ANAの飛行機が不具合で欠航して翌日の便に振り替えられたので宿で一泊した

夜のANA便に搭乗しようとしたら、搭乗機が空港に到着した後で機材の不具合で欠航になってしまった。当日のANA便も他社便ももう無いタイミングでの欠航決定だったので、翌朝の便への振替となった。しかも、他社便振替の費用をケチりかたったかどうかは定かではないが、JALの最終便が出発した後での欠航決定となった。天候事由であれば宿泊費とそのための交通費は旅客負担なのだが、機材故障が原因の場合には航空会社負担で、ANAの場合は15,000円まで補償請求できる。

今までこのような事態に遭遇したことがなかったのでホームページ上の案内を見に行くことがなかったが、ANAには「諸費用の負担について」というページがあり、そこに記載がある。費用は立替精算で、「諸費用のご精算方法」というページに案内がある。2024年7月18日以降はオンラインで補償請求できるようになった。ホテルの領収書の写真を撮影し、「補償申込みサイト」で領収書の写真をアップロードする仕組みである。従来は紙を郵送する仕組みだったので煩雑だったが、だいぶ楽になった。当初の便の出発予定日から30日以内なので余裕がある(補償請求が遅くなればその分振込も遅くなるが)。

ちなみにJALはどうなのだろうと思って調べてみたところ、「出発当日の空港での遅延と欠航による諸費用ついて」というページがあり、基本的にANAと同様の記載だが、航空会社負担金額が明記されておらず、「弊社が定める範囲で」と記載されているに留まる。もしかして空港の物価に応じて金額が異なるのだろうか。羽田なら上限が高くないと困るし、地方空港ではそこまで高くなくてよいので、相場に応じた金額にするのは、相場に応じた金額を必ず補償する限りにおいては合理的である。いざというときにこのような補償があるのが、フルサービスキャリアを利用する際の利点である。JRも宿泊費の補償をしないので、いざというときのことを考えると羽田伊丹間で飛行機に乗る理由もわからないでもない。

そこから何が言えるかというと、空港で(機材故障事由の)欠航がアナウンスされ、当日便への振替が不可能になったタイミングで、即座に宿を押さえにいく必要がある。欠航になった便の乗客が一斉に宿を取りに行くので、下手したら宿が満室になってしまう。スマホに楽天トラベルのアプリでも入っていれば、ホテルに電話せずともその場で予約できるので早い。

翌日の便への振替はカウンターに並べば地上係員にやってもらえるが、カウンターに長蛇の列ができるので、早く並ばないと時間を無駄にする。航空会社のアプリ経由でノーマル運賃で予約だけ入れておいて翌朝にカウンターで振替便の発券をしてもらうこともできる。

今回は幸運にも上限15,000円の範囲で宿が取れて、市内へのバスもまだあったので、バスで市内に向かった。なんとかチェックインして部屋に入ったが、一つ重大な問題がある。それは着替えである。想定外の宿泊なので着替えが足りない。常時1泊分の着替えの予備を携帯していれば困らないのだろうが、滅多にないことのためにそこまでする気になれない。コンビニで最低限の着替えを購入することもコンビニがあれば可能だが好みのものがあるわけでもなく、下手したら一度きりの着用になりかねない。サイズの合うものがなければそもそも購入することができない。それに着替え代は航空会社による補償の対象外である。

幸い1泊分の着替えがあったのでそれを洗濯することにした。通常なら宿のコインランドリーを使うものだが、ただでさえ夜遅いのにコインランドリーで洗濯したら寝る時間を確保できなくなる。時間を節約するために手洗いすることにした。このような事態に備えて手洗い用に洗剤の小袋なら常時携帯している。粉末タイプなら量をコントロールしやすい。

通常は風呂場干せば翌朝には乾くものだが、洗濯機で脱水したわけではないので乾きにくい。滞在時間が短かったため、結局靴下は乾かなかった。やむなく前日に履いた靴下をもう一度履く羽目になった。乾きにくい靴下だけはコンビニで購入すればよかった。あるいは、靴下1足くらいなら嵩張らないので、靴下だけは予備を携帯するのもよいかもしれない。

翌朝は朝一番の空港行きのバスに乗車した。早く帰りたかったので朝一番の飛行機に振り替えてもらったのだが、その結果、とんでもない早朝に起きることになり睡眠時間が不足した。

やっとのことで帰宅して、PCで補償申込みサイトを通じて請求しようと思ったが、サイトにエラーが出て先へ進むことができなかった。欠航直後はアクセスが殺到しているのだろうか。スマホから入ると、「お客様情報照会」画面に各種情報を入力して「次へ」を押すと「入力情報に誤りがあります。入力内容をご確認ください。」というエラーメッセージが出て先へ進めない。入力内容が正しいことを確認したうえで「次へ」を押しても「入力情報に誤りがあります。入力内容をご確認ください。入力内容に誤りがあります」と出るので、きっとシステムの中がおかしいのだろう。2024年7月18日から本番稼働したばかりのシステムなので初期の不具合があるかもしれないが、航空会社のエンドユーザー向けシステムをそんな完成度でリリースするとも思えない。一つの可能性としては、システムのバッチ処理のタイミングの都合で、欠航便の乗客データがまだ反映されていないのだろうかと推測する。もしかして「補償請求できます」というメールが来た時点で補償請求可能になるのだろうか。基本的な機能の周辺の細かい気配りが行き届いていないことはありうる。

