精神科病院で虐待が起きる構造
東京八王子にある精神科病院・滝山病院で、職員による虐待が報じられました
滝山病院の前には、兵庫県の神出病院、静岡県のふれいあい南伊豆ホスピタルやふれあい沼津ホスピタル、少し前には千葉県の石郷岡病院で、病院スタッフによる患者への暴力・虐待が報じられています
https://toyokeizai.net/articles/-/422240
https://www.at-s.com/news/shittoko/1171859.html
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/263339
これらの精神科病院に共通することは、その都道府県内でも郊外にある療養病院であるということです
郊外の精神科は、短期的に退院が難しいと判断されたような方が、入院されることが多い傾向にあると思われます
短期的に退院が難しいということは、様々な事情で困難を抱えているということですが、主には病状が安定しないということがあるのではないでしょうか。病状が安定しなければ、退院してもすぐに、例えば自傷・他害、退院しても退院先で様々な問題が起きてしまう、などの理由で再入院してしまう可能性が高いと判断されての事でしょう。
また、精神科の病院は、精神科特例といって、一般科よりも少ない職員配置が認められています。
病状が安定しない方を、少ないスタッフで長期的に見ていくということが、職員と患者の間に上下関係を作り出し、虐待につながるのだと思われます。
療養病棟は、救急急性期病棟と比べて、診療報酬も安いです。ということは病院全体の収入も少ないので、人件費も抑えることになる。
滝山病院では、ほとんどの看護師が非常勤だそうです
滝山病院に、志をもって勤めている方もいるかもしれませんが、最寄り駅からもアクセスのよくない精神科病院に、非常勤でわざわざ勤める人材について・・思うところについては、あえて言及しません
また虐待をするような病院に、入院を依頼してしまうのは誰なのでしょうか?
それは都心の精神科病院や、生活保護の福祉事務所が多いのでしょう。
都心の精神科病院は、救急急性期病棟をもっている病院が多く、そういった病棟では診療報酬上長期入院ができないので、入院が長引きそうな方々は郊外の病院に移っていただくことがあります。
整形外科や脳外科などであれば、手術をした後に、リハビリのために回復期リハビリテーション病院に患者さんが移るという事があるでしょう。
精神科の場合も、急性期を脱した後に、療養病院に移るという風に聞けば、整形外科や脳外科と同じではないかと思われるかもしれませんが、精神科の療養病院は回復期リハビリテーション病院のように期限がありません。
また、福祉事務所は、生活保護の担当CWの受け持ちが、あまりにも多すぎるため、地域で困難を抱えている方に時間をかけてケースワークをすることが、難しいと言う現状があります。その結果、滝山病院のような精神科に担当者を入院させて、問題解決とする安易な方法をとってしまうのではないでしょうか。
都心の精神科や生活保護のCWだけの問題ではなく、本人が住まう地域で支えていけるような体制になっていないということが問題でしょう。
滝山病院のような入院中の患者に虐待する病院はもちろん酷いですが、この国の精神科医療における問題が、最終的に滝山病院などで噴出しているということでしょう。
自戒をこめて、こういった構造を保ち続けることに加担しないようにしていきたいです