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不思議な友達

私には、ちょっと不思議な友達がいる。

人間の好き嫌いがはっきりしていて、上部だけの関係がなくて、良い意味でも悪い意味でも「今」を見ていて「今」を生きている。
時々彼女の人生を見てるこっちが心配になる。そんな感じの子。

結論から言うと私はその子が大好きだ。

良い面も悪い面もあるし、時々「ん????」って思うところもあるけど結局大好きだ。超大好き。

出会いは中学の部活だった。クラスが一緒になることは一度もなかった。

人懐っこい子で、多分もうちょっとなんか上手くやれば誰とでも仲良くなれる子だと思う。

人のことを噂や見た目とかで判断したりしないし自分の利益で付き合う人を選んだりしない。
「誰と仲良くするか」を自分で接して、自分で感じて、自分でしっかり選ぶことができる子。
「友達の◯◯ちゃんが嫌いだから私も嫌い」とか、そういうことは一切なかった。

人の目を気にする私にとって、彼女のその考えや行動は不思議で堪らなかった。

彼女は障がいのある子たちとめちゃくちゃ仲が良かった。
そのうちの1人の男の子にめっちゃ求婚されてた気がする。思い違いだったらごめん。

中3のとき部活中に塾の宿題をやっていて「いや、家目の前なんだから家でやれば良いじゃん」みたいな感じでしょうもない喧嘩をしてそっから高校入るまで仲良くはなかった。と思う。記憶が曖昧だけど。

高校に合格してすぐ、私は今は亡き掲示板でこんな日記を書いていた。

紗綾は当時掲示板で使っていた名前だ。
この時には既に仲が良かったらしい。

そういえば合格発表一緒に見に行った気がする。
合格発表くらいから仲良くなったんだと思う。

高校1年はクラスが違ったけど昼休みは2人でお弁当を食べていた。
そんなことをしている間に私はクラスで浮いて、

「このままじゃ危ない!」

と思って無理してクラスの女の子とお弁当を食べていたけど気づけばまた2人になっていた。

2年に上がる前に文理選択があった。
文系は大学進学を目指すクラスと専門学校とか就職のクラスとに分かれていた。

私は親に大学大学と言われ続けていたので大学進学のクラスに行く予定だったが彼女は専門学校のクラスに行く予定だった。

またクラスで浮くのが嫌すぎて、

「英語めっちゃできるじゃん!勿体無いよ!」

と必死に説得して大学進学の方のクラスに引っ張り込んだのを覚えている。まじでごめん。

そういえば軽音楽部に入部するときも1人で行くのが怖くて、

「ボーカルでいいからお願い!」

と彼女を引っ張り込んだ。結局彼女はやめたし私は1人で歌ったけど。ほんまにごめん。

仲良くなってすぐ「男子が苦手」という話をすると私は「男性恐怖症」だと解釈され、徹底的に男を避けてくれる予定だった。

3年間異性トラブルがない生活を保証されたはずなのに1年の時に彼女とそこそこ仲良いけど私とは仲良くない。みたいな先輩に告白された。

振ったらめちゃくちゃ怒られた。解せぬ。

2年の時には彼女と仲良いよくわかんない後輩に謎にめちゃくちゃ好かれた。
後輩は彼女と仲良いから彼女に引っ付き回ってやたら私と接触してきた。
2人で帰るつもりだったのになんか後輩がいる。みたいなことがよくあった。

付き合ったけど結局当時私と仲良かった別の友達と浮気した。これも解せない。

1年のとき仲良かった3年の先輩が彼女のロングヘアが見たいと言うと、長年ショートヘアだった髪を伸ばし始めた。
私は彼女のそういう素直さも好きだ。

2年の時喧嘩をした。
口を聞かなくなるくらい大きな喧嘩になって、沢山の友達を巻き込んだ。巻き込んだ友達まじでごめん。本当に反省してます。

かと思えば仲直りのきっかけは超単純だった。

遅刻魔の私はテストの日も遅刻する。
テストの日に遅刻して、こそこそと教室に入って、こそこそと席に座る。
問題用紙を確認する。

解答用紙がない。

先生が回ってきた時に言えばいいかな。と思ったがあろうことか先生は寝てる。いや、寝るなよ。とか思いながらここで「先生」と声を出す勇気もない。

その時斜め後ろの席の彼女がそれに気付いて「先生」と声をかけてくれた。
「え、私のこと嫌いじゃないの?」という驚きと純粋に感謝。

テストが終わってすぐ「ありがとう」と言うべきなのに言えなかった。

帰りの駐輪場でたまたま、本当にたまたま偶然に運命的に出会えて、

「ありがとう」

と私が言うと、

「もう話してくれないかと思った」

みたいなことを彼女が言って、なんか仲直りした。多分。謝ったかどうかは覚えてない。多分謝ったと思う。

あの日私が遅刻しなかったら。

机の上に解答用紙があれば。

駐輪場に行くタイミングが合わなければ。

仲直りのタイミングはなかったのかもしれない。

彼女とは進学しても交流があった。

彼女は服飾の専門学校に通っていて、彼女がデザインして彼女が作った服を私がきて学校のファッションショーに参加したりもした。

あれ確か学校がお昼ご飯出してくれてめちゃくちゃラッキー案件だった。


彼女は今、地元を離れて遠い場所にいる。

卒業してすぐ彼女はどこかの会社の正社員になることなく、フリーターの道を選んでそこへ行った。

そこへ行くバスに乗る夜、私と友達とで彼女の送別会のようなものをした。

彼女の「今」を見て「今」を生きる考えに私は不安だった。多分友達も不安だったと思う。
でもそうやって人の目を気にせず「今」「自分」だけを考えてそのために行動できる彼女が羨ましくもあった。

正直半年くらいで帰ってくると思っていたけど、もうすぐで10ヶ月になる。

「コロナでバイト先が休業になった」

と彼女からLINEが来たときはめちゃくちゃびっくりしたし、不安だった。
休業補償はあるものの、それも微々たるものだった。

給付金のお陰で一応なんとかなるらしい。
なるらしいが1日1食とかわけのわからないことを話している。
いつか体を壊すんじゃないだろうか。

いつでも帰っておいでよ。

私はそろそろ彼女に会いたくて仕方がない。