nano.RIPE きみコ

ロックバンド「nano.RIPE」のボーカルギター

nano.RIPE きみコ

ロックバンド「nano.RIPE」のボーカルギター

最近の記事

人間の特権

泣くという行為は人間の特権? 作詞の合間にとある小説を読んで、 久し振りに嗚咽するほど泣いた。 ああ、そうだ、泣くってこんな感じだった、と とめどなく流れる涙と鼻水を拭きながら、 いろいろなことを思い出していた。 ありがたいことに近頃は悲しいことが全然なくって、 映画やドラマを観てホロリ、くらいはあっても 抑えきれないほどの涙ってしばらくなかった。 久し振りに泣いて思ったのは、 こんなにも体力の要ることだったっけ、ということ。 ひとしきり泣いた後、身体に力が入らなくて

    • 夕焼けが見える星

      夕焼けが見られる星に生まれて良かった。 もしかしたら他の星には もっとキレイなものがあるのかもしれないけど、 それでもあたしは不確かな夕焼けが好きだ。 ただ陽が沈んでゆくだけ。 それだけのことなのに、こんなにも毎日違う色。 とびきりキレイな色に染まる日も、 なんだかパッとしないオレンジの日も、 気分屋の人間みたいで好き。 「暖色」とか「寒色」とか言うけれど、 最初に色に温度を乗せた人は 夕焼けからヒントをもらったんじゃないかな。 いや、そこは普通に炎かな。 燃えるよ

      • ちょうど良いを知る

        布団を掛けても掛けなくても良い。 上着を着ても着なくても良い。 最高過ぎる季節はきっと 信じられない速さで過ぎ去るのでしょう。 と、ここまで書いた下書きを放置している間に 布団も上着も必要な季節が始まっていました。 冬が嫌いなわけじゃない。 むしろ夏よりずっと好き。 だけど、春や秋の心地好さが ここ数年無性に沁みるのも事実。 極端な性格のあたしも大人になるにつれて 「ちょうど良い」を知っていくということでしょうか。 いやもうとっくに大人だけど。 感覚や好みは変わって

        • 鬼ごっこが怖かった

          子どもの頃、鬼ごっこが苦手だった。 足が遅いから、とかそういうことではなく、 「追い掛けられる」という行為がすごく怖かった。 鬼だって友達のはずなのに、 なぜか絶対に捕まってはいけない気がして、 いつも泣きそうになりながら逃げていた。 だから捕まるとすごくホッとして、 もうずっと鬼でいたい、と思った。 ゾンビ映画を観ていてもいつも思う。 あたしはあんな風に逃げたくない。 追い掛けられる恐怖を味わい続けるくらいなら、 真っ先に食べられてゾンビになりたい。 なんでかな。

          無力なくせに

          大切なものが増えることは とてもしあわせなことなのに、 大切なものが増えるたびに 失った時のことを考えてしまう。 毎朝起きて最初にするのは、のびたの生存確認。 足元で眠っているのびたにそっと触れて 呼吸をしているか確かめる。 生きていることが確認できて、 さらに具合が悪そうじゃないことを確認したら、 隣にピタリとくっついてもう一度横になる。 時間の制限がない朝は 気付いたら1時間くらい経ってしまうことも。 だけど、そんな朝もいつかは終わる。 日常を奪われてしまっ

          そこにしかないもの

          久し振りに映画館へ行った。 観たいと思っていた映画だったけど、 「時間があったら行こう」くらいに思っていたから、 誘われなかったら観ないままだったかもしれない。 映画もドラマも好きで日常的に観ているのに、 映画館まで行って観ることはそう多くない。 でも、今日みたいに映画館へ行くと、 やっぱりここで観るのが1番だよなと素直に思う。 こんな風にしてチャンスを逃してしまうことが 今までどのくらいあったかな。 一歩踏み出せば良かったこと。 それを知りながら踏み出さなかったこ

          そこにしかないもの

          トビウオみたいな雲と月

          書いてばっかりの日々から、 書いて歌っての日々へと移行しました。 昔より苦手意識はなくなってきたけれど、 それでもレコーディングはあまり得意じゃない。 狭いブースに篭って自分の歌と向き合う時間は、 すっぴん寝起きで鏡を突き付けられるような気持ち。 それでも、いや、それゆえに? 完成した時の喜びはひとしお。 だから、がんばる。がんばるのみ。 今日の日暮れ前の空。 あたしにはこの雲がトビウオに見えた。 だけど、明日にはイカに見えるかもしれない。 明後日には閉じたパラソル

          トビウオみたいな雲と月

          宇宙の真ん中

          雨が世界をキレイにして、 久し振りにくっきりとした一番星が見えた。 東の空に浮かぶあの子は木星かな。 少し寒いけど窓を開けたら、 どこからかお線香の匂いがした。 やさしくてあたたかな匂い。 この匂いを好きになったのは 大人になってからだったっけ。 なんて、他愛もないことを考える。 秋は夜が長いから好き。 昔より太陽を好きになれてはいるけれど、 それでもやっぱり夜が好きだ。 あたしはよく空を飛ぶ夢を見るんだけど、 飛んでいるのはほとんどが夜の空。 グライダーのような乗

