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僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジングの感想(ネタバレあり)

イオンシネマ京都桂川で鑑賞。
冬休みのせいか学生多くてかなり席が埋まってた。始まる前喋っている子達が多くて不安だったのだけど本編始まったらシーンとなって息を呑んで観てる感じが伝わってきた。
エンドロールが終わった瞬間に「あー、めちゃくちゃ良かったー」って声があちこちから上がってたのが映画体験として凄く良かった。

僕のヒーローアカデミアは凄く好きな漫画でアニメ版は見れてないけど、原作は全巻買っているし、毎週ジャンプで読んでいる。

主人公のデク君は自分にだけ世界中のほとんどの人が生まれつきある特殊能力「個性」が無い事にコンプレックスを持っているが、それでもヒーローに憧れる少年なのだけど、崇高な精神性を持っている事で最強の「個性」を授かる事が出来るという、まあめちゃくちゃキャプテンアメリカな話でまず僕は第一話から好きになってしまった。
しかし第一話では、いじめっ子の印象が強いカッちゃんにこそスポットを当てている今回の映画版のクレバーさに唸った。

第一話でカッちゃんはヴィランに操られ町で大暴れしてしまい、そこでデク君とオールマイトに助けられる。
ここで文字通りヒーローになる為の一歩を踏み出すデク君に泣かされ僕はヒロアカにハマっていった。
この辺り原作の一巻位ではオールマイトとデクの師弟関係の楽しさに目が行きがちだったのだけど今回の映画版を観て改めてカッちゃんの方の想いがどうだったのか考えてしまった。
ちなみに前回の映画版はオールマイトとデクとの師弟関係にスポットを当てて非常に楽しい映画なのでそちらもおすすめ。

カッちゃんの立場からすればヒーローになるはずがヴィランに操られ町で暴れ、自分がいじめていたデクに助けられ、それがきっかけで憧れのオールマイトが自分ではなくデクを後継者に選んでしまう。
主人公であるデク君の裏で間違いなく最初の挫折を味わっていた。

原作ではそんな彼がヴィラン軍団に攫われ仲間にされそうになるエピソードがある。
そこで僕は「あ、キャプテンアメリカでいうとウィンターソルジャー的なキャラクターになってデクのライバル的になっていくのかなぁ」と予想していたんだけど、そうはなっていかないのが面白い。

戦闘向きな「個性」とジャイアン的な性格もあって力が強いからヒーローになりたいキャラクターに見えるし、それ故に敵もその暴力性につけ込めもうとして勧誘してくるのだけど彼は、はっきり断る。

何故なら彼もまたデクと同じくオールマイトに憧れた「カッコいい人になりたい」キャラクターだから。そして二度と操られるヘマはしないと心に誓っていると分かる。
ベストバウトの一つである13巻のデク君との喧嘩シーンで自分が敵に捕まりそれがきっかけでオールマイトのヒーロー生命を終わらせてしまった事に悩んでいて自分の弱さを憎んでいる胸の内を明かすシーンは何度読んでもグッとくる。

そしてこの喧嘩の後、2人にオールマイトがかける「互いに認め合い高め合うことができれば助けて勝つ、勝って助けるヒーローになれる」というアドバイス、この原作で最終的に回収される部分を今回の映画版では真っ向勝負で答え様としてる。
そしてそれが見事に成功していると思う。

ちなみに今回の映画でも敵に操られそうになる彼が無理矢理切り抜けるくだりが入ってるのはおそらく意識的。
僕はここで今回の映画のもう1人の主人公は彼ですよ、と宣言してる様に感じた。

原作者の堀越先生が「ある種ヒロアカの最終回」と言ってたけど本当にその表現が正しい。
原作は色んな要素が増えているのでまた別の形でのラストを用意してるかも知れないけど、デクとカッちゃんの関係性を強調した最終回はこれ以上の形は無いんじゃないかと思う納得度。

2人での共闘シーンが本当に観ていて楽しいし感動する。中盤のカッちゃんの爆発を利用してのデク君の飛び蹴りとか、こういうのを観たかったんだよ感。

そしてもちろんカッちゃんにワン・フォー・オールを譲渡するのは驚いたし、それでいて確かにそれしかない展開。
ここに至るきっかけが子供達の声援なのも最高に熱い。

ラストバトルであそこまで100%状態で動けるのとか原作から考えるとおかしいのだけど、とにかくアニメとしてのエモーションが、ど偉い事になっていて細かい事が全く気にならない激アツシーン。
2人で空に向け放つスマッシュはヒロアカ史上でもトップクラスの名シーンになっていた。

そんな大見せ場の後の映画の最後、もう涙をハンカチで拭き終わり帰る用意をしようとしていたら「君はヒーローになれる」というセリフがデク君から繰り返される所でまた泣いた。完璧な最終回やないか。

大人のプロヒーローが全く助けに来れない田舎の島のみに絞っている舞台設定も良い。
たしかにこの状況なら1-A組のメンバーだけで何とかしないといけないという説得力があるし、前回の映画ではまだヒーローとしての能力が低いのに無理矢理戦闘に駆り出されていた他のメンバーも今回はしっかりそれぞれキャラクターが立つ描かれ方をしていたと思う。

特に避難所で電気を作ったり食事を用意してあげて活躍するシーンはとても一般人目線でMCUとかではあまり描かれない素晴らしい要素。
あとやっぱり日本ならではの震災のメタファー的に見えるのもヒーロー物語がある希望を提示出来ている気がして感動した。

敵の能力がオール・フォー・ワンの縮小版みたいな能力なのも今回の(仮)最終回のヴィランとして相応しい。
オール・フォー・ワンが空気砲とか筋力増強とか肉弾戦で最強度を表現していたのに対し、ナインに関してはラストに最終的に天候を操る能力を推してくる感じとかで、しっかりキャラクター分けが出来ていると思う。
能力を奪うというこの敵に対して能力を託す事で勝つデク君と対になっている構図とかも見事。
そしてこの拳一つで天気を変えてしまうという展開が、第一話でデクとカッちゃんを救う為に繰り出したオールマイトの技と重なるのも上手い、ここは本当泣いた。

まあラストのオチが「奇跡」の一言で片付けられたのはビタイチ納得出来ないし、記憶消えるって何?とかモヤモヤはあるけど、原作と違う所でキャラクター成長させる訳にもいかないしまあしょうがないという事にしとこう。

そんな感じで気になる所もあるのだけど、ヒロアカ好きとしては大満足だしラストバトルのアニメとしてカタルシスも素晴らしかったし僕は前面的に推したい作品。

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