ある晴れた日のこと
ある晴れた日のことです。
ガラス一枚を隔てて、まるで別次元のように切り取られた喫茶店には外の緑を反射した温かな光が差し込んでいました。
時間が流れているのか、漂っているのか、
そこには何十年も前のことも、今のことも、今ではない別の時間かもしれないことも、同じようにひっそりと隣り合っているかのようです。
ふと気がつくと、珍しいお客さまがいます。
こんにちは。いいお天気ですね。
こんにちは。お越しいただきありがとうございます。
先日のお礼にと、寄らせていただきました。
お礼ですか?
はい。きれいに窓を拭いてくださったので、
今日はこうしてお邪魔することができました。
ありがとうございます。
こちらこそ、お越しいただけて嬉しいです。
珈琲でよろしいでしょうか?
そっと珈琲をお出しすると、嬉しそうにうなずきました。
ありがとうございます。いただきます。
ふんわりと珈琲をたのしんでくださり、
では、そろそろ。と腰をあげます。
お立ち寄りいただき、ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。
ほんの気持ちですが、お裾分けです。
よろしければ、どうぞ。
と、お客さまは帰っていきました。
なんだろうと、覗いてみると
虹のかけらがそっと添えてありましたので、
美味しくいただきました。
なんてね。