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学生時代に友人から宗教に勧誘された時の話


高校1年生だか2年生だかの頃。
友人に宗教に勧誘されたことがある。

友人は中学生時代に一緒に過ごすことが一番長かった子。
お互い違う高校に進学して、連絡はあまり取っていなかった。
振り返るとなんとなく一緒に居ただけだったなという感じ。仲が良いというほどでも無かったような気がする。

ある時風の噂で、その友人が妊娠したらしいと聞いた。
一度だけ、彼氏だという男の子を紹介されたことがあり、アイツかあと思いつつも別段こちらから連絡する気もなく(おめでとうと伝えるにも流石に変だし、何よりその彼氏がまた少し変だった印象なのだけれどこの話はいずれ)。

しばらくしてちょうど連絡が来て、会わないかとのことだった。
これは事情を聞くなら今だ、と思い、
「妊娠したってまじ?話聞かせろよ〜笑」
なんてメールを入れて、友人も文面をみる限り
「実はそうなんだあ笑 いっぱい話そ!」
みたいな感じで明るく振る舞っていて、そのまま会うことにした。

お互い変わらず地元に居たので、近くで会うものと思っていたけれど、地元からは少し遠い「国立駅で」と、そして時間も朝の9時だか10時だかに指定された。
遊ぶような所があるんだろうかと不思議に思いつつ、話を聞きたいだけなのでまあいいかと了承した。

そして当日。

少し髪色が明るくなった彼女は変わらない笑顔で「おはよう」と挨拶した。
と、その隣には私たちよりは少し年上であろう見知らぬお姉さんが居た。


誰…?と目配せしていると、そのお姉さんは

「初めまして〜、(友人)ちゃんの従姉妹です〜
今日遊ぶって聞いて。お邪魔してもいいかなぁ」

と明るく気さくな口調で話した(細かいところは忘れたけどこんな感じ)。

先に言えばいいのにな、とは思いつつ、
いいですよと答えた。

そしたらお姉さんは
「うーんどこいこっかぁ…
あ、あそこのマックでいい?」
と提案した。

えっ、遊ぶのにまずマック…?朝イチに?
いや別にいいんだけど…もっとなんかない…?
と内心いろいろ思いつつ、初対面だし、
ここでもまたいいですよと答えてついていく。

向かいにお姉さんと友人が座った。
お姉さんは大学生らしく、つけまつげがズレてるなぁなんて思いながら適当に相槌を打ち二人の話を聞いていた。

従姉妹というわりにあんまり会っていないのか、話が噛み合わないというか、なんかよそよそしいなぁなんて思いながらポテトをつまんだ記憶がある。

いつもはそれなりによく喋る友人も、なんだか大人しい。笑顔も不自然で、お姉さんと友人はまるで他人の距離感で話していた。

会話は基本的にまあ普通の雑談だったけれど、
途中ひとつ大きな違和感があった。

私が冗談か何かで
「コイツ彼氏いるんですよ〜」
とかいうような話をした時、
なんだか気まずそうな空気が流れた。
ん?知らなかったのか?と思いつつ、
まあ身内だからってそういうのあんま言わないか、と思いつつ他の話をした。

今思えば、共有していなければならないことだったのではないかと思う。知らんけど。

それから占い、運気の話になった。
中学生時代ではお互い心理テストとか好きだったし、割と普通の話題だったので何の違和感も無かったが、途中からなんだか流れが変わった。

お姉さんがプレゼンでもするように、
「知ってます?運気って減るんですよ」
と話し出したところで、ん?と思った。
明らかに今まで話していた口調と違ったから。

それでもそれまで通り、へえ、とかなんとか相槌を打っていたけれど、だんだんと内容が、お?そっちにいく??という流れに。


具体的には、
「運気が減るから補充(?)していく必要がある」
「運気が減ると大きな事故や病気になる」
「そうならない為に、毎日富士山の方角へ向かってお経を唱えなければならない」
などなど。

やっぱりお姉さんのつけま、取れそうだなーなんて思いながら、ぼーっと聞いていた。
友だちは相変わらず隣で張り付いた笑顔で相槌を打っている。
適当に聞き流していたけれど、最終的にはそうもいかなくなり、

「近くに集会所があるから一緒に行こう」
と。

高校生ながらに、これはまずいと思った。

元々友人が宗教のご家庭であることは知っていて(修学旅行で鳥居を潜れないとか色々あったので)、なんなら最近は彼女のお兄さんがまわりに勧誘していることも聞いていた。

これか、と思った。

冷や汗をかきつつ、必死に脳内でどうやって断ろう、とぐるぐる考え、
「ちょっとお手洗いに…!」と全ての荷物を引っ掴み一度トイレへと逃げた。

やばいやばいやばいやばい、と動悸と手の震えを抑えながら、母に「やばい、○○に宗教の勧誘された、帰る」という文面だけ送った記憶がある。

それから呼吸を整えトイレから出て、
「ちょっと用事が出来ちゃって、帰ります」
とそそくさと退散した。

追いかけてくるかな、と足早に歩きながら思いつつも特にそのような様子も無く。というか振り返る余裕も無かったが、声も掛けられなかったので大丈夫だったのだと思う。

ちらっと帰り道、そのマックの横の路地で何かの撮影をしているのが見えた。
何人かの大人と目が合った気がした(早足で急いでいたから目についたのだと思う)。

帰りのホームで電車を待つ間、また頭の中がぐるぐるした。

何かの撮影してたけど、ドッキリとかじゃないよね?そんな訳無いもんね??
店内にはポツポツと人が居たけど、周りの大人はどういう気持ちで見ていたんだろう?やっぱりドッキリだったから見守ってた??いやいやあり得ない。
実はあの人たちもグルだった?
だって声掛けられてるのを大人が見過ごす訳ないよね??でも私自分で逃げてきたから大丈夫だなってなったのかな。
え?あの空間なんだったんだ??
あのお姉さん、結局誰???

というか、



それなりに仲良かった友だちにも勧誘しちゃうんだ…


というショックがでかかった。

そんなもんだったんだ、あの3年間。

という感じ。


今となってはどうでもいいし話のネタだけれど、当時はやっぱり傷ついた。

電車の中でもそれがショックで、しばらく頭の中が真っ白だったけれどだんだんと頭がクリアになってくると、いやいややっぱこれおかしいだろ、と思い始めて。

「今日の何?ありえんよね?あの人誰?お兄さんが同級生の人にしつこく勧誘してるのも知ってるよ、迷惑だからやめて。」
というような旨のメールを送った記憶がある。

友人からは「(私)の運気が無くなっちゃうのが心配で誘ったんだよ、なんでわかってくれないの」というような内容で返信が来た。

もうこのあたりはわかりあえないということは知識としてもあったので、もう会わない、連絡しない、ということでこの話は終わった。

今思えば、すごい体験をしたと思う。
けどこの時はやっぱりショックだったなという思い出のひとつでした。

ちなみにその後、友人のお兄さんは勧誘もやめてくれたらしく、友人は無事出産したとのこと。
これも風の噂で聞いた。

その後連絡は一度も取っていない。





…と、ここで話が終わると思いきや。

私が大学4年生の頃。

保育系の学校だったので、地元のとある保育園に実習とアルバイトに行った。

ら。

あとは言わなくてもおわかりでしょう。


おわり。

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nanica
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