精神保健福祉士のお仕事⑦入院者訪問支援事業
入院者訪問支援事業は令和6年度から始まった事業です。
市区町村同意で精神科病院に医療保護入院になった患者さんについて(お仕事④、お仕事⑤参照)、研修を受けた訪問支援員が、その患者さんに面会にきて、意向を確認するというものです。
このような制度ができた背景には、市区町村同意で精神科病院に医療保護入院になった患者さんには、家族や後見人がいないので、自身の意向を精神科病院側がまったく聞いてくれなければ、いたずらに入院が長期間継続されてしまうということになります。退院請求(その⑩で書きます)などをできる力があればよいですが、それもできないような場合には、意向はないがしろにされてしまいます。市区町村同意を認めた自治体も、その後どうなっているかまで追跡しているところは、これまでほとんどないのではないでしょうか?(一部自治体で、相談支援事業所と一緒に聴取をしに来ているところはあるようですが)
始まったばかりの制度で、研修も継続して行われているため、入院者訪問支援事業の実態はまだよくわかりません。おそらく、自治体の職員(保健所や障害福祉課)と研修をうけた相談支援事業所等の支援員が訪問することになるのではないでしょうか?
入院者訪問支援事業の連絡や、面談日程の調整をするのが、退院後生活環境相談員に選任された精神保健福祉士が担うことが多いと思います。
入院者訪問支援事業ができたことで、本人の意向を聞いてくれるだけでなく、地域移行していくための退院支援に、地域の専門職が関わってくれるというだけでも、精神科病院の精神保健福祉士は業務を分担できるのでよいことではないでしょうか?精神科病院の精神保健福祉士が力ある担当者であれば地域移行の何から何までできてしまうこともあるかもしれませんが、担当者が若手だったりマンパワー不足で対応しきれなかったりする場合に、地域の支援者が関わってくれることは心強いと思われます。