬の血統管理を優先させるという背景がよく理解できるものとなっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1665132741353-JD7MaplHGb.jpg?width=1200)
現状、用途変更や死亡日までトレースされていないと思われる漢拏馬の今後の行く末を思うと少し重い気持ちにはなりますが、これまで済州競馬を支えてきたのが漢拏馬ですので、こうして彼ら彼女らのことを少しでも記録として残そうと思い、本日の記事としました。来年以降、漢拏馬のことをいつまでも記憶に留めながら済州競馬にも注目していこうと思います。
ご精読ありがとうございました。