アークザラッドRTA観戦入門~知識0でも楽しめる!初心者向けポイント解説
国内最大級のRTAイベント『RTA in Japan』にて、2024年8月12日~13日に『アークザラッドII』(以下、アーク2)のタイムアタックが行われました。
そんな『RTA in Japan Summer 2024』のラインナップが発表されたのは、2024年6月のこと。私は「アーク2が採用されただと?!しかも走者コアラピュールさん!」とテンション上がりまくりで……当日はPC前で配信開始を今か今かと待ち構えていました。プレイも解説も、長時間に渡る挑戦もかかわらず、観ているこちらが画面から目を離せないぐらい凄かったです!
配信へのコメントの流れも速かったですし、当日はXで「アークザラッド2」や「アーク2」がトレンドTOP30入りするなど、大きな話題を集めたのではないでしょうか。
この大盛況の影響か、ネットでは「こんなイベントやってるんだ!」「今から観れるアーカイブはある?」のようにアークザラッドきっかけで初めてRTAに触れたと思われる方のコメントをちらほら見かけました。
いや~~うれしいですね!!
RTAはほんと面白いので、ぜひぜひ気軽にもっと観てほしい!!
というわけで今回は、視聴歴だけはそこそこ長い“RTA観戦専門”のライト勢な私が、「アークザラッドからRTAを楽しむ」をテーマに、初心者向けのポイント、知っておくともっと楽しめる専門用語、まず観てほしいアーカイブなどを独断と偏見でざっくり紹介します!
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RTAとは?
ゲームにおけるRTAとは、スタートからクリアまでの実時間を競うプレイスタイルの競技のことです。「Real Time Attack(リアルタイムアタック)」を略した言葉となります。
タイトルによってはゲーム内で時間を計測できるものもありますが、RTAにおけるタイムは「現実時間 」で計測されます。ゲーム内ではなく、ゲーム外で別にストップウォッチ(基本はデジタルツール)を使って測る形です。
原則としてRTAでは、特殊ツール(TAS等で使う、プレイに影響するもの)は使いません。“実機”にて、人間の手で再現できるプレイを行います。
最速タイムを出すには「最善手となるチャート」を研究し、練習に練習を重ねて臨む必要があることから、人間がプレイするからこそのスポーツのような競技性、計算し尽くされたアートのような美しさも魅力だと思います。
RTAの専門用語
まず覚えたいRTAの用語をピックアップしました。ここではアーク2を例として、ざっくり解説します。
カテゴリー
RTAにおけるカテゴリーとは、ルールの取り決めに関する分類で、競技種目のようなものです。例えばアーク2だと、以下のような表記が見られます。
Glitchless:ゲーム内のバグを一切使わず、正規の手順のみでプレイ
No Major Glitches:ゲーム内での主要なバグを使わないでプレイ
No File Conversion:コンバートなし
File Conversion:コンバートあり
Any%:ゲーム内の達成率は気にせず、最速ゲームクリアだけを目指す
Defeat Gallarno:ガルアーノ撃破までのタイムを競う
ガルアーノ撃破RTA/ガルアーノRTA:「Defeat Gallarno」の通称
通常END RTA:シナリオ全クリアのタイムを競うプレイの通称
なお、例え同じ通称でも、細かいルールやタイム計測区間が違うことも。詳しくは、それぞれのカテゴリルールを確認することをおすすめします。
EST
RTAにおけるESTとは、予定タイムのことです。「Estimated」と表記されることもあります。
ただし場合によって定義が違うことも。主に以下の2パターンです。
プレイ予定時間:スタートからクリアまでの純粋な予定時間
トータル持ち時間:「前説+ゲームプレイ+感想」にかかる予定時間
走者
RTAにおける走者とは、RTAをおこなうプレイヤーのことです。そもそもプレイのことを「走る」という概念で表す傾向にあるので、以下のような言葉も使われます。
ラン:RTAに挑戦すること。
試走:本走などを想定したチャート確認目的の練習プレイのこと。
本走:実際に記録を計測するRTA本番プレイのこと。
出走:RTAのイベント等に出場すること。
完走:RTAの計測開始から終了までプレイを達成すること。
再走:RTAで1度プレイし始めた後に、再度スタートすること。
なおRTAのイベントでは、「解説者」など、「走者」以外の方が一緒に出演してしゃべることも多いです。
複数人が同時に出演している場合は
・誰が走者(プレイヤー)で、誰が解説者か
などを確認することで、より楽しみやすくなるかもしれません。
チャート
RTAにおけるチャートとは、ゲームプレイの攻略法や進行手順のことです。やり方を書き記した計画書自体のことを指す場合もあります。
特にリリースから時間が経過し、RTAプレイヤーが多いタイトルでは「この戦闘の攻略法は従来“こう”だったけど、○年前に○○さんが”この方法”を発見して~」のように、様々な人を経由しチャートが磨かれてきたことも。初めて見る方でも、解説によってはこういった歴史の断片を実感しやすいです。
アーク2も例外ではなく、幾人もの挑戦者がそれぞれ長い時間をかけて研鑽を重ねたからこそ、より美しいチャートを生み出せたのかもしれません。
ただしチャートさえあれば誰でも最速タイムを出せるわけではありません。
書き記したものを見ながらプレイするには限界があります。手順を記憶し、無駄な動きを徹底排除するよう血がにじむような練習を重ねなければ、記録に残る最速タイムは難しいでしょう。それぞれの手順の成功確率もふまえたうえで「その状況で最適な手順を選ぶ」など瞬発的な判断も必要です。
なおRTAのプレイヤーの中には、WEBなどでチャートを一般公開している方もいらっしゃいます。チャートと実際のプレイを見比べながら観戦するのも、より深く楽しむヒントになるかもしれません。
RTA開始前に確認したいポイント
設定ルールによっては「同じゲームタイトルのRTAでも、競技として全く別物」となるケースも珍しくありません。観戦前に以下3点だけでもチェックしておくと、競技として楽しみやすくなりおすすめです!
