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優しくありたい


先日、職場の研修会で講師をした。


ネットから引っ張ってきたさもさも正しいことしか書かれていない資料で、最もなことを喋ったとて、所詮、誰の心も動かさない。


最近は時間外の研修に、自己研鑽という名前で超過勤務手当を出さない我が法人が、珍しく手当を出すと言ったので、お金をもらうからには本気を出すことにした。


準備した資料はさらっと説明して、こう言った。


今、教科書みたいなこといいましたけど、私、教科書みたいな立派な人間じゃないんで、私が今まで働いてきて思うことを言いますね。と。


必ず持ち時間内に終わらせますから、も少し聞いてください。あと、8分あるんで5分だけ。と伝えた。


ちなみに、私はケアマネージャーで、うちの法人は社会福祉法人で、特別養護老人ホームとデイサービスと、ヘルパーステーションと居宅介護支援をしている。


zoom研修で、パソコンの向こうには各施設で働くスタッフがいた。


認知症だから、病気だからと知識はあっても
辻褄の合わない話の繰り返しや、介護抵抗という名前のつねる、叩く等の暴力を振るわれる日常が続くと、私はかなり心もからだも疲れていました。


疲れると、ご利用者に対してぶっきらぼうになったり不機嫌に振る舞うことに抵抗がなくなりました。


こんな目にあっているんだから、失礼な態度も致し方ないって思うようになり、お年寄りを雑に扱うことに躊躇しない時期もありました。


ただそれは、お年寄りを傷つけているようで、実は自分自身を傷つけていることでした。


それを乗り越えるには、まずはその人を知ることが大切です。病気で一括りにしてわかった気になるのではなく、どうしてこの人はそうふるまうのか?を考えることでした。


そして、自分の気づきを周囲の仲間に話し、どうしたらよいかアイデアを出し合うのです。


こうすると、困った人、嫌な人と思っていた頃とは異なる見え方を自分がしていることに気づきます。


介護現場の報告、連絡、相談とはそういうことです。


相対する人への向き合い方が前向きになると、なんだか元気がでます。


人を否定したり、卑下していた時には感じないエネルギーが湧くのです。


介護する側が元気になると、必ずや接遇の質も向上する方に転じます。


私が、まだ働き初めの頃、先輩から言われたことがあります。


わからないことは何回でも聞いてね。何回でも教えるからね。


という言葉です。職員同士で余計な気を遣い、ご利用者に迷惑をかけることがあってはいけないよ。というメッセージです。


私達は、お年寄りのために仕事をしているんだからね。という先輩からの教えを、私はお守りにして仕事を続けてきました。


後輩にも同じ言葉をかけてきたつもりです。


現場は毎日大変で、一つも思い通りにはならないでしょう。それでも、必ず皆さんの頑張りに救われて助けられている、ご利用者やご家族がいます。いつも本当にありがとうございます。


厳しい現場であるからこそ、みなさんも、誰かのお守りになるような言葉のやり取りをしてもらえたら嬉しいです。


と話しました。


私は、いっぱい人を傷つけて、間違えました。

それはもう取り返しがつかない。


ただ未来に少しでも、嘘じゃないものを残したいと思っています。


みんな優しくありたいと思っています。


疲れて傷付いたらそれは難しいことのように思えます。


それでも、優しくあれた自分の方が胸を張れるんですよね。


人を傷つけることは、自分を傷つけること。


だから、人に優しくあることは、自分に優しくあることだと思っています。


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