旅日記【加計呂麻島②】
島に来て2日目。
何もすることがないので朝から海に行き、ビールを飲み、浅瀬に浸り、その繰り返しをしていた。
色々な事を考える。
仕事、人間関係、恋愛、将来。
でも考えても答えが出ない。
だが一つの自分なりの最善の答えは出る。
ベッドの中で考え事をする時は「他人からどう見られるか」を考えがちになるが、
空と海と山に囲まれた時の思考は驚くほどシンプルになる。
「自分はどうしたいか。どうありたいか。」
それだけでは駄目なのだが、それが一番大切なんだと思った。
そして昼になった。
近くの公民館のような所にカフェがあり、タコライスを食べた。
思っていた以上に美味しかった。
そのカフェには女の子の学生が4人居た。
中学生か高校生かはわからないがバスケ部らしき女の子と可愛らしい服装をした3人だった。
公民館を出るとそのバスケ部の女の子が男の子と言い合いをしていた。
どこの場所でも思春期は同じなんだな、と感慨深くなった。
ただ海が見えている場所で波音をBGMにしながらそんな話をしているのが羨ましくも思えた。
昼からは昨日居酒屋で出会った方たちとと草刈りを手伝った。
2時に家に迎えに来てもらいクラクションで合図をもらうのも新鮮で楽しくなった。
草刈りの現場に行く手段で初めて軽トラの後ろに乗った。
スタンドバイミーの映画のような感覚だった。
草刈りの現場に着くと、草に皮膚が負けてはいけないと言うので長靴、長ズボン、長袖、手袋を貸してくれた。
草を刈り、雑草をかき集め、休憩して、おしゃべりする。
その繰り返しだったが、昼から酒を飲んでいたからかサウナで限界まで耐えている時のような感じになった。
お茶を飲んでも日陰で過ごしても水風呂の効果はない。
途中フラフラになりかけたタイミングで皆んなで休憩を取ることになった。
そこで靴も全部脱ぎ一旦は熱中症ぎみの症状を抑えることができた。
その後はフラフラになることはなく、 太陽の下の肉体労働は久々に気持ちが良かった。
一緒に草刈りをした地元のお2人はとても優しかった。
夜は地元のドンと呼ばれている方の家で宴会をした。
そこに昼間のお二人と昨日居酒屋で知り合った爺ちゃんも来て酒を飲んだ。
「ワシらは昼間テケテケ(適当)に働いて夜はこうやって皆んなで酒を飲めたらええ」 カッコよかった。
人間が恐らくしてきたであろう昔からの楽しみを今体現している。
他にも色々な話を聞いた。
台風になると全く食料が届かなくなる事。
1日2日の断水ならなんとかなる事。
テレビを見るのにもにも金がかかる事。
島の財政は赤字続きだと言う事。
島であればお金などあまり要らない事。
島の小1〜中3の子供達は15名程だと言う事。
みんな高校や大学になれば島を出ていく事。
福岡や東京より大阪に出る人が多い事。
でも戻ってくる人が多い事。
病気をすることはほとんど無くて、あるとすれば酒が原因だという事。
ハブ酒は不味くてあれは観光客用だと言う事。
島で気をつけなければいけない事はハブと女性だと言う事。
それらを笑って話していた。
たくましかった。
帰りも軽トラの後ろに乗せてもらい、夜空を見上げながら田んぼ道を走った。
せっかくなので有名な星を探そうと思ったが、 星が見え過ぎてどれが有名な星座なのかわからなかった。