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それでも捨てられないものは

テレ東金曜深夜ドラマ『捨ててよ、安達さん。』が良すぎる。安達祐実扮する安達さんが、毎号一つ私物を捨てるという連載企画を持ちかけられたことがきっかけで「捨てられないもの」が登場し捨ててほしいとお願いされる夢を見るようになる。安達祐実、謎の子供(川上凛子)、擬人化された捨てられないもののやりとりが小さい舞台みたいでおもしろいし、何より一話完結のストーリーの中でチョイスされている捨てられないもののチョイスが絶妙なのだ。代表作のDVD、親戚のおばさんの手作り時計、元夫の婚約指輪(!)‥誰からも好かれたい気持ちというのもあった(これは結局捨てなかった)。捨てようと思いつつ簡単には捨てられないものが、私たちの思い描いてきた安達祐実像に重ねられて描かれているので、2重にリアルな構成になっている。あと日常っぽい安達祐実がかわいすぎるのでずっと見ていたいです。音楽も超いい。

私の夢には何が出てくるだろうか。外出自粛の連休でけっこうものを捨てたので、今はあまりないかもしれない。一方で夫は登場人物が多すぎて永遠にドラマが終わらないと思われる。夫は捨てられないタイプなのだ。

かといって、ものにこだわるタイプではない。家にあるものはほとんど私が選んでいるしそれに文句を言われたこともない。捨てられないだけだ。大学で一人暮らしを始めたときからのものを貯めており、一緒に住むようになってから厳選したとはいえそれらを詰め込んだ思い出ボックスは無印の一番でかいコンテナ2つ分あり、クローゼットのなかで存在感を放っている。加えてその中に入っていないたくさんの本がある。ものが多い家である。

捨てられない夫エピソードでいくつか思い出す話がある。夫がとりわけこだわらないのは服だ。たまに私が選ぶこともあるが、とにかく引き出しの中で上にあるものを着る。一度、ちょっとこれはさすがに‥と思う捨てるのオススメダサ服をベッドの上に出して山積みにしておいたら、帰宅した夫がさっそくその山の上にあったズボンを履いたので爆笑してしまった。別の機会で確かその服は捨てた。ものは捨てても思い出は残っている。

「ときめかないものを捨てればいいらしいよ」「でもほとんどのものにときめくんだよな‥」と一蹴されたこともある。今日の私のときめきは夫がおやつに買ってきてくれたカップ油そばである。ときめきを半分こして食べた。マヨネーズ好きにはたまらないジャンクな味でおいしかった。

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