恋の取り戻し方
「恋って、どう始めるんだっけ?」
恋愛からしばらく離れた友人どうしの会話でよく登場するセリフだ。ときめきって何だっけ? 「好き」ってどんな感情だっけ。
遠い日の恋は、思い出すだけで体じゅうむず痒くて、目も当てられないくらいに眩しい。もうあの頃の感情を取り戻せないんじゃないかとすら思う。
でも、そんなの悲しすぎる。どうにか恋する気持ちを取り戻すにはどうしたらいいかと考えていたら、ふとこんなことを思った。
恋の原材料がときめきという感情だとすると、その総量を増やせばいいのだ! 少なくとも、ときめく瞬間の多い日々は幸せだろう。
今日、わたしはたぶん恋をした。
相手は、すばらしい体験を提供してくれた喫茶店である。美味しいカフェオレ、落ち着いたリズムの音楽とほどよい雑音。この空間に、わたしは確実にときめいていた。ひょっとしてこれも、立派な恋なんじゃない?
ときめかせてくれた喫茶店に、どうしても感謝の気持ちを伝えたくなった。「わたしはここ(喫茶店)に恋をしました!」はさすがに気味が悪すぎるから、「ありがとうございます。とても心地のよい空間でした」と、精一杯の想いを伝えてお店を去った。
対象が異性でなくても(ましてや人でなくても)、わたし達は必ずときめく瞬間を持っている。それは日常にありふれた光景だったりする。好みの音楽を奏でるアーティストを見つけたとき、偶然手にとった本がお気に入りの一冊に仲間入りしたとき。気ままに途中下車した駅で居心地のいいカフェを見つけたとき。きっと誰にでも心当たりがある瞬間だろう。
ときめきはどこにでもあるし、意識すればいつからでも恋する心を育める。さらに言えば、恋する心を自ら育むことによって、素敵な人との出会いを掴めるというのがわたしの仮説だ。だって、「何かに夢中になっている(≒何かにときめている)人はモテる」なんて通説もあるじゃないか。
大丈夫、きっとまたすぐに恋を始められる。
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