日本の平和を正しく守ることが、暮らし、教育、福祉の充実にもつながる
日本の経済再生や、暮らし、教育、福祉の充実を図りたいと思うと、その財源をどうするか、その配分をどうするかという議論が出てきます。
財源については税の応能負担の原則に基づいて大きな利益を上げる大企業や富裕層に対する実質税率を引き上げるような施策が有効であると思っています。
歳出の部分、配分に関してはどうでしょうか?
私たちの多くは、ロシアのウクライナ侵攻や、北朝鮮の度重なる弾道ミサイル発射、東シナ海、南シナ海、そして日本近海でエスカレートする中国の覇権主義的な動きなどを見聞きするにつけ、どうしたら日本を守ることができるのか不安に感じています。
どこかの国から日本は攻められるのではないか?この不安に対処するための考え方として、現在日本では大きく2つの流れがあると思います。
抑止力:反撃する意思や能力を示すことにより相手に攻撃を思いとどまらせる。
・軍備拡大
・核の傘、核共有、核武装
・軍事同盟 (日米安保条約など)、軍事ブロック (NATOなど) への参加
・敵基地攻撃能力、反撃能力の保有国際法秩序の構築・強化:国連、地域共同体、平和を希求する国々による包囲網
・国連憲章
・戦争の違法化、紛争の平和的解決、軍縮、人権保護のための条約・枠組み強化
- 核兵器禁止条約への参加
・憲法などによる戦争及び武力による紛争解決の放棄宣言と軍縮
・ 国連憲章を補完するような地域共同体 (ASEANなど) への参加・協力・積極的かかわり
現在の自民・公明政権が進める「抑止力」に頼る政策は、今後軍備費、防衛費の際限ない拡大に突入する可能性があります。防衛省の2025年度の軍事費(防衛関係費)の概算要求の総額は8兆5,389億円で過去最大です。米軍再編経費など具体的な金額が確定していない「事項要求」があり、最終的にはさらに膨れ上がることになります。
ちなみに令和5年度の防衛関係予算は6兆8,219億円を計上しています。それ以前の防衛関係費(当初予算)の推移は下記リンクに出ています。ずっと防衛関係費の対GDP比は1%以下に抑えられてきましたが、抑止力を盾に、最近その歯止めは外されてしまいました。
抑止力に依存する平和は、不安定で不確実な側面が大きいと思います。相手国ばかりでなく、同盟国側が常に私たちの意図したとおりに動いてくれる保証もありません。政権や情勢が変わればたちまち不安定化する可能性もあります。私たちが相手国に持つ不安や疑念は、相手も同様に持っていると考えられます。
自暴自棄になった「ならず者国家」がでてくれば、そもそも抑止力自体が効果を発揮しない可能性もあります。
行きつくところは天井知らずの大軍拡競争下、一発触発の緊張状態と言うことも想像に難くありません。ロシアはウクライナ侵攻について NATO の東方拡大への危機感を理由にして正当化しようとしています。抑止力を自ら認めるということは、このように相手にも口実を与えるということにもつながります。
特定の国に依存した同盟関係も、同盟国が常に信頼に値する行動をとる国なのか保証できない中で、むしろ我々の意図しないところで同盟国が起こした戦争に巻き込まれるリスクも高まります。
私は、すべての場面で抑止力が機能しないとは思いません。しあし、抑止力は上記のようにリスクが高く、恒久的に戦争や武力紛争を避ける手段としては合理的ではないと考えています。
抑止力を語り、軍備の保有・増強を図るかげには、軍事産業などで利益を上げる勢力があることも忘れてはいけないと思います。
自分が戦場に立たないであろう政治家が抑止力強化を理由に若者に武器をとることを勧める「勇気」と、自らが外交で血の出るような根回し、交渉をしながら国際法秩序の構築・強化の努力を決意する「勇気」。私は後者の覚悟を応援したいです。
国民や真摯に活動する企業から集めた貴重な税金は、ぜひ経済再生や、暮らし、教育、福祉の充実のために使ってほしいと思います。
今度の選挙では、想像力、政策力、交渉力、実行力を駆使して上記のような考えにできるだけ近い社会をめざしてくれる候補者、政党を探し推していきたいと考えています。
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