敬称略でお届けします。 「きみの書いてるのはラノベじゃないよ」 私のことをそう喝破したのは、水野良。 ラノベの始祖からそう告げられた瞬間、「痛いところを突かれた……」と思った。 吸血鬼の始祖から「いやお前は俺の血族じゃねーし」みたいに言われるようなもので、否定などできるわけがない。 デビュー作を除けば、私の作品は「特定の題材を取材し、それをキャラクター文芸に翻訳したもの」ということになる。 帆船、農業高校、将棋……題材はどれもニッチだ。 敢えてそういうも
テレビ愛知が見たかった。 子供の頃。中日新聞のテレビ欄には、中京テレビと岐阜放送に挟まれた場所に『テレビ愛知』の欄があった。 それはガラスケースの中に収められたピカピカのトランペットのように、多治見の少年達の憧れだった。 夕方や夜に放送される、新作アニメの数々。タイトルだけでも面白さが伝わってくるそんなアニメが見たかった。 しかし、山に囲まれた多治見はテレビ愛知が映らなかった。何ならラジオもほとんど入らなかった。岐阜放送は映ったけど、やってるアニメは遙か昔の再放
NumberWebで公開された記事の補足になります。 できれば先にそちらをご覧ください。 あらきっぺさんを初めて生で「見た」(会った、とは言いがたい)のは、2019年6月29日。 第13回朝日杯一次予選、通称「プロアマ一斉対局」でのこと。 対局の棋譜はこちら。 (http://live.shogi.or.jp/asahi/kifu/13/asahi201906290701.html) その日、関西将棋会館の前は異様な雰囲気に包まれていた。 大阪でサミッ