          終わりに向かっていく

          エレベーターの前でトンボが絶命していた。 きみの季節はこれからじゃないの?と思ったけれど、 9月に少しだけ吹いた秋風に騙されて出てきてしまったのかな。 それにしても早すぎやしないかな。 最近は人間と動物の寿命差についてよく考える。 たとえば、のびた。 猫の8歳は人間に換算すると48歳、なんていうけれど、 表を見ると最初の1年で15歳、2年で24歳、 それ以降は1年に4歳ずつ加算、なんてちょっと乱暴。 身体年齢?精神年齢? どっちにしたって たった1年で人間の15年分生

          終わりに向かっていく

          伸びたり縮んだりする

          コトバばっかり探していたら、いつの間にか10月。 今年も残すところあと3ヶ月。 今年のうちにやっておきたいこと、というのは 思い立ったら即行動のあたしにはあまりないけど、 それでもあと3ヶ月と聞くと少し焦ったりもする。 実際に「年内にやっておきたいこと」ではなく 「年内にやっておくべきこと」はたくさんあって、 最近は逆算してスケジュールを組んでは 脳みそがギュッとなったり、胃がキュッとなったりしています。 相対性理論。 伸びたり縮んだりする時間に翻弄されながら 今日も生

          伸びたり縮んだりする

          下弦の月の下で

          気温でこんなにも気分って変わるものだっけ。 秋の心地良さをすっかり忘れてた。 もうずっとこのままで良いのに。 というかこのままが良いのに。 と思うけれど、 あたためていた長袖をやっと着られることが嬉しくて、 となるとモコモコの冬服も捨てがたいな、と思う。 そんな気候も相まって、 ここ最近は外出して歌詞を書いている。 歌詞は、書く場所、タイミング、 その時の気持ちで全然違うものになる。 なんなら着ている洋服やメイクでも変わるかも。 なので、家では決して書けないものが外

          下弦の月の下で

          秋を捕まえに

          秋が来た。 これはもう絶対に来た。 今度こそホンモノだ、間違いない。 目が覚めてすぐに感じた。 今日は日が暮れる頃にバイクに乗ろう。 そう決めて1日をスタートした。 夕暮れ前に出発して、マジックアワーに目的地。 のつもりだったけど、生憎曇りで夕焼けは見られず。 だけど、せっかく来たんだし、と 30分ほどぼんやりと曇り空を眺めながら、 書きかけの歌詞のことを考えていた。 だれにも聞こえない小さな声で 生まれたばかりの言葉を歌う。 この時間がとても好き。 まだどこに

          歪んだ鏡の奥

          続・制作期間。 音楽を始めて結構な年月が経つけれど、 いわゆる「生みの苦しみ」を経験したことがない。 いつかはスランプってやつが来るのかなと思いながらも 今のところはあたしの元には来ていないようで、 おかげさまで今日も楽しく作らせてもらっています。 ただ、別の苦しみは時々ある。 自分の深くと向き合うこと。 あたしはどうやら恋だの愛だのよりも 自分自身と向き合うような歌を歌いたいらしく、 そういう曲を書く時は心がすごく摩耗する。 嘘をつきたくはないから、 自分の弱い

          地球の欠片を抱えて

          月のキレイな夜。 あたしは月が好きだ。 多分きっと星より好きだ。 照らされてやっと光るところも、 満ちては欠けて、時々消えてしまうところも。 頼りないようで優しくて、 あったかいようで凛として、 いつだってそこにある。いる。 いてくれるって思える。 ただ単にいちばん近くにあるからなのか、 それとも地球の欠片を抱えているからなのか。 月を見上げることでしか得られない感情がある。 そして、それがあたしには必要だ。 今夜はいつもよりもゆっくり眺めようと のびたとふたり早

          地球の欠片を抱えて

          言葉にただ宿す

          「言霊」 言葉が持っていると信じられていた 神秘的な霊力や不思議な力のこと 果たしてそんな力が本当にあるのか あたしにはわからないけれど、 願いを口にすることの意味はすごくあると思う。 あたしにはいくつかの好きなものがあって それを言葉にして人に伝えながら生きていたら、 人から人へと伝わって、 気付いたら遠くまで転がって、 信じられないくらい大きなボールになって あたしの元へと返ってきたことが幾度となくある。 願いを口にすることの1番の意味は 自分自身への宣誓だ。 言

          言葉にただ宿す

          夏が終わる前に

          秋を待っている。 首を長くして待っている。 中途半端に期待させるもんだから、 余計に恋しくなってしまったのかもしれない。 結局今年もあまり好きになれなかった夏は 残り少なくなってもやっぱり苦手なままで、 つい悪いところばかり探してしまう。 夏に人格があったなら、 向こうもあたしのことなんて大キライだろうな。 やりたいことを後回しにしている。 もう少し涼しくなったら、という理由で。 ついでに、やらなければならないことも なんとなく後回しにしてしまっている気がする。 や

          夏が終わる前に