「友情にSOS」の感想(ネタバレあり)
シネマクティフ東京支部さんでやっているPodcastの「Diggin' Amazon Prime Video」というコーナーに参加させて頂いていて、今月のお題になっているのでよろしければこちらもお願い致します。
↓こちらのPodcastではネタバレなしでお話しさせてもらっています。
良い意味で裏切られた観る前の予想
観る前はポスターイメージからアメリカ映画のある種の型が出来ている3バカトリオのコメディ映画作品になるのかと思っていたけど、良い意味で期待を裏切られる面白い作品だった。
冒頭にパーティをハシゴするのが俺たちにとって大切な事なんだよ!とショーンが自分たちが回っていくイメージ映像込みで見せてくるので、観てるこちらとしては「あ、パーティを巡っていく内にトラブルになっていくお話なのねー」と軽いコメディ展開を予想してたら出だしから思ったのと違う大ピンチでそれ所じゃ無くなっていきどんどん当初の予想から外れていく感じが面白かった。
白人の女の子が彼等の寮に迷い込んで意識を失って倒れているのをどうするか?という所からお話しが始まり、どんどん酷い状況になっていくのだけど、これが白人の主人公3人の映画だったら絶対生まれない緊張感があって、コメディジャンルなのに彼等の立場からすると笑い事じゃなく本当に洒落にならない事態で、普段から最新のアメリカ映画を観慣れている人程コメディに感じないのではないかと思う。
普遍的な青春映画要素
主人公クンレは両親が医者で、とても恵まれた環境にいるいわゆる箱入り息子で黒人だけど白人と同じ考え方で不便なく生きてこられた人で言っている事は正しいし、トラブルが起きた時教科書通りの行動をすれば大丈夫と信じている。
それに対して彼の親友であるショーンは治安の悪い世界で生きてきたからこそ、トラブルを目の前にした時いかに自分達に火の粉がなく回避出来るか考えている人物で、この育ちの全く違う二人がお互いの価値観をぶつけ合い、その果てに理解を示していく過程が青春映画としてもとても感動的だった。
たとえ白人でも「目の前に困っている人がいるのを助けるのは当たり前」というクンレの考え方はもちろん正しいし、黒人を含めた男三人が病院に連れていく為とはいえ未成年の泥酔した白人女性をワゴン車で連れ回している状況の絵面のヤバさはどう見ても第三者からすればアウトだしショーンがこれ以上なく慎重になるのも理解が出来るバランスでどっちも間違ってはいなくて、やっぱり黒人だからこうなってしまう現在の社会に問題があるのを、訴えかける様にこちらを見つめるクンレの視線で映画が終わっていくのが、思わずドキッとする切れ味があって素晴らしかった。
そこからエンドクレジット後のおまけ的に、大学の壁に自分達の写真をかける描写が爽やかでここも凄く良かった。
劇中で語られる「初めての〇〇をした黒人」みたいな偉大な事はないけど、俺たちの友情は特別なんだ!と宣言しているみたいでとても爽やかで感動的な終わり方になっていたと思う。
この重さと爽やかさのバランスがなんとも素敵で僕はとても好きな作品になった。
Amazonプライム・ビデオオリジナルはこういう新しい切り口の黒人差別を描いた作品が多いのだけど、今作もとても斬新な視点の作品だったと思う。
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