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クノシンジさんのワンマンライブに行った話

シンガーソングライターのクノシンジさん。
私が彼の存在と、彼の音楽を知ったのはもう15年近く前のこと。

当時高校生だった私は、ある動画サイトで作業用BGMを漁っていた。

『デトロイト・メタル・シティ』という松山ケンイチさんが主演をされていた映画を観に行ったことがきっかけで、あのポップでお洒落な音楽たちに見事にはまってしまったのである。(知らない方はもし良かったら調べて欲しい。デスメタルと可愛い音楽の融合、そして松山ケンイチさんの演技が好き)

そこから、あの音楽を『渋谷系』と呼ぶ事を知った。当時ガラケーだった私は、カチカチとキーを押して検索しまくり、片っ端から音楽を聴き漁っていたのである。


そして、その中にその音楽はあった。
ピチカート・ファイヴ、ORANGENOISE SHORTCUT、Capsule、ワンノート、Hazel Nuts Chocolate、そしてクノシンジ。

どの音楽も、私が好きな物だった。ポップソングは、私の心を明るくしてくれた。


ただ、曲が好き。
それ以上でも以下でもなかった。

高校生という年齢と、その当時の環境がそれ以上どうすることもできなかった。
まだ何も知らない子どもで、できることは限られていて。
CDを買うことも、もちろんライブに行くこともできず(というかそんな考えすら浮かばなかった)ただ、好きな音楽を聴く毎日。動画サイトで名前を入れて検索して、曲を聴く。(きっと違法アップロードだったんだと思うのだけれど、当時の私にはとても有難いコンテンツだったし、音楽に出会わせてくれて良かったと思っている)

そして、月日が経つにつれて私の中にある好きな音楽たちフォルダーにその音楽たちはそっと仕舞われていったのである。


そのフォルダーを開けたのは、わりと最近のこと。ふと、あの時好きだった音楽たちを聴きたいと思ったことがきっかけで。

あの時に好きだった皆さんは今何をされているのだろう?と検索する。すると見つけた。もちろんもう既に音楽活動をされていない方もいらっしゃったけれど、クノシンジさんはTwitter(現X)もInstagramもされていることを知った。


見つけてからは早かった。すぐにフォローをする。あれから時間は経ったけれど、まだ音楽活動をされている事実が本当に嬉しかった。

またあの音楽に触れられる。

そう思い、そっと活動を見守るつもりでフォローをさせて頂いた。


クノシンジさんが、インスタライブをされていることを知り、初めて拝見した時のことは良く覚えている。確か2回目のインスタライブだったかなあ。

変わらない歌声と音楽。あ、私が好きな音楽だ、と嬉しくなる。そして何より、今までは歌でしか知らなかったクノシンジさんの人柄を見るとこができて、更に嬉しく思ったのである。


とても優しい方なんだなあ。丁寧にそして嬉しそうにコメントを読まれる姿が印象的で。そして、そこから毎回インスタライブを楽しみにするようになった。

曲のリクエストに応えてくださったり、楽しい企画を考えてくださったり。そもそもこんな素敵な歌を無料で聞いていいのか、と本気で考えたりもした。そして、2023年12月9日にワンマンライブを行うと知り、勇気を出して行くことに決めたのである。

高校生だった私とは違う。今は大人になって、自由になった。好きなことは好き。できることも増えた。後は1歩踏み出すだけ。
右も左も分からないのに、勢いでチケットを取った。


そして当日。

場所と時間しか確認していなかった私は、そこに来ていたファンの方に救われる。少し緊張していた私に声をかけてくれた方がいて。話すことで気持ちが軽くなった。

今まで、ホールツアーとかドームツアーとか大きな会場にしか行ったことのなかった私。こんなに狭い環境でのライブは初めてで。その距離感にどうしていいか分からなかった。

でも始まってしまえば、あとは楽しむだけで。


本当に素敵なライブだった。

音楽を楽しむって、こういうことを言うのかもしれない。
距離が近いからこそ、直球で全てが届く。音楽その物をじっくりしっかり感じることができる経験はそう多くない。音が心に響く感覚。ああ、好きな音楽だなあと。あの空間全てがクノシンジさんの音楽でいっぱいだった。


(終わってから、お話する機会があったのだけれど、アーティストの方と直接お話するのは初めてで、何をどう話したのか記憶が曖昧であるが、とても素敵な方だったことだけは覚えている)



高校生だった私が、好きな音楽に出会い、離れ、そして再び出会う。

昔とは違う距離で。


少し月日を積み重ねたからこそ、感じることも違うと思うし、生きてきた時間や経験が変化をもたらしている気がするけれど。好きな音楽は変わらなかった。

今回のワンマンライブ、『再会、ゆるやかに』


直接お会いするのは初めてだったけれど、音楽に再び出会えたことはまさしく『再会』だった。


色々なことが重なって、『再会』できたことは私の人生を少し豊かにしてくれた。クノシンジさんが、ずっと音楽を続けてきてくれて本当に良かった。再び音楽を聴く機会を作ってくれてとても嬉しかった。こうして昔よりも近い距離で応援できることが何より嬉しい。


続けることって簡単じゃない。このライブで20年だと聞いた。20年。人が産まれて大人になるまで。

上手く言葉にできないのだけれど、やっぱり音楽を続けていてくださったことが本当に、本当に嬉しい。


この『再会』を通して、私も好きなことを続けていきたいなあなんて、そんなことを思う。
そして、これからのクノシンジさんの活動がより楽しく、輝きますようにと願いを込めて。



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