イースター島で流れる時間の中で
2018年4月3日 16:30 成田空港を出発した飛行機が12時間かけてアメリカ・ヒューストンに着き7時間のトランジット。それからまた11時間かけて
チリ・サンティアゴにある空港に着いたのは4日の朝9時過ぎだった。
30時間の長期フライトを経てそのままイースター島に向かうとすると6時間
二日がかりの大変な移動になる。乗り換えの関係も含めるとさらに寝る時間に悩んでしまうと思う。 自分の場合は幸いにも仕事で二年間はチリに赴任
する予定だったので後日、改めて行く機会があり睡眠時間も体力も余裕のある行動に恵まれた。実際に訪れたのは2019年8月17日から四日間。
せっかく南米に来たのだから二年間は日本に帰らない。色々な場所に行ってみようと決意した後にありがちな選択肢の中にあったのはモアイ像の居るイースター島・ラパ・ヌイだった。
オロンゴ儀式村。 島の西南に位置して南海の孤島である事を実感できる。
毎年8~9月の春の訪れとともに飛来する海鳥の最初の卵を持ってくる宗教的な鳥人儀礼が行われていた。碧い空に負けないくらい紺碧な海が広がる。
Rano Raraku ラノ・ララク
アフ・ナウナウのモアイ。 プカオという帽子を被っている。
カジキマグロを使った料理が有名。
カジキマグロのグリル・海老のソース
カジキマグロと魚介類のカレー (エンパナーダなども)
穏やかに流れる時間の中で様々な風景を目にし、風を感じていた。
生きるために働くのか、働くために生きるのか。
料理人として生きて行くために働くことは自分にとっては幸せな事だと思う。美味しい食べ物を食べると人は自然に笑顔になる。
目の前の笑顔のために出来ることは何でもしようと心がけてきた。
そうした小さな事の積み重ねの先に今の自分ができていると思う。
たまたま起こった時代の流れによって和食の魅力を感じたい人たちが世界中に広がっていった。その流れを追うように様々な国で仕事が出来たのはまた幸運だったと思う。今まで苦労してきた分、和食の技術を生かせてやろう。
そういう気概で始めた環境の違う中での挑戦も気が付いた時には和食の技術に生かされているのだと思わされた。どんな食材も受け入れてくれる懐の深さに助けられる時が多くあった。食べる相手を思いやる気持ちからくる繊細な表現など国境を越えた感動を感じてくれるゲストもまた沢山いると気づかされた。もっと沢山の人たちに感動を届けていきたい。
そして今はコロナ禍にあって目に見えない感染症によって多くの国の沢山の人たちが悲しい気持ちにみまわれてしまった。一日でも早く終息するように心から願っている。小さなことしかできないけれどせめて目の前の笑顔のために出来ることから始めていきたい。