ラ・ヨローナ〜泣く女〜の感想(ネタバレあり)
MOVIX京都で鑑賞。MOVIX会員は料金システム変わらなくてとりあえず安心した。
死霊館ユニバース最新作ということで、当然のごとく観に行ってきた。MCUの次に面白いユニバースだと思う。まあホラーはアッセンブルを目的化する必要ないし作り手も観てるこちらも、あんまりこの先の心配せず気軽に観れる気がする。
安定の楽しいホラー演出
まずホラー映画としての演出は面白いものばかりでかなり良かった。
特に1番好きなのはビニール傘を風で飛ばしてプールに誘い込むシーン。
ジワジワ飛んでいく不気味さも良いし、傘を開いてビニール越しだと女が見えるという演出は凄くフレッシュだった。他、ドアが開いたり閉めたりするシーンがイコライザーみたいで怖かったなぁ、、、
後半の心霊現象に対抗すべく雇われる元神父の呪術師のおじさんがコミカルさもあっていいキャラ。
今までの死霊館シリーズの除霊と、違うアプローチの戦闘準備場面が新鮮。生卵占いのシーン大好き。
まあ相変わらず手で掴んで力ずくで溺れさせるとか直接攻撃なのは死霊館シリーズお馴染み。こちらからの反撃も十字架を直接ぶっ刺すという豪快なフィニッシュで笑った(ドラキュラかよ)。この前にペンダントを見せてかろうじて残った人間の心に語りかけ説得を試みるシーンがあったせいで直後にそれだとちょっとかわいそうな気が、、、
まあこの辺はシリーズお馴染みの愛嬌だと思う。
ドラマ描写は雑
ただドラマとしてはかなり不満が多い。
特に主人公である奥さんが冒頭の兄弟を死なせた事に対してあんまり反省してる様に見えないのはどうかと思った。
知らなかったとは言え母親が我が子を守る為に講じた結界を破り、子供達には「絶対安全だし大丈夫だから」とか適当な約束して死なせた事に対して傷ついてる感じが全然しない。
優秀なケースワーカーって設定みたいだし、「私はなんて事をしてしまったんだ、、、」って、もっと自分の事の様に失った悲しみを共感するシーンが必要だと思う。
というか自分の子供たちにも(不本意とは言え)「私のせいでごめんなさい」って謝り、その上で子供達も許し家族の絆を深めていく様なシーンがあった方が個人的には好みだったな。死んだ旦那とのエピソードが主人公の背中を押すようなドラマ的な役割にならないのも消化不良感。
しかも冒頭で子供を失った母親をその後、悪役の様に描いていくのも語り口として嫌い。
自分の子供達が助かってハッピーエンドみたいなツラしてるけどお前のせいで子供が死んだ罪は消えないから、この先胸に刻みつけて生きていって欲しい。そして死んだ兄弟はこいつの夢枕に毎晩立って呪っても俺は責めないよ(何目線だよ)
あと職場の同僚とか心配で様子を見に来る旦那の元同僚も途中から全く絡んでこないのもなんだかなぁ。
そんな感じで人間ドラマ描写は結構不満でやっぱり家族ドラマはジェームズ・ワンの方が何枚も上手だと思う。
ラ・ヨローナさんの小物感
これまでの死霊館シリーズと比べるとラ・ヨローナさんは敵として印象が弱い気がした。
元々の怪談を題材にしているので自由度がないのかもしれないけど、今までの敵はそもそも霊じゃなく悪魔が召喚されて人を襲っていて「話が全く通じないモンスター」って感じが怖かった、でも今回は自殺した女の人の霊なのでちょっとまた種類が違う気がする。
あとさっきも書いたけど人間的な心が残っている描写を入れたせいで悪役として退治するのに気の毒な感じになっているのが僕は好みじゃなかった。
あと烙印の跡が煙草押し付けられてる風にして、他の人から虐待疑惑をかけられるという地味な嫌がらせを思いつく辺り、狂った女と見せかけてめちゃくちゃ知能犯。あんな顔してそんな冷静なアイデア考えたとか、もうギャグだと思うぞ。
そんな感じで不満もあるけど、全体的には楽しい映画だった。
次のアナベル死霊博物館はあの爆薬庫みたいな心霊ハウスがいよいよ本気で牙をむいてくる話らしいのでとても楽しみだなぁ。