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【観戦記事】 旧枠モダン決勝戦:三枝 大祐(コミかる堂太田店) vs. 堤 雅貴(コミかる堂高崎店)
By Yohei Tomizawa
「旧枠モダン」
初めてこの単語を聞いた時はなんとなく、昔のエクステンデットのようなものかと漠然と考えていた。押し入れに眠っている大量のお宝を発掘する権利を持つものにのみに許された遊び。はいはい、また古参に媚びを売り喜びそうなフォーマットだと思っていた。
しかし、予想に反するようなスペルの応酬を目の当たりにし、このフォーマットの緻密さと奥深さを知ることとなる。予選ラウンドで飛び交うドロースペルは懐かしの《天才のひらめき/Stroke of Genius》でも《嘘か真か/Fact or Fiction》でもなかった。
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も、《目録/Catalog》?
「旧枠モダン」とは初出が旧枠(7版以前)で収録されていて、且つモダンリーガルのカードのみが使用となる環境。《流刑への道/Path to Exile》もなければ、《思考囲い/Thoughtseize》もない。カウンターの主役は《対抗呪文/Counterspell》でも《意志の力/Force of Will》でもない。
決勝戦で戦うのは「ゴブリン」を使用する三枝 大祐と「青白コントロール」の堤 雅貴。《ゴブリンの従僕/Goblin Lackey》と《剣を鍬に/Swords to Plowshares》から始まるスピードゲームではない。かといって《ゴブリンの首謀者/Goblin Ringleader》と《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》によるリソースゲームでもない。
未知のフォーマットによる期待と緊張とが同居し、決勝戦の幕は開く。
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:ゲーム1
ダブルマリガンとなった堤へ、三枝のゴブリン軍団が襲い掛かる!開幕ターンに《モグの狂信者/Mogg Fanatic》が現れると、マナカーブ通りに《モグの下働き/Mogg Flunkies》に《ゴブリンの王/Goblin King》と連続してキャストする。
それを紙一重で堤はさばく。《モグの下働き/Mogg Flunkies》は《霊魂放逐/Remove Soul》、《ゴブリンの王/Goblin King》には《今わの際/Last Breath》と2000年代初頭を思わせるカードの交換が繰り広げられる。
しかし三枝はこの程度では止まらない。《モグの歩哨/Mogg Sentry》に《モグの狂信者/Mogg Fanatic》を追加し、堤に迫る!気が付けばライフは14まで減っている。
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序盤こそ順調にさばいた堤だったが、ダブルマリガンの影響は色濃く、完全にマナスクリューしてしまう。《絆魂/Lifelink》で《モグの歩哨/Mogg Sentry》を止めるも、4マナ目が、遠い。《平地/Plains》を引き込みさえすれば、初手から握っている《神の怒り/Wrath of God》により盤面を一掃できるというのに!
やっと4マナ目を引き込み《霊感/Inspiration》をプレイするころには《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》によりライフは4まで落ち込んでいた。それでも《神の怒り/Wrath of God》さえ打てれば…しかしセットランドしたのは《近づきがたい監視塔/Forbidding Watchtower》。
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《神の怒り/Wrath of God》は、この上なく遠かった。
三枝 1-0 堤
:ゲーム2
十分な土地と過不足ない色マナ、序盤を凌ぐ《今わの際/Last Breath》とベストな初手をキープした堤。今回は三枝がマリガンする。キープしたものの、ゲーム1と打って変わって三枝のの出足は遅い。
《沿岸の塔/Coastal Tower》と《反射池/Reflecting Pool》で堤が強固なマナベースを組み上げる間、三枝がキャストしたのは《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》。ここは《今わの際/Last Breath》で即除去。再びスローダウンする。
《ゴブリンの王/Goblin King》こそ着地するも、その姿は裸の王様。支える家臣なくしては王は王足りえない。この隙に堤は《霊感/Inspiration》で手札を増やす。
《なだれ乗り/Avalanche Riders》と《霊魂放逐/Remove Soul》の交換を経て、アクションを起こしたのはコントロール側の堤。《サルタリーの僧侶/Soltari Priest》で無敵のクロックを用意すると《絆魂/Lifelink》によりダメージレースをコントロールする。その上で、三枝の攻撃を《近づきがたい監視塔/Forbidding Watchtower》により完全に遮断して見せる。
《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》を《吸収/Absorb》すると《堅牢な防衛隊/Staunch Defenders》で完全にダメージレースをひっくり返してみせたのだ!