一旦メールで問い合わせたものの、メールでは対応しないとのことで、補償に関するお問い合わせデスクの電話番号の案内を受けた(ANAホームページ上で探したがこの電話番号は見当たらなかった。非公開のようなのでここでも掲載しない)。欠航便の予約情報を照会されたので回答した。それを踏まえて空港に確認のうえ折り返すとのこと。折り返しいただいたところ、欠航便予約記録が空港に確認が取れたとのことで、補償申込み案内メールが届き次第補償申込みサイトでの申込みができるようになるとのことだった。その後案内メールが届き、9桁の補償申請番号が発行されたので、必要情報を入力すると、今度は先へ進むことができた。銀行振り込みと電子マネーから選ぶことができたが、電子マネーだとレートが不利になる可能性があるので銀行振込を選んだ。マイルを選べるならレートが有利になる可能性があったが、マイルを選択することはできなかった。領収書写真をアップロードしたうえで申請したところ、銀行振込については別途メールによる案内があるとのことだった。

もしかして、空港で振替便の手配をした際に予約変更とした結果、変更前の予約記録が消えてしまったのだろうか。空港で案内を受けた際、補償請求申込み案内のメールが来たり来なかったりすると聞いたが、もしかして振替便の手配のしかたによって振替前の欠航便の予約記録が消えてしまうこともあるということなのだろうか。従来は紙で補償請求の処理をしていたためそれでも問題が顕在化しなかったが、補償申込サイトで処理するためには変更前の予約記録が残っていなければならず、それに際して振替便手配のための運用方法が周知されていなかったのだろうかと推測する。立ち上がったばかりのシステムなので、いずれ運用も追いつくのではないだろうかと期待する。

ともあれ、翌営業日には「補償のお申し込みに関するご案内」のメールが届いたので手続きした。ホテル代は領収書を取ったが、市内までの往復のバスは急いでいたので領収書を取り損ねた。券売機で切符を買うなら領収書を取れることもあるが、ICカード払いやクレジットカードのタッチ決済でいちいち領収書なんて取っていられない。会社の経費精算でも税のルール上も公共交通機関の運賃は領収書なしで申告ベースでOKだし、泊まった宿の場所からバス代も特定できるので大丈夫かなと思ったが、1週間後に「補償の受け取りに関するご案内」のメールが来て手続きしたら、振込対象金額はホテル代だけだった。手続終了後にインターネットバンキングを確認したら、即時に振り込まれていた。

最終的に振り込まれたときには、立替の発生から2週間半経過していた。クレジットカード払いだったのでカードの引き落としの前であれば実害はないのだが。立替の発生からオンラインでも補償請求まで1週間、補償請求から支払いの案内まで1週間強だった。次回以降もこれくらいの期間を見ておく必要がありそうである。

補償を受け損ねた往復のバス代はそんなに大きな金額ではなかったので、わざわざクレームをつける気にはならない金額だが、次はJALにしようかなと思うには十分な金額であった(理由は後述)。そもそも直接的な損害以外にも移動が翌日に遅延することによる間接的な損害もあり、それは補償対象外である。交通費自腹を前提に15000円の上限をすべてホテルにつぎ込むという手もあるが、値段が倍だからといって睡眠の質が倍になるわけでもなく、お金を無駄に使うのは気が引ける。結局、乗客に可能な範囲で機材の不具合をなるべく避けるしかない。

尚、ANA便の中で機材の不具合が発生しやすいのは787の初期の機体、78M(国際線兼用の787-8で定員が少なめ)と78P(国内線用787-8)である。特に78Mは今まで機材の不具合でさんざん嫌な思いをしてきたので予約段階で避けるようになった(1往復2レグで3回機材の不具合による遅れに遭遇したこともあった)。789(RRエンジンの787-9)、78G(GEエンジンの787-9)、78K(GEエンジンの787-10)は比較的新しいので、まだ不具合が出にくい。737では今まで不具合に遭遇したことがない。777や737NGの頃にはまだボーイングも信頼性が高かったようである。

製造が遅かったJALの787-8(GEエンジン)でも今まで不具合に遭遇したことがない。JAL国内線の保有機材は737,767,787後期、A350だが、いずれも不具合が多発する機種はないので、機材の不具合による欠航を避けたかったらJALの方が有利かもしれない。737と767はJALが貧しかった頃に発注された飛行機なので最新の機種に比べて内装が簡素だが、それでも機材の不具合で欠航するよりはましである。最近のJALは株主優待割引運賃も株主優待券もANAよりも少し安いのだが、その代わり最近のJALはビジネストラベラーに人気があるようで、乗りたい便が満席でやむなくANAにすることがある。

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