サイゴン・クチュールの感想(ネタバレあり)
京都みなみ会館で鑑賞。
入場待ちしてたらロビーで館長さんが舞妓さんにインタビューされる謎のテレビ撮影をしていた。
タイムスリップ設定もそうだし登場人物も多いし、とにかく色んな要素がぶち込まれていくので前半は正直こんな話どう着地させるんだよ!と思ってたけど、最初の母娘の確執からブレない作りになっていて全く脱線しないのが凄い。
代々受け継いできたモノをどう残していくのか?どう新しくするのか?というテーマを登場人物ほぼ全員が担っていて、ラストのファッションショーでの大団円は自分でもビックリする位感動してしまった。
幼少期のエピソードで彼女からすればアオザイに母親の愛を奪われた感覚もあって、それ故ににアオザイ嫌いになった訳で、それでも洋服とはいえ母と同じ服飾の仕事で成功を夢見るのは母親の仕事にリスペクトもあって、でも母と違うやり方で見返したい想いもあって、、、という複雑な感情を丁寧に描いていて家族ドラマとして繊細な構成。
ラブストーリー展開が全く入らないのも良い。
彼女を助けるイケメン君の関係も全然深くならない。あくまで親子の話に絞っているのが潔くて大正解だと思う。
あと京都みなみ会館のポッドキャスト聴いたら監督がパート3くらいまで構想しているらしいのだけど、その第3部のタイムスリップアイデアがぶっ飛び過ぎてて爆笑した。
ベトナム映画全然観たこと無かったけどコメディセンスが独特で面白かった。
ニュイ役の女優さんのあざとさを通り越して気持ち良いぶりっ子?(もうなんて表現したらいいかよく分からない)演技も楽しい。
あとエンドロールの引きのカメラでラジオのスイッチ入れて母親と2人で踊り出すくだりも脈絡なくてビックリしながら笑った。
エンドロール後のおまけもどういう気持ちになればいいのかよく分からないギャグ。
彼女の服のセンスを現代に合わせていくシーンが絶妙で、なんというか現代のセンスに変わっていくのではなく自分のセンスのまま現代に折り合いをつけていく感じがとても素敵。
レトロ感もあるのに全然時代遅れじゃない、、、凄いオシャレ!(ファッションの語彙がない)
それと未来のニュイの設定も面白い。
未来の彼女の目線で考えると、何もかも上手くいかず自殺しようとしたら、若い時の自分が更生させ様と過去からドラえもんが来るみたいな話になっている。
基本的に過去のニュイの目線で進みつつ、ここぞという所で現代の彼女がタン・ロアンを訪ねてアオザイ作りを教えをこうシーンが入ってくるのは感動した。
何歳になっても自分を変える事は出来るし、なんだってやり直せる!と高らかに宣言しているみたいで凄く良かった。しかしそういや未来変わったら彼女のやった事が無駄になるのでは?(マルチバース的にあの未来はあの未来で残っていると信じたい)
という感じでベトナムの女性ファッション映画なんて俺楽しめるのかな、、、とか思っていたけど本当に面白かった。日本舞台の続編のアイデア通るといいなぁ、是非観たい。