「CoCoからの贈り物?登場」ショローと子猫 その1
子猫登場
2022年8月12日、和歌山「猫楠舎」のくまホームをのぞき込む子猫がいた。
おりしも、この日はワタシの師匠CoCo22回目の命日だった。
この子猫を見た瞬間、
この子は、CoCoからの贈り物?
との思いが脳裏をよぎった。
「うちのごはん、食べてって」
キャットフードを器に入れて、沓脱石の上に置く。
この時点で、ワタシはこの子に約束をしたことになる。
裏切らないこと。
この日以降、毎日昼ごろに子猫が姿を現すようになる。
くまホームで遊ぶ猫たちと、網戸越しに観察し合う。
猫たちの間に、威嚇はなかった。
子猫のほうは、ただ「遊びたい」一心のように見える。
ワタシが近づくと素早く姿を消すが、しばらくするとまた現れる。
日に日に、そうした時間が長くなっていき、やがて子猫は離れの室外機下を寝床に定めた。
家猫へのステップ
できれば自分から、家の中に入ってほしい。
無理やり捕まえたくはなかった。
朝晩のごはんタイムが、子猫とワタシの距離を縮めるときだった。
子猫は慎重だった。
臆病ではなく、用心深かった。
外で生き抜くためには最も重要な資質である。
それでも少しずつ、距離は狭まり、いっしょの時間は増えていった。
第1にごはん。
第2には、スーパーねこ友が。
夏子の猛追
ある朝、母屋に暮らす夏子(当時18歳)が、子猫の存在に氣づいた。
いつもは寝てばかりのおばぁにゃん猫が突如として、子猫に突進。
逃げる子猫。
驚くべきスピードで猛追する夏子。
子猫は室外機の下に逃げ込んだ。
夏子はというと、この猫は根っからのシティガールのため、土や草といった自然に足を踏み入れることを嫌う。
よって、追跡も濡れ縁まで。
怖い思いをしたら、来なくなるかな?
これは無駄な心配だった。
数分後、子猫は食べ残したごはんを食べにきたのである。
肝が据わっているから、メス猫の可能性が高いと思った。
触れないので性別すら不明だったのだ。
家猫になる
実は、子猫が現れる1ヶ月前の7月に、ワタシは糸島に家を買うことを決め、移住の計画を着々と進めていた。
だから、8月に子猫がきたとき、
このタイミングで来るって、ワタシが猫の神様に試されてるのかも?
と思ったのだ。
9月のはじめ、引っ越し日を10月中旬に決めた段階で、子猫はまだ外にいた。
この子を糸島に連れて行けるのか?
すでに朝晩のごはんは、うちで食べる習慣がついてしまった。
置いていくわけにはいかない。
出会ったあの日、「裏切らない」と約束したのだから。
引っ越し前まで、あまり時間がなかった。
家に入れてから、1か月くらいはお互いに知り合う時間がほしい。
そこで、母屋で出していたごはんを離れの廊下に移動させる。
すぐに子猫は離れの戸近くで、ごはんを催促するようになった。
悩んだり、迷っている時間はなかった。
ある日、スーパーねこ友につられて廊下に入り込んだ子猫、ワタシはすかさず外への戸を閉めた。
無理やりではなかったが、だまし討ちに近い。
しかし、引っ越し日が迫っている以上、やむを得なかった。
猫同士はノープロブレム
家の中に閉じ込められた子猫は、最初こそ外に出ようとしたが、それも数分のことだった。
半屋外のくまホームで年の近いヤムヤムと遊び、何度かごはんを食べるうちに家の暮らしを受け入れたようだった。
トーマ、わこ、ちぃちぃ、そして地元出身のヤムヤムとの関係はまったく問題がなかった。
外経験のある猫は社会性を身につけているせいか、猫コミュニティでの順応生が高い。
問題は、家に入ってからも、撫でることも触ることもできずにいたことである。通常なら、元氣であれば触れずともよかった。
しかし、引っ越しの際にはどうしたってキャリーケースに入れねばならない。
むむむ~。
いっしょに暮らすようになって、子猫はどんどん、その存在感を高めていった。
「可愛い」というより「おもしろい」のだ。
見ていて飽きないのである。
やることなすことに驚かされる。
キャットシッティングで5万匹以上の猫を見てきたけれど、そのときも子猫は山ほど見てきたが、「この子は違う」。このことである。
「この子をどうやって引っ越しさせるか?」
これが、引っ越しに伴う様々な課題のなかの最優先事案となった。
夢のなかでさえ、あれこれシミュレーションする日々。
子猫はそんな心配をよそに、毎日先輩猫たちと楽しそうにしている。
続く~
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