家族中毒:氷と炎

悲しみ労わる 凄惨なる 炎。
怒り憎む 鋭利なる 氷。

あらゆる感情は風雨で荒れるが、
心は色を失って乾いていた。

まばゆい花々が君を包み込み、
美麗なる祭壇が輝きを放ち、
モノクロームの心に、
光を与えようとしている。

 だが

炎と氷が渦巻き、
台風のように吹き荒れる感情は、
二日間じゃ収まりがつきそうにない。
 
台風の目には  君が居る。
          
    目の前に居るのに、居ない君が。

悲しみ労わる炎は涙を捧げ、
涙は蒸気となって君の周りを周り続ける。
怒り憎む氷も涙を捧げるが、
涙は鋭利な氷柱と化して、
 
    君を失った原因に刃を向ける。
 
私達は氷でもあり炎でもある。
私達は君を悲しみ労わりながら、自分の喉に
 
    氷柱を突きつけているのだ。
 
無数の涙が蒸発し形作られた台風は
無数の「何故」を意味する。
 
憎む相手も、憎む事象も無く、
 たった一人で君が消えてゆけば、
   私達は悔いて自分に刃を向けるしかない。
 
もう 過去に何をしても 
訪れる結果は! 
 
    今! 現在! この状況!
 
無言で消え行く君に何を言っても上の空。
過去、真実を語らなかった君を私は恨む。
 
だから私は、
君が姿を見せたら絶対に許さない。
  
だけど私は、
君が姿を見せたら絶対に抱きしめるのだ。
 
その自信がある。

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