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1917命をかけた伝令の感想(ネタバレあり)

イオンシネマ京都桂川で鑑賞。お客さんの入りは少し寂しい感じ。アカデミー賞翌週なので思ったより大きい賞が取れなかったのが響いているのかも知れない。

前情報から聞いてたけど擬似ワンカットが凄まじい。
いつ何が襲ってくるか分からない戦場の緊張感がビシビシ伝わってくる。それでいてどこを切り取っても絵になる美しさで、さすがはロジャー・ディーキンス。

しかしワンカット風撮影の技術的なアピールをしたい作品ではなく、サム・メンデス監督の祖父の体験談を映画として語る上で相応しい手法として選択されている気がした。
見るからに頼りなさそうな2人がおっかなびっくり戦場を進む様子に感情移入させられる。
特にジョージ・マッケイの方は全然乗り気じゃないので完全にこちら目線の普通の人という感じで、前半の嫌々連れて来られてる感じにかなり同情してしまう。

そんな彼だからこそ中盤の相棒の死によって覚悟を決める展開が熱い。
ここで重要な要素である桜の花びらの使い方とかとても上手い。後半川を流れて目を覚ます所で舞ってくる花びらの所で泣いた。

彼の主観目線だからなのか映画内の時間の流れ方が早い。
相棒が亡くなってすぐ後ろに前触れもなく急に現れた印象がする兵士とかも実際の時間の流れではなく彼の主観的な時間なのだと思った。
要はサム・メンデスに自分の体験談を話す祖父の呼吸に合わせて映画を作ってる気がした。

あと色んな人が指摘しているけど、この1人の登場人物の時間の流れ方を省略体験する所や、後ろから追いかけていくカメラワークって、テレビゲームの感覚に近い。
特に、これも色んな人が言ってるけどこないだだったしプレイした人が誰もが思い浮かべるのはデスストランディング。
何かを届けるミッションがメインで、時々戦場に迷い込むシーンも入るし、思い浮かべるなという方が無理。
塹壕のシーンのリアルさも、凄い似てるからこそ「どっちも凄い取材したんだろうなぁ、、、」というのがビンビン伝わってくる。

どちらも革命的な面白さを模索した作品でゲームと映画で違うジャンルの筈なのに同じ様な楽しさがシンクロしてくる感じに同時代性を感じるし興味深いなぁと思う。

ジョージ・マッケイ。

はじまりへの旅の長男の印象が強いけど、今回はどこにでも居そうな普通の青年という雰囲気がとてもマッチしていた。死線を越える度キリッとしてくる表情の変化にグッとくる。

ラストのどこに焦点が合ってるのか分からない表情で爆発の中走るシーンは文句無しの名演。お話の流れとかを抜きにして派手に転けながらも必死に前に進む姿だけで意味不明な涙が出た。今凄いものを見ている、という感動。

ディーン=チャールズ・チャップマン。

僕はゲームオプスローンズの王子のイメージが強いけど、こちらもどこにでも居そうな青年的な雰囲気バッチリ。

どう見ても良い奴なのが佇まいだけで伝わってくる。
その優しさ故に命を落としてしまうのだけど、出てこなくてなっても彼の想いが映画の推進力になっているのが感動的。

ちょっとしか出ない癖にドドーンと存在感を残す英国大物俳優達は出てくるだけで場を支配していく感じ。特にこの裏切りのサーカス軍団は存在感強すぎる。

ここまで戦場の中にこちらを引きこんでくる様な作品になっている事自体が反戦映画として機能している。こんな地獄最悪だ、戦争最悪だ、と誰もが思う。
ただ非日常を味わえる新しい映画体験として無類に面白いんだから凄い作品だよ。

アカデミー賞、パラサイトが取って嬉しかったけどこちらが取っても全然良かったなぁ。

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