レタスの反乱
僕はレタス。
サンドイッチの中で
他の具材たちと一緒に毎日頑張っている。
だけど、いつも僕はハムやチーズ、
トマトに埋もれて目立たない。
せっかく新鮮でシャキシャキしているのに、
どうしてみんな僕を主役にしてくれないんだ?
「僕だって主役になりたいんだ!」
そんなある日、僕は決意した。
今日は絶対に他の具材に負けずに、
サンドイッチの主役になってみせる!
僕は自分の存在感をアピールするため、
パンの間で思い切って体を膨らませてみた。
「おいおい、何をやってるんだ?」
とハムが言った。
「ここは僕がメインで、君は脇役だろう?」
「そんなことない!」
僕は抗議した。
「僕はこのサンドイッチのシャキシャキ感を担ってるんだ。
君たちがいくら美味しくても、
僕がいなければ味が単調になるんだよ!」
チーズも冷静に言った。
「いやいや、
僕のクリーミーなコクこそが
サンドイッチの醍醐味さ。
レタスなんてただの飾りじゃないか?」
「飾りだって?
僕は栄養だってあるんだぞ!」
僕は体をさらに膨らませ、
パンから少しはみ出してみた。
その時、トマトが横からひょっこり顔を出してきた。
「みんな、落ち着いて。
サンドイッチは全員が協力して美味しくなるんだよ。
レタスも、もちろん大事さ。
でも、みんなの役割があってこそ完成するんだ」
僕はトマトの優しい言葉に少し心が揺れたけれど、
どうしても納得できなかった。
いつも「サンドイッチの脇役」として扱われるのは
嫌だったんだ。
そこで、僕は最後の手段を使うことにした。
「いいか、僕が主役になる瞬間を見せてやる!」
僕はそう叫び、
パンの間から大胆に飛び出してみせた。
「おい、レタス! 戻ってこい!」
ハムが驚いた顔で言った。
でも、僕は止まらなかった。
サンドイッチから飛び出した僕は、
テーブルの上でくるくると踊りながら
主役感をアピールし続けた。
しかし、その瞬間、風が吹いてきて、
僕の体がひらひらと飛ばされ始めた。
「えっ、ちょっと待って!
風なんて聞いてない!」
僕は軽すぎたのだ。
風に乗ってどんどんテーブルから遠ざかり、
ついには床へと舞い落ちてしまった。
そこには、何日も掃除されていない
埃っぽい床が広がっていた。
「これじゃあ、誰の役にも立たないじゃないか…」
僕は悲しい気持ちで床に横たわり、
ふと気づいた。
サンドイッチの中で
他の具材と一緒にいる時こそ、
自分が最も輝いていたのかもしれないと。
その時、上の方から人間の声が聞こえてきた。
「あら、レタスが落ちちゃったわ。
代わりにキュウリでも入れようかしら」
「えっ、キュウリ!?
それは違うだろ!」
僕は心の中で叫んだ。
でも、もう遅かった。
僕はサンドイッチに戻ることもできず、
新しい具材に取って代わられる運命になってしまった。
こうして、レタスの反乱は失敗に終わった。
僕は自分の軽率な行動を後悔しながら、
床の上でひっそりと乾燥していった。
でも、少なくとも一度は
本気で主役になろうと挑戦したんだ!
それだけでも誇らしい
…のかもしれない。
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