家族中毒:目を逸らせ

街灯ギラギラ、
夜更けの道はめまいを誘う。
  逃れたい気持ちが家路を焦らせるのに、
  近い距離が果てしない。
    歩いているのは自分なのに。
      視界は自分のものではなく、
      誰かの目を借りているようだ。
        
        うつろに、
        視界は狭くなり、
       
          交差点に飛び出る。
 
      止まれ。
 
        トマレ!
 
   叫んだのは私じゃない。
   かすかに残った私の理性だ。
 
   奪われたはずの視界は、
   相変わらず 私のものだった。
 
   理解できずに 僅かに空を仰ぐ。
 
途端に世界は広かった。
 
いつもの家路が、
まるで新たな世界へと変化する。
視線一度変えれば、
 
そこは別の世界。 
 
         あぁ! 悔しい!
 
馬鹿みたいだ。
案外どうでも良いんだ。
私の見ているものって。
 
重要そうで、
そうでもない。
 
たまには逃げればよかった。 
本気で。
 
溜め息。          
  
だからさ、
そうすれば眠れたかもしれないんだ。
       あんなに叫ばなくても……。

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