GIの格
とある読者様とのやり取りの中でエアダブリンの名前が出てきた時、久しぶりにライスシャワーについてその記憶の扉を開くこととなりました。
ライスシャワー
最近はウマ娘の盛り上がりで同馬の名前をあちこちで見ることができますので詳細は語りませんが、最後のレースとなった1995年宝塚記念のことはまだ鮮明に覚えています。
正直、27年経った今もまだトラウマが治っておらず、時間は妙薬になっていません。また、今はYouTubeなどで手軽に観れるレース映像も、あの生中継以来一度も観たことがありません。そして、多分これまで無意識のうちにその記憶の扉を固く閉じてきたと思います。(だからここでは動画リンクを貼りません…)
でも、今日はライスシャワーにとって宝塚記念の前走となる第111回天皇賞・春についてちょっと記憶の扉を開いてみます。
第111回天皇賞・春(1995年)
ワタシが競馬を本格的にはじめたのはナリタブライアンのクラシックからなので、ライスシャワーのことを実際に認識したのは1994年の有馬記念。3歳馬同士の決着(1着ナリタブライアン、2着ヒシアマゾン)で馬連が的中し喜んでいたのですが、同時にひそかに期待していたナイスネイチャの”4年連続3着”の珍記録が途絶え(5着)、代わりに3着に来たのはライスシャワー。
「また記録破りかよ!」
でも9か月ぶりの出走、しかも有馬記念でいきなり3着に来たので強い馬だと認識し、すっかり推し馬に。翌年(1996年)の京都記念・日経賞は精一杯応援したのですが共に6着。多頭数の6着なら「まだ次が」と言えるのですが、実際は両レースとも8~9頭立ての少頭数だったので正直「終わった」感を持ったのも事実です。
そうして迎えた第111回天皇賞・春。
「やはりライスシャワーはもう終わったのかな」との思いがあったので、彼の好走には依然として期待しつつもお金の話はまた別とし、馬券は長距離戦(ステイヤーズS、ダイヤモンドS)連勝の1番人気エアダブリンの単勝を500円購入。当たっても2000円に届かない配当に過ぎませんが、まだ当時はそれで十分楽しめるスタイルでした。
結果は・・・ご存じの通りライスシャワーがハナ差でステージチャンプを退けて優勝。エアダブリンは5着でした。
ライスシャワーが早めのスパートをかけ、大外からステージチャンプが猛追する中、エアダブリンはどう見ても勝ち目が無かったのですぐさまライスシャワーの応援に切り替えました。
ステージチャンプも2年前の菊花賞(優勝はビワハヤヒデ)で2着に来ており、当時はステイヤーとして活躍していたのでファンも多かったと思うのですが、こうなったら勝ってほしいのは唯一のGI馬であるライスシャワーです。
「やったやったライスシャワーです!」
「メジロマックイーンもミホノブルボンも喜んでいる事でしょう」
という杉本清さんの実況は有名ですが、あの時に解説者が言ったのか、あるいはその後のメディアでどなたかが言ったのかは忘れましたが、出走馬中唯一のGI馬が勝ったことに対し、「ライスシャワーはGIの格を守った」という言葉が当時ワタシの胸に大きく刺さりました。
GIの格を守るということ
GIの中で最も長い歴史と伝統を持ち、最も格式が高いレースは天皇賞でしょう。春の3200mは時代に合わないとの声も出てきていますが、個人的には今でも「長距離こそ最強」と思っていますので春の天皇賞が一番好きなレースです。それであるが故に出走馬が全てGI未勝利馬とかにはなってほしくないですし、GIの中のGIのような天皇賞では必ずGI馬に勝ってほしいとの思いが強いです。
それを叶えてくれたのがライスシャワー。
折しも、今年5月の第165回天皇賞・春では唯一のGI馬であるタイトルホルダーが優勝し、彼もまたGIの格を守ってくれました。あとは2019年(第159回)のフィエールマンもそうでしたね。
でも、今よりももっと天皇賞・春の格が高かった27年前にそれを守ってくれたライスシャワーという先達がいたことを、そしてライスシャワーは決して悲劇の馬や記録破りの馬だけではないということが、今後も競馬ファンたちの胸に刻み続けられていくことを願っています。
実際、唯一のGI馬が大きく負けたりするとレースレーティングが下がってしまい、その後のグレード格付けにも関わってきますしね。
今回もご精読ありがとうございました。
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