自己結合性酸化チタンはヤモリの足裏の秘密から?!
弊社ナノゾーンジャパンの「ナノゾーンコート」はバインダー(接着剤)を使わず、噴霧面に継続的に接着する光触媒コーティングです。
従来の光触媒コーティングは酸化チタンをバインダーに混ぜ込み、バインダーの力で酸化チタンが噴霧面から剥がれ落ちないようにしていたというものでした。
酸化チタンは光があたることで、その表面において、有機物、有害物質を分解し、二酸化炭素や水などの無害なものに変えるというモノ…
バインダーに埋もれてしまっている酸化チタンでは光触媒作用は起きません。
この状態では、光触媒コーティングに求められている「除菌・抗菌・防カビ・消臭・防汚」において高い効果は期待できないのではないか?
今日は、そんな疑問からスタートした、自己結合性酸化チタン開発のお話です。
ガードレールを触ってしまって白い粉がついたことありませんか?
少し話が変わりますが、子供の頃、ガードレールにもたれかかったりして、服や手に白い粉がついちゃった!ということ、ありませんか?
実は、この現象、白い塗料にだけ起きるんです。
他の色のペンキは何年経っても粉は出ないのに、白いペンキだけ粉が出てくるのは、なぜ???
チョーキングと呼ばれる現象
ガードレールって真っ白ですよね。この真っ白な色を出すために顔料として塗料に入れられているもの、それが酸化チタンです。
ガードレールには毎日毎日太陽光があたります。太陽の光が継続的にあたることで酸化チタンに光触媒作用が起き、塗料膜(ポリマー)を酸化分解してしまい、その結果、塗料膜が崩れ、顔料である酸化チタンが露出してしまう。
そうです、これが白い粉の正体。
酸化チタンが光を浴びると有機物を酸化分解する。
この酸化チタンの光触媒作用を世の中のために使うことができないか?と考えられたのが、光触媒製品です。
酸化チタンを表面に留まらせるために使われたのがバインダー(接着剤)
酸化チタンで外壁などをコーティングすることで、排気ガスを分解して空気をキレイにしたり、雨だれなどによる汚れを防止したりすることができる…という効果を期待して作られたのが、光触媒コーティング。
酸化チタン自体に壁面に接着する性質がないので、バインダーに混ぜ込むという方法がとられました。
しかし・・・・バインダーに埋もれた酸化チタンには、どのくらい光触媒作用が起きてるの?!
という疑問を抱いたのが、弊社製品の原材料「自己結合性酸化チタン」の開発者であり、弊社技術顧問の高松正幸先生です。
ヤモリの足裏の秘密
バインダーを使ったコーティングの光触媒効果に疑問を抱いた高松先生は、酸化チタン自体を壁面に継続的に接着させることはできないだろうか?と考えられたそうです。
色々な方法を試行錯誤される中、辿り着かれたのが・・・
ヤモリの足裏の仕組みです。
小さな爬虫類であるヤモリの多くは、吸着性のある足指でスパイダーマンのように切り立った壁をはい上がったり、天井からぶら下がったり、ガラスのようにツルツルした表面もしっかり掴みます。
実はヤモリの足裏には細かな毛が1平方メートル当たり10万~100万本の密度で密生していて、さらに先端が100~1000本程度に分岐して、先端の分岐した毛の密度は、1平方メートル当たり110億本以上。
この細かな毛の1本1本が接着面積を最大化し、体重の負荷を分散させることで、自身と接着面との間に働く引力「ファンデルワールス力」が発生し、ヤモリは壁、天井、ガラス、どんなところにも付着することができるのだそう。
高松先生は、このヤモリの持つ微細構造同様「酸化チタンをナノサイズまで小さくすることで、酸化チタンとコーティング面の間にファンデルワース力を発生させ、酸化チタン自体を壁面に継続的に接着させることはできるのでないだろうか?」という仮説を立てられました。
そして、10年の月日を費やされ、ファンデルワース力が働き、コーティング面に留まるサイズまで、酸化チタンを微細化することに成功。
これが弊社製品の原材料「自己結合性酸化チタン」です。
余談ですが・・・ヤモリが足裏を接着面から自在に離すことができるのは、ヤモリの毛がカーブを描いていることで、素早く方向を変えることができる膨大な量のエネルギーを蓄えれるからだそうです。
バインダーレスで本来の光触媒効果を期待
右側が自己結合性酸化チタンを原材料とした、弊社商品ナノゾーンソリューションを吹き付けた面の様子。自己結合した酸化チタンの粒子がしっかり露出しています。
「科学者は疑問を持つことが大切なんだ」
高松先生のお言葉です。
「バインダーで接着された酸化チタンは充分に光触媒作用を発揮できているのだろうか?」
高松先生のこの疑問があったからこそ、今がある。
難しい科学のことを楽しく分かりやすくお話してくださる高松先生。先生のこれまでのご経験やお考え、世界の国々とのビジネスやいろんな国の文化や歴史のお話も、本当に興味深くて楽しいので、またこちらでもご紹介していけたらとおもっています。
(ナノゾーンジャパン株式会社 丹羽綾)