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Noveljam詩集 2018秋
詩を書きたいというひそかなモチベーション。
あまりにも強烈だったNoveljam体験を起点として、不勉強ながらも創作や編集についてずっと語っていたいジャムロス症候群。
長々と書き連ねるのなら、いっそ練習がてら詩にしてしまえという謎企画です。ご存知すぎる通りすでに2019年ですが、2018年のイベントですので気にしたら負けです。
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五感にコンパイルされたとたん、転がり出す文字列
音に変わり、気流に乗り、いたずらに燥ぎたてる
調律がはじまり、注がれては流れていったのを見た
とめ、はね、はらいが鎌鼬となって背筋をくすぐる
標本しか見たことがなかったものが今、ありありと顕現している
そのなかへ両手をいっぱいに差し込み、何度も舞い上げた
初速
軋んでいたって何も気にしなかったあの日
砕け散ってしまえば、眼前の青空にでかい顔できると思った
1: 急ごしらえの投石台.month === 鉄の砲台.year
2: false
3: // 強制的に実行しますか?
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ダイアローグに「42727583」そう告げて叩き割った
ようし、縄をぴんと張れ!
白鯨を回顧する
錨が下ろされている
訊いてみれば時間の行方はどこかという禅問答
モービーを探して幽霊船にはならないように、と
泥をすすってみれば大地の味がする、と
カンテラがラム酒に引火して我に帰る
錨を上げろ、日が昇る前に
浅草橋
タンポポ色にそぐわない、仄暗く呼気の満たされた鉄塊
コンクリートブロックを押し上げて、それは踊りはじめた
詰め込みきれなかった情念が明かされるダンスフロア
どうにも今日は味覚がおかしい気がするけど、そんな事さえ浅草橋
デッドロックしていた脳がもういちどリズムを刻みはじめる
ハイボールの働きはこんなにも朝焼けを美しく見せる
寒空の帰り道さえ、見たことがないような建物が目につく
それはきっと、なにか精算が済んだからだろう
チェッカーフラグ
極大値を知らない往路にて、家について考える
「ここが最後のピットインになる」
残量表示を故意的に切る瞬間、まだ見ぬものが横切っていく
そこには如雨露ではなくスコップが落ちていた
「ここまでをここからに線引いていくんだ」
たとえ膝を折っていたってそれは悠然と開けていて、
うつろいながら再戦を待っていてくれる
<住>Merged</宅>
譲り合いの真逆
大容量の立方が、陸を掴んでどんちゃん騒いでる
ベン図の合流点で、さすがの飼い主もさじを投げていい
「いちばん物音が大きいのはどのお隣さま?」その質問を踏み潰す
無機物のパレードの果て、屏風じみた縮図でお片付けしよう
随 時 更 新