どんなカテゴリルールでの挑戦か?
計測終了となるクリア条件は?
目標となるクリア予定タイム(EST)は?
ここでは「アーク2のRTAを観る場合」を例に、ざっくり解説します。
1.どんなカテゴリルールでの挑戦か?
特にアーク2の場合、カテゴリーで以下を確認したいところです。
クリア条件は、メインシナリオクリア or ガルアーノ撃破
アーク1からのコンバートは、有 or 無
バグの使用は、可 or 不可 or 一部可
RPGのRTAでは「メインシナリオクリア」を計測終了のクリア条件にするのが一般的です。しかしアーク2では、普通にクリアするとものすごく長いため、途中のボスであるガルアーノ撃破までを一区切りとした計測ルールの「Defeat Gallarno(ガルアーノRTA)」への挑戦者も多いです。
アーク1からコンバートできるかどうかで、「キャラ能力値」「入手可能アイテム」「起こるイベント」等に違いが出ます。コンバートありの場合、
・事前準備として、アーク1で育成をどのように行ったか
もタイムを大きく左右する見どころとなるでしょう。
また、アーク2には多数のバグが存在することでも知られています。RTAでよく言及されるものとしては「ゴッズ増殖バグ」「マザークレアの館バグ」「バルバラード封印の遺跡のバグ(通称:バグバラード)」等があります。
2.計測終了となるクリア条件は?
タイムを競う競技だからこそ、時間の計測終了となる「クリア条件」も、できればきちんと把握しておきたいところです。アーク2では、計測ルールの種類として、以下が知られると思います。
通常END RTA:「電源投入」から計測を開始し、ラスボス撃破後の画面に「FIN」が表示されて暗くなるまで。
ガルアーノRTA(Defeat Gallarno):「はじめから」選択から、ガルアーノ撃破後のシュウの台詞「終わったな」表示まで。
ただし例外もあるため、念のため、観戦前にチェックするのがおすすめです。クリア条件をきっちり把握しているかどうかで、計測終了の瞬間のドキドキ感が別物になるかもしれません…!
3.目標となるクリア予定タイム(EST)は?
クリアしたことがある方ならご存知の通り、アーク2はシナリオクリアに時間がかかるゲームです。スタートからクリアまで普通ならそれなりに時間と手数がかかり「通常は本編のみだけでも60時間以上、サブイベントもやりこめば100時間以上が必要」ともいわれています。ラスボスを倒すだけでも数時間は当たり前、という声も珍しくありません。
それをRTAでは、想像できないほど膨大な計算と練習を重ねに重ね最適化することで、常人離れした短時間クリアを実現します。例えば『RTA in Japan Summer 2024』では、アーク2のクリアタイムが「8時間53分1秒」でした。
――果たして走者は、このタイムをどうやって実現するのか!
この過程を楽しむのは、RTA視聴の醍醐味ともなるでしょう。
事前に目安として
・目標となるクリア予定タイム(EST)
・これまでの同タイトル同カテゴリRTAでの記録
などを知っておくと、より深く楽しみやすくなります。
アークザラッドのRTAアーカイブ
ここでは、アークザラッドシリーズのRTAアーカイブをピックアップしてご紹介します。
アークザラッドII(RTA in Japan Summer 2024)
国内最大級のRTAイベント『RTA in Japan(以下、RiJ)』で開催されたオフラインイベント。同時に行われたリアルタイム配信の動画を、アーカイブとして閲覧可能となっています。とにかく解説がわかりやすいため、RTA初心者にもおすすめのアーカイブです!
■Twitch版
RiJ公式がオフラインイベント開催と同時に行ったリアルタイム配信を、アーカイブとして残した公式動画です。配信当時のコメントも確認可能。
■YouTube版
Twitchで行われた配信を、RiJ公式がそのままYouTube公式チャンネルに載せたものです。配信当時のコメントは確認できません。
走者のコアラピュールさんは、アーク2を「目隠しプレイ/音だけクリア」「封印縛り」「最小ターン攻略」など様々な縛りプレイの様子を配信してきた猛者(もしくは “リーザとサニアの人”)としても有名ですね。
解説を担当するyagamuuさんも、アークザラッドシリーズのRTAに長年挑戦してきた現役プレイヤーのお1人となります。ご自身の経験と作品愛に裏打ちされたトークは必見。急遽解説に参加したアジーンさんとの掛け合いも素晴らしく、約9時間の長丁場にも関わらず飽きることなく楽しめました。
■Xの切り抜き版
Twitchで行われた配信の見所を、RiJ公式がリアルタイムで切り抜いて紹介したものです。まず雰囲気を楽しみたい方向け。
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