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「ミズ・マーベル」の感想(ネタバレあり)

マーベル・シネマティック・ユニバースのドラマシリーズ最新作。
コミックの方では大人気キャラのミズマーベルがいよいよMCUでも初登場という事で楽しみにしていた。

カマラちゃんの魅力

第一話の彼女から見える世界の愛らしさが、とても素晴らしかった。
友達と話してる内容とシンクロする様に壁に描かれるアニメーションや、スマホでのメッセージのやりとりなど、彼女の想像力の豊かさによって世界が華やかに見えてくる様な描写が全部最高。
ここを観るだけで彼女の世界の見え方を一緒に体験出来る様だし、彼女が「キャプテンマーベル」の存在にいかに救われているのかが分かって、好きなモノがある事の尊さみたいな部分に泣きそうになった。

だけど能力に目覚めた後、彼女が憧れている「キャプテンマーベル」の様に1人で何かを変える神にも近いスーパーパワーがある訳ではなくて、挫けそうになる度に、家族や友達やレッドダガーズの師匠達から「君は1人じゃない」と助けられアイテムが増えて彼女のコスチュームが完成していく流れも良くて、憧れてるけどキャプテンマーベルとは違う自分にしかないものでヒーローになっていく過程が感動的。

演じたイマン・ヴェラーニが実際にマーベルのオタクという事もあるのか、作品内でキャプテンマーベルに憧れ自分もヒーローになっていく喜びみたいな部分にとても厚みを感じる素晴らしいキャスティングだと思った。

小さな暮らしの営み描写

全体的にアクション的な見せ場はそこまでフレッシュさはないのだけど、おそらくアメコミ映画的なアクションとかは次の「ザ・マーベルズ」で観れると思われる。
そうではなく今作では彼女にどういう背景があるのか、そこに暮らす人々の営みを繊細に描く事に重点が置かれている。

第一話で束縛してくる母親との対立が描かれるので、同じディズニープラスで配信されている「私ときどきレッサーパンダ」の様にその和解の場面がこのドラマのメインの描写になるのかと思いきや、第二話位で軽く仲直りしてそこからも決定的に母娘の関係が決裂しないのが変わったバランス。
ただ曽祖母、祖母、母、娘の4世代に渡る親子関係の話が繋がり、全て丸く収まる第5話の展開では結構感動してしまった。ここでの母親と祖母の関係の修復がちょっとした意識の変化で仲直りするのは湿っぽくなくて僕は好き。

あとなんと言ってもお兄さんの結婚式周りのエピソードは全て素晴らしくて、色んな人種の人達を交えて2人の事を祝福するボリウッド風ダンスシーンが、映画の中から現実への理想を描いてるみたいで多幸感に満ち溢れた名シーンだと思った。
その裏でお兄ちゃんが「貯金だって732ドルしかないのに結婚なんて大丈夫なのかな、、、」と父親と話す所などのやはり綺麗事だけではない描き方になっているのも素晴らしい。

あともう一つ重要なのはナキア周りのエピソードで、ムスリムの女性の息苦しさみたいな要素を描きつつも、男性側との対立構造にしないで、ラストに向かってコミュニティ全体で団結していく様なお話の流れが、とても好き。

気になった所

ただ正直不満点も多くて、いくらなんでも色んな要素を詰め込み過ぎた割にあまり消化出来てない印象。
前半の学園生活描写や家族との関係性、そこで暮らす女性の息苦しさなどの描写はとても繊細な印象だったのに、後半のパキスタンに入ってから色々と雑な気が。

まずマルチバースとは別に「あちらの世界とこちらの世界」みたいな設定がまた増えたせいで、更に複雑になった印象。
テンリングスがチラッと出てたしシャンチーのラストに出てたダーク・ゲートの先と同じ世界だったりするのかもしれないけど、もうぼちぼち覚えきれないのでこういう「別の世界がある」設定やめてほしい。

クランデスティンやそれに対抗するレッドダガーズとの関係性も急ぎ足過ぎてあんまりピンとこない。レッドダガーズ側はヴェールによって世界が滅びるの知ってるのにクランデスティン側との認識のズレが大き過ぎるのとかどういうことなんだろか。

それと最終話のダメージコントロール局のくだりもいくらなんでも間抜け過ぎて見ていてなかなかキツイ。
中盤でクランデスティンを逃したくだりも雑だし、最終話のカマラ達を追いかけてくる展開もただ物語を盛り上げる為だけに悪役を割り当てられてる感じでかなりどうでも良かった。

あとカマラちゃんがYouTubeをアップして全然見てもらえてない感じとかは「エイスグレード」とかを思い出すのだけど、「エイスグレード」の主人公の様に自己表現としてのYouTube活動が物語的にあんまり活かされなかったのはちょっと勿体ない気もする。
結構地道にアベンジャーズの事を調べてて(ソーがゲーマーなのを当ててたりしてかなり優秀)彼女にとっての生きがいみたいなモノだと思ってただけに、第一話のオープニング以降全く出てこないのはちょっと拍子抜け。

他のMCU要素の繋がりだとエンドゲーム後のMCUヒーローの情報がだだ漏れ過ぎな印象だったけど、第一話冒頭でアントマンがポッドキャストやっているのが判明して合点がいった。
「確かにこいつならめちゃくちゃ喋ってそう、、、」というナイスチョイスでこの辺も抜かりのない流石MCUシリーズ。
ドラマ「ホークアイ」のニューヨーク決戦でアントマンがいるのとかを考えるとかなり嘘を交えながら話している気が。
次のアントマン続編でホープとかにちゃんと怒られて欲しい。

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