滝山病院の問題で、市職員が告訴されたことについて

八王子市の精神科・滝山病院で、職員が患者に対して暴行を働いていた事件などのなかで、患者が不法に入院させられていたとして、滝山病院や入院に許可を出した所沢市の職員が刑事告訴されました

精神科病院に医療保護入院という強制入院が必要とされた患者がいる場合、家族等の同意があれば、本人の同意なく入院とすることができます
家族等がいない(音信不通、重度認知症などで同意できる状態にない)場合には、患者の住所を管轄する市区町村長が同意者となり医療保護入院とすることができます
市区町村長が同意者となると言っても、市区町村長自身がケースを吟味して入院について判断するということはなく、窓口となる部署が(障害福祉課や保健所、福祉事務所などが窓口になっていることが多い)判断するということになります
市区町村長同意の判断を出す前に、窓口となる部署は、戸籍謄本や住民票などを調べて、家族が本当にいないのか、連絡がとれないのかなどを調べることがあるかと思いますが、それも窓口でまちまちな印象です
今回所沢市がどのように家族等がいないと判断したのかわかりません
ここから先は、全くの憶測で間違っているかもしれませんが、
普段からある程度連絡が取れて、関わりのあるような家族がいるにも関わらず、所沢市が市長同意の判断を出すと言うことは考えにくい
考えられるのは、
①患者本人は入院して治療が必要と判断されるような状態だったが、家族が精神科入院の同意を拒否していたので、音信不通として市長同意の許可を出した
②患者本人は入院して治療が必要と判断されるような状態だったが、家族が疎遠もしくはなかなか連絡が取れない事情があったため、音信不通として知長同意の許可を出した
(入院が必要と判断された日に、連絡がとれないという理由のみであれば、応急入院という入院形態とすることができるのに、そうしなかった)
③患者本人が入院して治療が必要だったかどうかは判断がわかれるところだが、市長同意の担当部署など行政側が何かしらの理由で精神科に本人を入院をさせたいと思った
などでしょうか・・
真相が究明されることを待ちたいと思います

今回担当部署職員が刑事告訴されたことは、この事件だけでなく、精神保健福祉法の法改正にも関わることになります
精神科の入院制度を定める精神保健福祉法改正によって、2023年4月から「家族等が同意・不同意の意思表示を行わない場合にも、市町村⾧の同意により医療保護入院を行うことを可能とする」とされました

https://www.mhlw.go.jp/content/001000995.pdf

(例)20年以上親交のない遠方の家族等:本人の利益を勘案して同意・不同意をすることが困難
とありますが、ここの解釈が難しいですね
親交がなかったとしても、実は心配して連絡をとりたいと思っていたが、本人から拒否をされていたなどの場合どうなるのか?
今回の法改正で、精神科病院に入院させやすくなるのではないかと批判をしていた人たちもいましたが、所沢市の刑事告訴をうけて、家族関係の把握や同意・不同意の確認は、これまで以上に厳正に行われることになり、市区町村同意の判断も出にくくなることも予測されます