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ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷の感想(ネタバレあり)

イオンシネマ京都桂川で鑑賞。公開二週目なのもあるのかガラガラだった。

ハリウッド版呪怨の最新作というかリブート作品。
僕は日本版は最初のOVA版2作と映画版1、2、それとこないだの三宅唱監督のNETFLIXのドラマ版を観ているという感じ。
ハリウッド版は今回が初めてだったのだけど、日本側の宣伝でほとんど「呪怨」の最新作であるという事を謳っていないのでなんとなく「設定だけ借りて呪怨の原型を留めてない作品なのかな?」と思っていたけど観てみたら全然そんな事なかった。超呪怨。

冒頭からして伽耶子の呪いが日本からついて行ってそのままホームステイして「おめでとうございます!あなた方家族をアメリカ現地スタッフに任命します!」という、ある意味日本版のスピンオフ的な話と言っても良いと思う。

というか前のハリウッドシリーズもアメリカ人は出てくるけど、あくまで日本版呪怨のあの家からの地続きのお話で構成されていたみたいだし、アメリカに舞台が完全に移ってリメイクされた「リング」のハリウッド版とかとは全然作りが違う作品なんだなぁ。知らなかった。ユニバース的な映画の先駆けにも思える。

ただ今回はホームステイ先の屋敷を幽霊屋敷に設定して、最初の犠牲者の家族をコマにして伽耶子や俊雄もほぼ出ないのでジャパンテイストが皆無だし、なんとなく死霊館シリーズっぽいルックの割に死霊館シリーズ程はスケールは大きくないのでアメリカのお客さんとかは新鮮味を感じなかったらしく評価は低いみたい。

個人的には時系列バラバラでそれぞれの登場人物が迎える悲劇が後半に集中する構成とか凄い呪怨シリーズお馴染みで良かったし(逆にあまり馴染みがないとただ単に語り口が下手と感じてしまう気もする)、今の流行りのアメリカホラー映画的なビックリ演出も普通に怖かった。

呪いによる救い

あと個人的に興味深い所が二つあって一つは呪いの家に対して救いを見出すキャラクターが居た事。
家に訪れる人を死霊に変えてしまう呪怨お馴染みのシステムの中に組み込まれることで愛する人とずっと一緒にいる事が出来ると信じているマシスン家の設定が面白かった。
病気の妻と離れたくないが為に悪魔に魂を売ってもずっと一緒にいれる事をあえて自ら選ぶという個人的に呪怨シリーズで観た事のないキャラクターだったのが新鮮だった。ラストの結局彼の思い通りになったのかちゃんと描かれない救いのなさも好き。

最終手段は物理攻撃

それと個人的に面白かった要素のもう一つが主人公の取る最終手段が家に油を撒いて燃やすという完全に物理攻撃という点。なんというか凄いアメリカっぽくて観ていて気持ちが良かった(笑)
しかし確かに呪怨シリーズで今までありそうでなかったやけくその解決法だし、試してみる価値はある。絵的にも派手だしクライマックスの盛り上げとして持ってくるのは全然ありだと思った。さすがハリウッドならではというお金のかけ方。
そしてまあやっぱり意味なかったね!で終わったラストの切れ味も好き。

登場人物

登場人物の顔もみんなホラー映えする人ばかりで良かった。特に主人公の女刑事を演じたアンドレア・ライズボローの顔が良い。「マンディ地獄のロードウォーリアー」でも思ったけど目がとても大きくて無表情なだけでなんとも不穏な感じになる。
彼女の目線になって事件を調べる内にどんどん衰弱していく様子が痛々しいし怖い。

あと個人的に大好きなジョン・チョーが出ていて安心感。人が好さそうな感じがにじみ出ているだけに後に起こる悲劇が辛い。
妊娠した奥さんとのエピソードとかも重いし、最後の電話でのやりとりで「これからがんばっていこう」と誓った直後にあまりにも無慈悲に惨劇になるのが結構ショッキング。

という感じでそこまで期待しなかったら、普通に怖くて楽しいホラー映画として観れると思う。
今年はNETFLIXの三宅唱監督版の現実と地続きな嫌な雰囲気の「呪怨」も素晴らしかったけど、完全にホラー映画として手堅い作りになっている今作も面白かった。みんな違ってみんな良いと思う。

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