福江空港を利用してみた
五島を訪問したので、福江空港まで飛行機を利用した。長崎から船で行ってもよかったのだが、長崎空港から長崎市内まで時間がかかるのに対し、福江空港は福江の市街地に近いし、長崎空港までの運賃も福江空港までの運賃も大差ないためである。
五島で空港があるのは福江のみである。中通島に上五島空港もあるが、滑走路が800mと短く就航可能な機材が限定されること、空港の立地が不便であること、小型機では就航率が低いうえに高速船に対して競争力がなく採算が取れないことから、定期便は就航していない。福江から他の島に行くためには福江港から船で移動する必要がある。それなら最初から長崎や佐世保から船で直接行く方が簡単だろう。小値賀島の空港も同様の理由で定期便が就航していない。
【就航便】
福岡空港と長崎空港へそれぞれ1日3往復、福岡空港への1往復のみANA便だが、残りはORC便でANAがコードシェアしている。長崎便は40人乗りクラスのATR42-600またはDHC-8-200、福岡便は70人乗りクラスのDHC-8-Q400である。羽田からは福岡経由と長崎経由で利用できる。ORC便はJALともコードシェアしているので、JAL便からの乗り継ぎも可能である。
長崎から福江へはジェットフォイルの方が早くて便利なため、事実上長崎空港での乗り継ぎ便だが、乗り継ぐにしても福岡経由の方が便利なため40人乗りのプロペラ機であっても比較的空いている。そのため長崎便の方が座席を取りやすい。
福岡便は福岡空港の混雑のため出発や到着が遅れることがある。羽田からの便の福岡到着が遅れても、乗継便の到着も遅れて結果的に乗り継げることもある。
【滑走路】
離島なのにしかも福江の市街地の近くなのにジェット機が離着陸可能な2000mの滑走路を有している。かつては737も来たようだが、737-500が退役して以来ANAに手頃な機材が無いのか、今ではプロペラ機のみである。プロペラ機にとっては余裕のある長さなので、着陸時には滑走路の途中で向きを変えて折り返している。誘導路もターニングパッドもないが、プロペラ機なら1本の滑走路上でUターンできる。
滑走路は北北東から南南西の向きで、南風時には北側から進入するので、福江港の真上から降下していく。
高台にあり霧が出やすい地形のため、到着便が着陸できないと出発空港に引き返し、折り返し便が欠航になる。次の便に振り替える場合、福岡行は満席になりやすいが、長崎行は比較的座席に余裕があるので振り替えやすい。それでも長崎県の統計によれば就航率は年間95%前後と、離島の空港の中では就航率は高い方で本土の空港に匹敵する水準である。
【欠航時の扱い】
機材の不具合であれば後続便に振り返るだろうが、霧で欠航する場合には、霧が晴れるまで飛行機が飛ばない。そのため、天候事由による欠航時には長崎までのジェットフォイルの空席等の情報がいち早く表示される。夕方の便が欠航になり、その日のうちに長崎まで渡れない場合には近隣宿泊施設の空室数も表示されるようである。後続便への振替なら、空港のカウンターで手続できる。払い戻しは30日以内に航空会社のウェブサイトで手続できるので、空港で並ぶ必要がない。地元の人は慣れていて、今日は飛びそうにないと判断したらすぐに港に向かう。
船で長崎まで行けるとしても長崎から先の足は必要で、長崎空港からの便を確保できればよいが、福岡空港までの移動だと長崎からJRまたはバスでの移動なので半日近くかかる。福江から長崎や福岡への単純往復なら払い戻してもらえばよいとして、長崎や福岡から先の便の航空券もある場合には、差額の払い戻しになるので、船や鉄道にかかる実費の一部しか回収できない。特に羽田から長崎までも羽田から福江までも航空運賃はさほど違わないので、福江長崎間だけ払い戻しても大した額にならない。
【ターミナル】
地方空港で標準的な1階が到着ロビー、2階が出発ロビーである。2階には売店とレストランがある。売店では鬼鯖寿司が売っている。昼の便から夕方の便まで発着がないので、その間は売店もレストランも営業しない。
搭乗待合室はプロペラ機の座席数に比して余裕がある。電源席はないが窓際に充電できる場所がある。
飛行機の扉が開くときに数段の階段を据え付けるだけなので、早く降りられるのはありがたい。尚、機種に応じて様々な高さの階段があり、ジェット機用のタラップもある。
到着時には歩いて直接バゲッジクレームまで行けるので、これも楽である。ボーディングブリッジが無いので出発時は2階出発ロビーから階段を降りて駐機場まで歩いて搭乗する。雨の日には若干不便だが、バスに乗るような感覚で気軽に乗れる。
【バス】
飛行機の発着に合わせて設定されており、飛行機の到着時刻の少し前に空港に到着し、飛行機の到着の5分後に出発する。飛行機が遅れたときには20分まで待つとのこと。福江市内から15分310円。空港まで近いのですぐに着くのがありがたい。しかもプロペラ機は乗客が少ないので空港に着いてから飛行機が出発するまでの時間も短く、飛行機の出発時刻の50分前に福江の市街地を出てもちゃんと間に合う。大した距離ではないので複数人利用ならタクシーでもよいかもしれない。
バスは飛行機の発着に合わせて設定されているが、生活路線も兼ねており途中住宅地や公共施設に立ち寄る。おかげで飛行機が欠航したときでもちゃんと運行されている。
空港からのバスの終点の福江バス停はフェリーターミナルの前にあるので、船への乗り継ぎもできる。福江のフェリーターミナルには中通島の奈良尾港経由長崎行のジェットフォイルだけでなく、周辺各島への船も出ている。上五島の有人島が橋で結ばれているのに対し、福江島周辺の島へは船での渡航が必要なのでフェリーターミナルは賑わっている。
【レンタカー】
福江の市街地に近いので市内の店舗からの送迎である。市内店舗まで4km~5km。大手はトヨタレンタカーとニッポンレンタカーと日産レンタカーのみだが、大手以外にも多数ある。レンタカー店舗からは福江の宿へも送迎してくれるので、空港から宿までシームレスに移動できる。