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どうせ歩くなら西国街道06【本山〜三宮】

西国街道を(ちょっとづつ)59歳女が歩いた記録です。

今回歩くのは東灘区の旧5町村のうち太字の地域。
本山から住吉まで。

・本山村
本庄村
・魚崎村

・住吉村
・御影町

東灘区 旧五町村のエリア

JR甲南山手駅の改札を出たら
いきなり眼前に六甲の山並みが!
近っ!!

神戸の街を東西に歩くと
道の右と左の高低差が肉眼でわかります。
こんな傾斜のきつい細長い土地が
ここまで大都市に発展するとは。
一にも二にものおかげなんだろうな

駅周辺のハイソ感漂う住宅街の
ゆるやかな坂を南へと下り
国道2号線森南町1交差点に出て
本日はここからスタート。

付近の飲食店やパン屋さんがおシャレで
見ながら歩くのも楽しいのだが
でもしょせん国道2号線。
景色が単調でだんだん飽きてくる。

こういう場合は
「本日のスペシャルテーマ」
みたいなのを決めて歩くと
楽しいかもしれない。

そう思っていろいろ考えたけど
まったくアイデアが浮かばない。
発想が貧相すぎて泣けてくる。

仕方ないので
BGMを聴きながら歩くことにして
チェックポイントごとに
その時の曲を記録してみました。
軍歌が二つも入っているのは
隠れ(る必要はないのだが)
軍歌愛好者だからです。
歩くにはもってこいだし
文語調の肺腑沁みいる歌詞が
いいのです。

さてさて
歩き初めてすぐにあらわれたのは
高さ5.8メートルの赤い鳥居。

森稲荷神社 赤鳥居(神戸市東灘区森南町2丁目

扁額には「稲荷神社」と書かれてます。
でもその先に神社は・・ない。

石標を見ると
「稲荷の社 ここより三町(109m×3=327m) 」

ということでこちらに鎮座されていました。

そう。参道の長さは約400メートル。
さらに道中ではJRと阪急神戸線の線路があって
それをくぐって進むという
アミューズメントっぽい体験ができるらしい。

しかし歴史を遡れば
そんなことで喜んでいられません。

大東亜戦争時の米軍による空襲で
このあたりは大きな被害を受けます。
狙われたのは本庄村の川西航空機甲南製作所。
この時に目標とされたのがこの赤鳥居。

もし赤鳥居に心あらば
そんなことに利用されて
悔しく悲しかったことでしょう。
そもそも鳥居は聖と俗の境界として
日本人が大切に守ってきたもの。
それをこの仕打ちって。

BGMは「軍艦行進曲」
鬼畜米英め。許すまじ!
一人戦意高揚。

国道地蔵尊に到着。

国道地蔵尊(神戸市東灘区本山中町)

多数のお地蔵さんと震災慰霊碑に手を合わせます。
ここは震災の被害が最も大きかった地域。

あの朝。京都もかなり揺れて
郵便局でもらった地球儀の形をした
プラスチックの貯金箱が
キャビネットの上から
私と幼い息子たちが寝ている布団めがけて
水平にビュンと飛んできたっけ。
部屋はまだ真っ暗だったはずなのに
スポットライトを当てたように
貯金箱だけがはっきり見えたのを覚えている。

ショッキングな出来事とセットになると
そんなささいな記憶がトラウマを呼び起こし
永遠に忘れることができなくなる。
壮絶な光景を目の当たりにした人々は
それをどれほど抱えておられるのだろうか。

西国街道は田中東交差点の
三王神社の東から北に入って
さらに西に曲がって2号線と並行します。

神社のそばにひっそりたたずむ石碑
見逃し注意!

三王神社(神戸市東灘区本山中町)

西へ曲がるところがわかりにくくて
行き過ぎたり戻ったり。

西国街道入口(神戸市東灘区田中町)

この辺りは古い家がほとんどない。
今どきの小ぎれいな一戸建てとマンション
それらが目立って多い。
住んでいる方たちの多くが
震災後に移転してきたのだそう。

そんな静かな住宅街にいきなり登場したのは

首地蔵(神戸市東灘区)


おっと・・びっくりした!
首から上の病気に霊験あらたかの
首地蔵さま。

ここを過ぎると再び国道2号線に合流。
たくさんの人や車が目に飛び込んでくる。
東には住吉川。頭の上にはポートライナー。
そして林立するタワーマンション。
住吉川を渡れば住吉駅はすぐそこ。
旅もそろそろ終わり。

何だかあっけなかったな。
そう思いながら前方を見たら
松並木が目に入った。

ここにきて本日一街道っぽい景色。
何だろう? 行ってみる。

住吉川と松並木
(神戸市東灘区魚崎北町)

松並木は住吉川左岸にそって南北に続く。
しかし街道ではなかった。
隣の学校の通学路だった。

灘中学校・灘高等学校(神戸市東灘区魚崎北町)

国内の俊英が集う灘中灘高はここだったのね。
山と川の美しい絶好の学習環境は
「住吉川のせせらぎに」とか
「六甲山を仰ぎ見る」とか
校歌に歌われてそう。

と思ってHPを拝見したところ全く違った(笑)
しつこいですが発想が貧相すぎる。

昭和7年に制定された校歌は旧制中学らしく
男子の内なる本懐を鼓舞するような
こちらも高雅で崇高な文語調の歌詞。

校舎が素敵ですね
昭和初期に建てられた洋館と松が調和してて
おしゃれ? かっこいい? いや違うな。
ハイセンス! まさしくそれ。
優秀な人材がポンポン生まれるのも
何だかわかるような気がします。

学校とはなんぞや。教育とはなんぞや。
いろいろ考えながら住吉駅前に戻ってきました。
そういえばあたりは塾の看板が目立つ。

引越しの際にチェックするべき
ポイントの一つが
「駅前に塾が多い地域を選べ」
でも住吉駅前にはいい感じの
駅裏飲み屋街もあるんですが
これはいいんでしょうかね。

最後は本住吉神社に再びお参りして
感謝とお礼。
今回も無事に歩くことができて
ありがとうございました。

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