家族中毒:光の繭に包まれて

祭りのように昼は心が踊る。
踊れば踊るほど、喜びは光となって、
一つ また一つ 心の中に蓄積される。
 
感じているのだ。
この理不尽な夕方を。
夜に訪れる暴虐を。
だからこそ笑い、
この昼を全力で生きる。
 
喜びと幸福を蓄積するために。
悲しい巣に戻っても、
へっちゃらであるように……。
 
しかし 足りない。
 
足りないから空想に更ける。
空想の世界を眺めて、
幸せを消耗しないように、
 モニターの向こうに居る人と笑い、
 憧れの絵で笑い、
 理想の文字で笑い 
 聞こえないように頭で笑う。
 
でないと タールに塗れた
巣に飲み込まれる。
 
  耐えられない。
 
悲しみと怒りに身を悶えさせる夜は、
一人、蓄積させた幸福を思い出して 笑う。
明日も昼はきっと幸せだと 笑う。
 
誰も干渉しないベッドの中で。
一人、幸福の光に包まれて、
身を守るように幸福の繭に包まれて、
ただ明日を待つ。
 
そんな君が欲しいのは 夜の幸せ。
今は寄る辺のない夜の幸せ。
 
夜、暖かな巣で幸せという行為をしたかった。
 君は家族を欲した。
  私は、そんな君という家族を欲した。

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