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全ての始まり

出会いは本当に突然だった。
私はディズニーが大好きで、その日もどうしてもミニーちゃんに会いたいと1人でディズニーランドに遊びに行っていた。所謂私はDオタと呼ばれる類で、一眼レフを片手にキャラクターの写真を撮ったり、パレードも自分の好きな場所で何時間も前から待ったりする、そんな人間だ。年間パスポートがあった頃は、1週間に1回はパークに遊びに行っていて、Dオタの中でも比較的緩やかなオタクではあったと思う。40周年のイベントが始まってからなかなかディズニーに行くことができず、その日は6月の初めであった。


本当に1人でのディズニーは気楽である。行き慣れていることもあるが、何も考えず、誰の意見に左右されることもなく、自分の好きな事をして、自分の好きな物を食べて過ごす、この時間が私はたまらなく好きだった。
今回遊びに行こうと決めたのも前日で、たまたま平日に仕事が休みで、行くなら平日だよねという安直な考えと、会いたいミニーちゃんがいるし、40周年のパレードも観たいな、なんていう私にとってとても都合の良いタイミングが重なり、もうこの日に行こうと思い立ってのことであった。
何を食べよう?ミニーちゃんに何回会えるかな?アトラクションはこれに乗れればいいかなあ。あ、欲しいグッズもあるんだった。ショーの抽選当たるといいなあ。そんな事を考えながら、仕事に行くよりも早起きしてわくわくしながら電車に乗り、ディズニーランドへ向かった。



ここで少し、私のことを話しておこうと思う。
私は現在保育士をしている。保育士になる前は幼稚園教諭をしていた。子どもと関わることが好きなことはもちろんであったが、子どもの頃から先生になるのが夢でした!という感じではなく、私はどちらかというと、将来やりたい事が多すぎて何を目指せばいいか悩み、その中の1つが幼稚園教諭だった、という少し変わった理由でこの仕事を目指した。高校2年生の時に担任の先生と面談し、今後の進路について話し、当時の担任にありのままの気持ちを伝えると「幼稚園の先生とか、似合ってると思うんですよね」と言われ、やりたい事の1つだし、目指してみて違ったら他の仕事をしようと、高校生だった私はとても安直に進路を決めた。本当に、何でもできると、当時の私はとても楽観的に物事を考えていたのだが、結果保育や教育について学ぶととても面白く、私はこの仕事に就いて良かったと心から思っているのである。
そして、もう1つ。私は現在ダイエット中である。きっかけは過去最高体重を更新してしまったことと、私の大好きなアイドル、INIの佐野雄大くんが本当に努力の塊で、彼の努力を見て私も努力というものをしようと思ったからである。ここでは詳しくは書かないが、いつか機会があったらダイエットについても書きたいと思っている。そして現在、-40kgのダイエットに成功し、目標値まで残り5kgというところまで来ているのである。


話は戻るが、ダイエットをしている私だからこそ、ディズニーランドでは本当に好きな物を食べようと、それはそれは楽しみな気持ちと少しの罪悪感を持ってディズニーランドに向かう電車の中で、本当に入念に自分の中で計画を練っていたのである。

久しぶりのディズニーランドは本当に最高だった。

エントランスのグリーティング(キャラクターと写真を撮れる)の抽選に当たり、フォレストシアターでのショーの抽選に当たり、食べたかった物を食べて、ミニーちゃんにも会うことができた。
午前中をミニーマウスのスタイルスタジオに繰り返し並び、3周した所でふと散歩しようと思い立ち、パーク内を反時計回りに散歩していた時だった。


本当にそれは突然やってきた。


アドベンチャーランドを歩いていると、何やら植物の写真を撮っている2人組がいる。1人は女の人。もう1人は男の人。なんだろう?よく見ると、ミッキーマウスの木だ。私も以前、パークにあるのを知って写真を撮ったことがある。そっか、実がなる時期か。せっかくなら私も写真を撮っておこうかな。そんなことを考えて、2人組の少し後ろでそっと待つ。写真撮り終わったら、私も撮らせてもらおう。

私の存在に気付いた女の人が、こちらを振り返った。

「これ、ミッキーマウスの木っていうんですよ。」

多分そんな風に話しかけられた気がする。

「あ、はい、私も写真に撮りたいなと思って。」
「植物お好きなんですか?」
「年パスがあった頃は、花の写真とか撮ってました。」

笑顔が素敵な女の方で、自然と話が弾んでしまう。すると、ミッキーマウスの木にカメラを向けていた男の人がこちらに気付く。

「ミッキーマウスの木、知ってる人いるんですね。」
「パークには良く来るんですか?」
「家が近いんです。」
「え、羨ましい!」

会話を全部覚えている訳では無いが、多分こんな話をしたと思う。その2人を見ながら、どういう関係の2人なんだろうと、そんなことを思ったことを覚えている。

「写真撮影の邪魔をしてすみません、話してくれてありがとうございました。」

こんな感じで写真を撮り、その場を離れる。
ディズニー好きな人に会った。それだけの出会いだと、その時は思っていた。

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