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水色とピンクの配色である“雰囲気が大好きなポエマー女子”に好まれる空を見て、コスパ生活は都会にしか合わないなと考えた秋

11月となり、17時を過ぎる前には鮮やかに暗くなっている空を見て、寂しい気持ちになる。それにしても、水色とピンクの配色は“雰囲気が大好きなポエマー女子”に好まれる色だが、誰しもが懐かしむ色だよな、とぼんやり思う。

鮮やかな夕日を横目に、今年も鍋の季節がやってきたか、といそいそと冬支度を始める。石油ファンヒーターと電気毛布、安眠するための布団類。1年前、綺麗に掃除を完了して、しまい込んだ自分に感謝だ。目の前に鎮座しているでかい物体が、ほこりまみれのファンヒーターではなくて良かったなと安堵をする。温暖化で、暑さと寒さの境目が顕著になりすぎて、片づける機会を失ってしまった出しっぱなしの扇風機。来年の私が感謝するように、綺麗にふき取ってあげようと思った。

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春がやってくると、あの和菓子屋さんの限定桜餅が今年も出るかな、とウキウキする。夏がやってくると、キンキンにグラスを冷やしてビールを呑むことを心待ちにする。

そう、私は、季節と食をすぐに結び付けてしまう食悦だ。春夏秋冬関係ない。どの季節が到来しても、最初に思い浮かぶ単語は、すべて食だ。日本に生まれて良かったことは、季節と食事のおいしさだろう。

生きていく中で、切っても切り離せない欲望の一つ、食欲。皆が渇望する欲求だから、仕方ないことなのだ。私が食欲まみれで、それぞれ4つの季節を迎えてしまうことは、本当に仕方ないことなのだ。

2021年の今年の秋は、原油価格が高騰していて、ガソリンを愛車に入れるたびに、「これは交通手段の一つでもあるが、娯楽で趣味の一つでもあるんだ。なんでもコスパや簡略化することを求められる社会で、効率化をよしとされるような風潮があるが、わかりきっこない。必要経費だ。ほら、趣味がなくなってみろ、それこそ生きる意味がわからなくなるぞ」と、ぼそぼそ心に私欲念仏を唱えるが、仏様神様は個人的な欲望を見ては、ガソリン価格を安くしてはくれない。

歯を食いしばりならがら、給油をする。ちまちまと貯めたポイントで、持ち手0円で給油できた際には、「お得感を獲得できてラッキー」と、一時の快楽に錯覚をする。

今まで、消費行動の結果に付随してきたポイントに対して感謝をしているが、別モノに対価を払った消費を行うことで、結果としてポイントが貯まってるのである。どこかで消費はしているのだ。「ポイントが貯まるから」と理由をつけて、別商品を購入する原動力としていないか、と過去の自分が嫌になる。

ガソリンスタンドでレバーを握りながら、こんなことをちまちまと考えているのはアホみたいだと結論づけたときに、なんともいえない素速いスピードで増えていく数字が止まり、押していたレバーから、満タンになりましたよ、とガコンと音が鳴った。

値が上がりと言っても5円くらいだろと言われるが、その5円がちりも積もれば山となり、日常生活をむしばんでいくのだ。気が付いたら雀の涙で生活になってしまう。冬に温まるために食す、おいしいお鍋の材料が、気が付いたら野菜と豆腐ばかりになっているのだ。肉や魚がなくなって鍋がメインディッシュになる冬なんて!そんなのは嫌だ!

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毎日値上がりしていく数字を横目に、ハンドルを握っていると、叫びだして遠くまで逃げ出したくなる。矛盾をしているが、労働している中で現実から目をそらして、温泉旅行に行きたくなる感覚と似ている。

目の前にある現実は知らない。見えてない。必要経費と念仏のように思考の転換をさせて、言い聞かせる。私が、食悦で健啖家なのはどうしようもないことと同じだ。

地方田舎に住んでいて、車を所有するコストと公共交通機関で人生を費やすことを天秤にかけた時、やはり車を所有することの方が、メリットが大きいのではなかろうか(ライフスタイルによっては変わってくるが)。

地方田舎に住んでいて、山手線のようにばんばんと来ない列車や不便な乗り継ぎを呆然と待つのが現実、現代の流行りである“コスパ”にはほど遠い。“田舎でわざわざ”公共交通機関で時間を食うのは、冬に、キンキンに冷やしたグラスでビールを呑むことと同じだ。矛盾している。

いや、冬に暖かい部屋でキンキンのビールを呑む感覚。知覚は冷たいはずなのに、心は暖かくなる現象。電車に乗って目的地へ行けば、同じような体感ができるはずだ。

矛盾していても、メリットや気づきがあると思って、自家用車ならば30分で到着する場所を、わざわざ公共交通機関で時間をかけて目的地まで行こうと思った。


彼女は、理由をこねくり回し続けた結果、1時間半かけて目的地に運んだ自分を後悔するのであった。

田舎であることを前提条件として忘れ去られたコスパ流生活を、都会の人に応用するものということが欠落していて、洗脳されるようなことはもうしない。彼女は、こんなのはすべて必要経費だから!と言い聞かせて、秋限定のアイスを食らうのであった。


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