寝ぼけたふりしてヘヘイヘイ♬夏子 糸島ショローと6にゃんず日記
プライベートキャット
我が家の最長老猫 夏子19歳、ニンゲン齢に換算すると92歳。
猫の森「猫の生涯保証」契約で、2012年にワタシの猫になった茶白美猫である。
※「猫の生涯保証」は2002年開始した人が猫を残して亡くなったとき、猫を引き受けるシステム。2022年に完全廃止。その経過はおいおい書き記していく予定。
夏子は猫嫌いで、特定の人間にのみなつく猫である。
こういうタイプの猫を「プライベートキャット」という。
糸島に移住後、ワタシの寝室が彼女のプライベートスペースとなった。猫楠舎にいたときは、母屋が彼女のテリトリーだったので、かなり行動範囲は縮小したといえる。とはいえ、19歳のおばぁにゃん、ほぼ一日中寝ているため、彼女から「これぢゃ運動不足になるわ、なんとかしなさい」といった文句は出ていない。
夏以外の5匹は、寝室以外の空間を好き勝手に行き来する。
深夜の威嚇にギョッ!
「シャーーーッ!」
深夜、突如、ワタシの胸元で夏子が威嚇した。
「なに? どした? なっちゃん」
暗闇のなか、ドキドキしながら夏子の視線の先を探る。
なにかいる!
黒いかたまり、やだ、トーマ? わこ?
アニャ、そんなはずない、5にゃんずはリビングにいるのを寝る前に確認したもの。
しかし、夏子は唸り続けている。
え?え? やだ、なに?
折しも、寝る直前に読んでいた本が『怪異の民俗学8 境界』。
夢に魑魅魍魎百鬼夜行が跋扈する状態のところに、深夜に猫の威嚇ときた日にゃ、思わず「ワタシがあやかしを呼び寄せたか?」という考えが脳裏をよぎる。
愛猫が異変や魔物に氣づいて、身を挺してヒトを守るという話も一瞬にして浮かぶ。
なっちゃん、それはダメ~。
チョコマ、チョコマ、スタンド点けるから。
枕元に灯りが灯った。
暗闇で黒いかたまりと見えていたもの、
さぁ、それはなにかと尋ねればベンベン♬ ベンベン♬
さぁ、さぁ、さぁ、それはなにかと尋ねれば~(はよ、あかせ)
それは黒いアルストロメリアの花~。
へ? これはあーた、昼間、飾った花じゃあーりませんか、なちゅこさん。
あぁ、びっくりした~、なぁんだ、花じゃん、花。
さっきまで唸り声をあげていた夏子は何事もなかったかのように空っとぼけている。
ふふふふ、なっちゃん、かーわーいーいー。
寝ぼけたんだね、くくく、かーわーいーいー。
夏子のトラウマ?
猫嫌いの夏子、特に黒っぽい毛色の猫への嫌悪感が激しい。
うちのメンバーでいうと、キジトラのトーマ、こげ茶長毛のわこの2匹。
昨年やってきた子猫・白黒のタオに対しては、さほどでもない。
そういや、夏子、今は亡き黒猫の玖磨ちゃんと夜ちゃんにも激しく反応をしていた。
「なんで? 横を通っただけなのに、なにゆえそんなに怒る?」
こころ優しい玖磨ちゃんなんか、夏子に威嚇されるたびハートブレイクしていた。
氣丈な夜ちゃんの場合は、反撃こそしないものの、
「ちょっと、なんか文句あんの? 先輩だからって、いっつもいっつもガンとばすんぢゃないわよ」
的な目つきをしていた。
なっちゃん、黒いものに嫌な思い出でもあるのか?
しかし、彼女は生まれてからこれまでアウトドア経験がない純粋のお姫様。
子猫の彼女に一目目ぼれしたAさん(一人暮らしの男性)に引き取られて以来、ひとりと1匹、玉のように寵愛されてきたのだ。
夏子の世界にはAさんしかいなかったし、それでよかったのだ。
ところがAさんの急逝によって、夏子は、猫がわちゃわちゃいるわ、年中人が大勢出入りするというこれまでとは真逆な場所にやってきた。
他の猫を見たのも初めて。
Aさん以外のヒトから「可愛い~」と嬌声を上げられるのも初めて。
11年前当時のことを思い返しても、黒い猫とのアクシデントは思い出せない。
はてさて、いつから、夏子は「黒いが苦手」になったものか?
チョコマ、考えて分からないなら、いったん括弧に入れとこ。
アドラーも言ってる。
「どこからではなく、どこへ」
原因を力を注ぐのではなく、これからどうするかを考えるべきだと。
トラウマを言い訳にするな、トラウマなんて寅馬だ。
そうね、そうね、夏子の限りある時間をご機嫌元氣にするためには、これからどうするかに注力しましょ。
なっちゃん、夜中に笑かしてくれてありがとう。
今日もご機嫌元氣でいきまっしょい。