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2/22 専門家にならない『デクノボーになりたい』から
おはようございます。
山折哲雄『デクノボーになりたい 私の宮沢賢治』を再読中。
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以前読んだときには消化しきれなかった部分が少しずつほどけていくように感じます。昨夜読んだ箇所で、「あ、なるほど、そうゆうことか」と腑に落ちたのは、今の社会に対する生きづらさを賢治が先取りしていたかもしれないという見解です。
我々の多くは、何かの専門家になろうとして営々として生きている。
そのような志を持って生きてきている。 そして、その専門家的な技能によって社会的に認知されている。 つまり 何かの職業につくことによって初めて社会的に安全な人間として認知されている。 何らかの専門家になることが人生の第1義の目標になっている。
ところが 賢治のような遊蕩児の立場からすれば、そういう激しい欲望を持った人間の目から見れば、 専門家というものほどつまらないものはない。 そういう生き方を根底から批判しようとした人が賢治だったということになるかもしれない。
たしかにそうですよね。
賢治は現在でこそ童話作家としてその名を確立していますが、生きているときには経済的な自立はできず裕福な実家のおかげで、ただただ自分の欲求の赴くまま好き勝手なことに熱中していたともいえます。その引け目が創作源ともなっている、まさにパラドックス。
かつてワタシも専門家にあこがれたもんです。33歳まで10社以上を転々として、様々な職種を経験し、母からは「また会社、変わったの?」と心配され、かつ氣の毒がられました。でもワタシはまったくへっちゃらでした。
この経験で「どんな職種であれヒトに使われるのは向いてない」と分かりましたから。
ひとりでできることをして生きていこう!
すでにある分野で競争する氣はなかったので、ジブンでキャットシッターという専門分野を立ち上げて、30年間イチオー猫の専門家としてやってきました。その間も私設図書館、cafe、簡易宿泊所、セミナー、紙芝居、グッズ開発、会員通信発行、書籍出版、イベントなどなどホントいろいろやってきました。
はたから「中途半端」と言われたらそれまですが、ワタシにしたら、やってみないと分からないからやったまでで、続いたものはワタシに向いていたということだと思います。
そんなわけで、夕べこの文章に出会って、
あぁ、ワタシみたいな生き方でもよかったんだ
と思いました。
今って、若い皆さんがひとつだけでなくいろんなことをやって、眠っていた才能を次々に花開かせていらして、こころから「すごいなぁ」と感心します。ここ数日、SKY-HIこと日高社長の世界挑戦番組を集中的に視聴していて、そこに集う若者たちの急激な変貌ぶりに圧倒されているのです。
新しい観点で、日本だけにとどまらず、そして国や所属事務所などに関係なく、手を取りあっていいものを作っていこう、いい世界にしていこう、という志の高さにしびれます。
賢治に見せてやりたい。
いや、すでに見てるかも、ですね。
完全に分かり合えないことも事実ですが、それをひっくるめて、あるいはいったんかっこに入れて折り合う。妥協とは違う関係の築き方が生まれてきている。
もうひとつ、賢治の宗教は実に面白くて、熱心な浄土真宗の家に生まれ、青春期に日蓮宗に傾倒し、並行してキリスト教のプロテスタント、カソリックどちらの教会にも同時期に通っているんですね。
節操がないというより、これが日本人の姿なのかも、ですね。
なんでも呑み込む度量、それをジブン流にアレンジしていく能力、実際賢治の作品には仏教的なものとキリスト教的要素がちばめられていて、唯一無二の不思議な世界観を構築している。
ワタシたちの生活の中にも世界中の文化がごちゃまぜに乱立している。
昔むかしから、すこぶる吸収力のある国ですわねぇ。
ともかく「専門家にならない生き方」は悪くないと思います。
専門家の枠にハマらない。
なんであれ、枠ができると差別が生まれるから、ですね。
そして、ジブン自身がその枠にハマってしまうと他人にそれを強要しだす。これは危険です。
ですから、専門家より、だれもがなんでもできる、ほうがいい。まぁ、その人なりに、ではありますが……。
で、ワタシは病院や薬よりセルフケアが好きなのだと思います。
とりあえずジブンでできるかどうか、まずやってみる。
ダメならダメで、そのときは他に頼ればいい。
その過程で、ひょっとすると天職が見つかる可能性がある。
ワタシだって、これからジグソーパズル関連のなにかになれるかもしれない、ふふふ。
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ではでは、今日もご機嫌元氣に参りましょう。