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保育と人との繋がりの話 3

ハンガリーで友だちになったみんなとは、それからもずっと仲良しである。あれから5年が経っているが、今でも定期的に会っている。


そして、1週間同じ部屋で過ごした友だちとの出会いが、私が今でも保育士を続けている理由の1つだ。自分の保育への思い。彼女はとても真剣に聞いてくれた。そして、保育観が似ていた。

自園に戻りその次の年、所属していた園の園長があまり担当制保育に賛成していないことを知り、保育観に違いが見えてきた。やはり、保育というものは園長の思いによって大きく変わる。その園に所属している以上、思いと違っていても従わなければならない。

そのことを彼女に相談すると、『見学においでよ』と私を誘ってくれた。他園の保育を見ることは学びになる。そして何より、彼女が語る保育をこの目で見てみたかった。


見学へ行くと、その園の園長が温かく迎えてくれた。

彼女がとても尊敬しているという園長。私の話も真剣に聞いてくれた。そんな園長に言われた言葉を私は一生忘れないだろう。



『先生って本当に子どものことが大好きなのね』



こんなに涙が出ると思わなかった。
かつて、『子どものこと好きじゃないでしょ』と言われた私が、まさかこんなことを言われるなんて思っていなかった。泣きながら昔言われたことを話す。

『その先生は何も見えてないわ。確かに色々な保育観があって、正解なんてない。保育は日々変化しているからこそ、私たち保育士も変わっていかなくてはいけないし、学ぶことが必要。でもね、1番大切なのは子どもが大好きという気持ち。あのね、子どもが大好きという気持ちがあれば、絶対に大丈夫よ』



この園長の元で保育がしたい。『子どもが好きという気持ちがあれば、絶対に大丈夫 』この言葉でどれ程救われたか。私が今までしてきたこと、この思いは間違いではなかったと、そう思えた。


そして現在、私はこの園長の元で保育をしている。保育士のやりたい保育、思いを聞いてくれる園長がこの世にどれ位いるだろう。『子どものためにこうしたい』を叶えられる保育園がどれ位あるだろう。本当に貴重な環境に、私はいると思う。


もちろん、全てが叶えられる訳では無いけれど。それでも子ども主体の保育がどういうものか、日々楽しく保育をしながら分かってきた気がする。

そう、保育が楽しいと心から思える。


大人になったら、こんなに楽しいんだよ。世界はこんなに面白いんだよ。そんなことを伝えながら、子ども1人1人が自分らしく生きていけるように。

人との繋がりはとても大切だと思う。あの時の出会いが今の私を作っている。子どもたちにとっても、『先生に出会えて良かったな』と思って貰えるように、これからも子どもたちの未来のために、自分にできることを精一杯やっていきたい。

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