Twitterの投稿がありのまま見えているとはかぎらない〜「ゼイリブ」に学ぶメディアリテラシー(みたいなもの)
「ゼイリブ」(ジョン・カーペンター監督)ってB級カルトホラー映画、見たことありますか? 終わってみると主人公が延々と殴り合いするシーンしか思い出せないのですが(笑)、アイデアはおもしろい
特殊な黒メガネをかけると、何気ない街の広告が一変する 「従え」「結婚して子どもを産め」「おとなしくしていろ」「買え」「権威に疑問を抱くな」・・・広告だけではない 人間以外のものが人間に交じって生きているのが分かる しかもそれらの「人間モドキ」は社会を動かすエスタブリッシュメントや政治家で・・・
まるで手塚治虫「グランドール」を再アレンジして映画化したような作品である(手塚治虫のほうは支配者側ではなく攪乱する側にエイリアン=人間モドキが入り込んでいるという設定の違いはある)。
ところで 昨夕からTwitterで #安倍はやめろ ハッシュタグを使ったバーチャルデモのような動きが起こっている Twitterでは、ツイート数の多いハッシュタグが「トレンド」にランキング表示されるので、ちょっと気になって見ていた
昨夕(5月2日夜)はおよそ52万件のツイート。
5月3日正午すぎに55.6万ツイート、1時間後に57.1万ツイートになっていた。
この時点で、#安倍はやめろ ハッシュタグが、おすすめトレンドから消えたり見えたりしているのに気がついた。
午後2時頃には #安倍はやめろ はトレンドに表示されなくなった。「女子ウケしない車を晒せ」など、無難なハッシュタグが並んでいる。
トレンド表示のカスタマイズチェックを外してみたりした(いままであまり見なかったのでカスタマイズするにチェックが入っていた)が、やはり上位トレンドに上がってこない それっきり現在まで消えてしまった。あくまでも自分の観測範囲からであるが、こういう現象をきちんと見たのは初めてだった。
こんなふうに、あるトレンドが表示されたりされなかったりするのはどういうメカニズムなのだろうか?
トレンドはいままで全くチェックしてなかったのだけど、ツイート数だけで順位が決まっているわけではないようだし、あんまりランキングとして信頼できる感じではなさそうだ
トレンドに表示されている間のツイート数は、#安倍はやめろ タグがランクに上がっているのが見えた昨夕から、さきほどまで少しずつ増えていたことから、それなりに現状を反映していたようにみえる
Twitterのほうで、トレンドのランキング表示を調節したり、さらに言えば検索可能な発言なども適宜調節できるという可能性は否定できない(シャドウバン等)。 私企業として利益相反について不明瞭、つまり、スポンサーなどに忖度したコンテンツや検索結果を表示する可能性が否定されていないということになる じっさいにTwitter Japanと日本青年会議所のタイアップがあることは既に公表されている 「そういうものだ」と思って使うしかないだろう
しかし、もしそうだとすれば、Twitterを使った世論調査や定量的調査などは、第三者的にはかなり難しいということになりかねない (実際に調査している人はおそらく既に承知しており、もう少し詳しいプロフィールを持っているかもしれないが)
さらに 昨夕知人に紹介してもらったツイート
AIによってエラ・フィッツジェラルドなど古い録音を学習させ、実際には存在しないような「ヴィンテージ音源もどき」を生成させることができるという話題
紹介者も指摘しているが、これは Deep Learning ならぬ Deepfake になるのではないか、モラルの問題につながるのではないかという懸念がある。じっさいに、昨年放映されたというAI美空ひばりについて「冒瀆である」と評したミュージシャンもいたが、それに類する問題
こういった問題はあるが、じっさいに(軍事技術や情報戦、世論形成プロパガンダなどの)ホンネ部分ではおそらく無視される部分があるのではないか AI技術は新しいものを作るというよりも、たぶんそうやって現実らしい虚構をフェイクするために使われてゆく可能性があるだろう
自分が思い出すのはスタニスワフ・レム原作の映画「コングレス未来学会議」で自分のスキャンデータを売るくだり そしてしばらくぶりに戻ってきた主人公、バーチャルな世界の仮面がはがれると実際は難民だらけの貧困が現れるのだった
あるいは
もはや「ゼイリブ」の主人公たちのように、殴り合ってお互いの存在を確かめるしかないのかもしれない・・・(笑