東京新聞の精神科病院協会・山崎学会長インタビュー記事について
話題になっています
山崎会長の傲慢な発言内容や、そういう発言をさせるようにした東京新聞記者のインタビューの仕方に問題があるのではないかなど、場外乱闘の様相も呈していますが、順を追って私なりの感想をのべてみたいと思います
太字が山崎会長の発言です
「精神科病院より一般医療での拘束の方がはるかに多い。知らない? 厚労省の班研究で施設内拘束って6万件あるんだぜ。そっちの拘束をなんで騒がないの?」
→一般科の拘束が多いことは問題、だからと言って精神科の拘束が行われることについて肯定されるわけではないですね
(拘束をして)心は痛まないのか。
「はあ? 治療の一環で拘束しているわけで、それを全然現場を知らないきみが土足で入ってきて、心痛みませんかって何なの? 失礼だよ」
取材で心を痛める精神科医に多く出会ってきた。
「ぼくはそんなふうには考えない。適切に法律で決まっている。患者さんの安全を考えて拘束して、なぜ心が痛むの? しないことで、もっと変な結果が出る方がおっかないじゃないか」
当事者は拘束しないでほしいと強く望んでいる。
「できないね。拘束して治療のプログラムに乗せるのが今の法律上の建前だ」
→止むを得ない拘束があるということは同意、しかしやむを得ない・必要悪なんだという意味で心を痛めると言うことはあってもいいと思う
拘束より良い選択肢があればそちらで対応するのだから
じゃあ日本も今後は病院ではなく、地域で見守る態勢に本腰を入れるべきだ。
「地域で見守る? 誰が見てんの? あんた、できんの? きれいごと言って、結局全部他人事なんだよ」
→こういう発言をみると、山崎会長が精神科病院に患者を入院させ続けることを肯定しているように聞こえるかもしれないが、山崎会長が院長をつとめるサンピエール病院をみていただきたい
精神科デイケア、グループホーム、相談支援センター、地域活動支援センター、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、特養、地域包括支援センターと、様々な社会資源が併設されている
もし病院に患者を入院させ続けたいと考えるのであれば、このような社会資源は作らないだろう
患者虐待で事件になった滝山病院などは、一切自前の社会資源は持っていない
社会構造も変えないと。
「変わんねえよ! 医者になって60年、社会は何も変わんねえんだよ。みんな精神障害者に偏見もって、しょせんキチガイだって思ってんだよ、内心は」
→60年たらずでは変わらない、悲田院・施薬院時代からマイノリティは排除されるので保護しなければならない存在としてみなされてきた
偏見をなくすことも困難
でも、なくすにはどうしたらいいかを考え続けないといけない
精神科病院に入院し続けることは幸せなのか。
「そう思うよ、ぼくは。地域で、アパートで一人暮らししながら、明日のことも分からず生活するのと、病院の4人部屋で皆でご飯食べるのと、どっちがいいかって言ったら、ぼくは病院を選択するよ」
30年入院してても?
「出してどうすんの? 地域でマンツーマンで診れるならいいが財源も人もいない。支えているのはいつもボランティアじゃねえか」
→デイケアやグループホームを運営していながら、どうしてこういった発言が出てくるのかわからない
現代の障害福祉サービスを利用することで、「アパートで一人暮らししながら、明日の事もわからず生活する」ということにはなかなかなりえない
全て拒否してこういう生活を望む人もいるが、デイケアや就労を目指すためのリワークデイケア(サンピエール病院でもやっているではないか)、就労支援施設などもあるし、皆でご飯を食べる機会もデイケアであるだろう、夕食を提供しているグループホームもあるし、ナイトケアをやっている精神科クリニックであれば夕食も出る。マンツーマンで見なくてはいけない人であっても、重度訪問介護を利用したりなどすることで、単身生活をおこることもできる。
映画『道草』という映画は、これほど障害が重くても、在宅生活を送ることができるんだと、自分自身の考えを改めるきっけをいただいた映画ですので、ご参照有れ。
滝山病院(東京都)事件など虐待は起き続けている。再発防止策は。 「滝山への入院は全部他院からの紹介だ。透析患者や難しい案件の患者をなぜ公立病院がやらないんだ。それを言えよ」
→精神障害や知的障害があって透析が必要な患者を、滝山病院が受け入れてきた経過がある。公立病院でなくとも、透析患者を受け入れ可能な精神科病院が他にもなかったことは山崎会長が言うように問題である。滝山病院でなくてもいいような患者を、役所の生活保護のケースワーカーや周辺の精神科病院が、受けてくれるからと安易に転院させてきたことも問題である。
池原弁護士の発言で「一般医療は治療の同意が取れた患者がほとんどだが、精神は半数が強制入院で、本人の同意が全く取れていないまま拘束されるからだ」と違いを指摘する。
とありますが、一般科でも本人が同意して拘束するなんてことはないのでは・・一般科でも認知症の患者さんなどが、点滴を抜去するからミトンをつけたり、ベッド上安静の指示に従えない場合に拘束しているのでは・・
山崎会長側も記者側も発言内容が切り貼りされているので、どうしてこのような発言になったのかが、わかりにくいところがある
山崎会長がこれまで日精協での発言なども今後見ていきたい