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そして堤は《堅牢な防衛隊/Staunch Defenders》を守りの要とせず、《サルタリーの僧侶/Soltari Priest》とともに5点クロックを形成。ライフは18-13とリードする。
それでも三枝は《絆魂/Lifelink》を《帰化/Naturalize》で割ると、殴れないまでも《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》でプレッシャーをかける。
だが、いくらプレッシャーをかけようとも《堅牢な防衛隊/Staunch Defenders》を越えないことには三枝に勝利は訪れない。追加された《サルタリーの僧侶/Soltari Priest》によりクロックが倍化すると、《ブーメラン/Boomerang》で《堅牢な防衛隊/Staunch Defenders》を戻し再召喚。
いくらゴブリンと言えど、《ゴブリンの群衆追い/Goblin Piledriver》1体では11点を削りきることは叶わなかった。
三枝 1-1 堤
:ゲーム3
三枝は先手の利を活かし全力展開!《モグの下働き/Mogg Flunkies》2体に《ゴブリンの王/Goblin King》を連続で召喚する。
だが、対戦相手である堤も素晴らしい手札をキープしていた。《今わの際/Last Breath》や《吸収/Absorb》で《モグの下働き/Mogg Flunkies》に仕事をさせず、脅威全てを的確に対処してみせたのだ。
中盤以降まで二桁のライフを保ち、十分に横に並ぶと白きリセットスペル《神の怒り/Wrath of God》が詠唱される。
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圧倒的リソース差。そこへ《堅牢な防衛隊/Staunch Defenders》が加わっては、堤のライフは開始時と同じ20となる。三枝も諦めず《ゴブリンの戦長/Goblin Warchief》を召喚し、後続へバトンを渡す準備をする。
そんな中静かに《サルタリーの僧侶/Soltari Priest》がクロックを刻み出し、三枝は《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》、《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》と戦線を横へ広げるもタフネス4の壁を突破しきれない。《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》以外で無理矢理アタックし11まで減らすも、《絆魂/Lifelink》2枚がエンチャントされれば堤のライフは再び15に。
だが決して堤も楽なわけではない。ライフこそ余裕はあるが《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》を対処する《今わの際/Last Breath》はなく、ドロースペルが引けず手札に有効牌もない。手札に握る1枚の有効牌を如何に効果的場面で使えるかにかかっている。
その時は、意外と早く訪れた。
三枝は覚悟を決める。トークンをコストに《ゴブリンの手投げ弾/Goblin Grenade》を《堅牢な防衛隊/Staunch Defenders》へとキャストする。厄介なブロッカーを排除すればクロックは7点。2ターンで14点と《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》でプレイヤーへと投げつければ届かないわけではない。
堤「スタックで」
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手札へと戻る《堅牢な防衛隊/Staunch Defenders》。瞬間、プツリと緊張の糸が途切れる。これにより堤のライフは一時的に8点まで落ち込むも、《堅牢な防衛隊/Staunch Defenders》の再召喚と《サルタリーの僧侶/Soltari Priest》の絆魂により16まで回復する。
ドローすると三枝は迷わず《渋面の溶岩使い/Grim Lavamancer》以外全てのクリーチャーをレッドゾーンへと送りだす。《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》は《堅牢な防衛隊/Staunch Defenders》でブロックされ、脇を抜けるのは4体のクリーチャー。だが盤面のダメージソースではどうやっても16点のライフを削りきることは不可能だ。手札に何かあれば、あるいは…。
三枝は投了の代わりと手札の《山/Mountain》を見せるのだった。
三枝 1-2 堤
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堤 雅貴、『GUNMA CHAMPION SHIPS 2019 winter』旧枠モダン優勝おめでとう!