ソウル競馬場ガイド(馬券購入編)
以前の記事(施設概要編)ではソウル競馬場への入場から中での過ごし方などについて大枠をご紹介しました。
ここでは最も肝心な馬券の買い方についてご紹介します。なお、本記事のタイトルは「ソウル競馬場ガイド」となっていますが釜山慶南競馬場・済州競馬場でも同じシステムですので内容は共通です。
馬券の種類
韓国の馬券種類は以下の通りです。枠番式は無く馬番式のみです。
(カッコ内は現地表記:ハングル/漢字/英語)
漢字表記だと馬連と複勝が入れ替わっているので韓国語が読める方には一瞬混乱を引き起こしますが、マークカード記入時に1頭書くか2頭書くかの大きな違いがありますし、複勝と馬連とではオッズ表示方法も全く異なるので、買い間違いなどは起きないでしょう。
三連単はネット投票用モバイルアプリ("DerbyOn")のみで単なる旅行者は購入不可です。と言いますのもそのモバイルアプリは住民登録番号と韓国での銀行口座を登録しなければならず、実質的には実名での記名購入になるからです。これは実名で責任ある購入を行わせることにより三連単の高い射幸性に対して少しでも自制させようという目的かと思われます。
なお、韓国でのネット投票は6か月間の試行期間を経て2024年6月より正式施行となりました。
馬券の購入上限額(要注意)
100ウォン単位(最小100ウォン)で購入可能ですが、法により一人1レースの購入上限は10万ウォン(約1万円)です。発売窓口をはしごすることにより上限以上の購入を行う人もいますが(実際現地でワタシもそういう人を見ました)、これは違法行為です。
実際、これは2019年か2020年の数字かと思われますが、一人が複数窓口で購入したり、他人に委託して購入した結果、摘発された事例が年間5,000余件(氷山の一角でしょうけど)にのぼると韓国国会でも報告されるぐらいですので、この上限制は建前ではありません。
韓国という旅先で1レース1万円も購入できれば十分かと思いますし、ビッグなリターンを期待するのであればカジノにでも行きましょう。
あと、ノミ行為に対しても厳しい対応が行われており、それを見かけた人が当局に通報して捜査・摘発に役立った場合は通報者に対して報奨金が出るという制度もあります。ちなみにネット投票未解禁の頃はレース実況の生放送も禁じられており、ノミ行為に資するべく競馬場内でのオッズ画面・レース映像をリアルタイムで配信することも禁止で通報制度の対象でした。
このあたり、現在どうなのかは不明ですが場内では係員が結構目を光らせていますしノミ行為は依然としてダメですので、紛らわしい行為はやめておいた方が無難です。例えば下の写真のようにビジョンをパチリと撮ったり、モニター画面が映り込むぐらいは問題ありませんが、長い時間固定して撮影するようなことは旅行者といえども疑われる可能性がありますので、くれぐれも控えましょう。
馬券の買い方
①購買券(バウチャー購入)
まずは有人窓口にて購買券(バウチャー)をお買い求めください。この有人窓口では馬券は購入できません。
有人窓口には小窓が二つありますが左が「客→係員」、右が「係員→客」の受け渡し専用となっています。つまり、左側の方へ現金を差し出すとバウチャーが右側から渡されるという仕組みで、言葉は不要です。
なお、5万ウォン札を出して「2万ウォンだけバウチャー購入」という場合はその旨伝える必要がありますが、あとで残額を現金化すれば良いだけですので(無言でバウチャーを出すだけでお金になって返ってきます)、まずは多めに引き換えておくのも一つの手です。
その後マークカードを使って場内に数多く設置されている自動発売機にて馬券を購入します(一部現金が使える発売機もあります)。
②マークカード記入
普段から日本で馬券を購入されている方々にとってみればほぼ全てにピンとくるかと思いますし、この1種類のみのマークカードでボックス・流し・フォーメーションの購入も可能です。
ただし「馬番号が重複したらエラー」という仕組みにつきフォーメーションにはちょっと使いづらいところがありますし(例えば三連複1-(2,3)-(2,3,4)は不可で、1-(2,3)-(4,5)であれば可能です)、馬単のウラや流しマルチは未対応ですのでご注意ください(馬単ウラはボックスで代用可)。
それではマークカードの記入法について以下、実例を並べてご紹介します。
(赤サインペンや鉛筆はエラーになりやすいため、競馬新聞購入時に付いてくる黒サインペンや持参した黒ボールペンでしっかりとご記入ください)
③自動発売機へ
マークカード記入が終われば自動発売機にて購入です。
投入口が一つしかありませんので①バウチャーか的中馬券、②マークカードの順に放り込むだけですが、両方とも矢印のある向き(①は上下逆さまになります)に入れないとエラーで返却されますのでご注意ください。
馬券が当たったら
馬券が的中した場合、そのまま有人窓口に行って払戻を受けても良いですし、次のレースに臨むようであればそのままバウチャーとして使うこともできます(金額不足分はバウチャーを追加するか、他の的中馬券で充当ください)。このあたりは日本と同じですね。
的中馬券の払戻期限は1年後です。日本よりずっと長いのがグッドです。
なお、有人窓口での払戻はバウチャー購入と同じ流れで、左側の小窓にバウチャーか的中馬券を差し出すと、右側から現金が返ってきます。
的中馬券への課税
日本では最近何かと騒ぎや問題になっている的中馬券への課税ですが、韓国では下記①か②に該当する場合は払戻時に所得税として源泉徴収される仕組みとなっています。
②については、10万ウォンの購入上限制がある中で3億ウォン超の払戻を受けるためには最低3000.1倍を当てる必要がありますので、あまり考えなくても良いでしょう。
一方で興味深いのが①で、これは購入金額とオッズの兼ね合いで払戻金が比較的低額でも課税される場合がありますし、その逆(高額でも非課税)もあります。
ケースA)500ウォン×200.0倍=100,000ウォン(非課税)
ケースB)1,000ウォン×100.1倍=100,100ウォン(課税)
ケースC)20,000ウォン×100.0倍=2,000,000ウォン(非課税)
ケースD)20,000ウォン× 100.1倍=2,002,000ウォン(課税)
ケースE)30,000ウォン× 70.0倍=2,100,000ウォン(課税)
実際、ワタシはケースBに近いものとして1,000ウォン×215.3倍=215,300ウォンで課税されました(2022年11月13日 ソウル8R 馬単)。課税される場合は下のような証明書が発行されるのですが、確かに所得税として差し引かれています。
これについて友人に話した時、「それなら最初からオッズに反映させておいた方が良いのでは?」との意見でしたが、そうなりますと払戻率の低下(テラ銭のアップ)に繋がり、全ての馬券購入者にとって不利になります。よって、「高額・高倍率の的中者から金を取る」というのはある意味合理的なのかも知れません。
以上、馬券購入編でした。とりあえず最初にバウチャーを買っておけば、あとは都度現金のやり取りが無いため、JRAとは一味違うキャッシュレスのシステムとしてこれはこれで便利です。
ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
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